記憶のかけら
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翌朝、私はリビングの前まで来て、ドアを開けるのを躊躇った。
次元さんの前で、私はどう振る舞えば良いのか。
「ふぅ……」
深呼吸ともため息ともつかない息をひとつ吐いた。
逃げていても何も変わらない。私はドアノブを回した。
次元さんはソファで新聞を広げていた。
「……おはようございます」
声をかけると、新聞の端がぴくりと動く。
「……おう」
少し遅れて返事が返ってきた。
返事があった。それだけで、肩の力が抜けた。
怒っている訳ではない────たぶん。けれど、昨日のことを思い出すと、胸の奥がそわそわと落ち着かなくなる。
私は静かに彼の向かい側に腰を下ろした。
「おはようさん」
ルパンさんが私の前にマグカップを置いた。
湯気と一緒に、美味しそうな香りが立ち上ってくる。
「次元お手製ミネストローネ。隠し味に牛乳入れるんだってさ」
「……ん、美味しい」
そう言って次元さんを見ると、彼は慌てて新聞に視線を戻した。
口もとに、微かに笑みを残して。
「綾、俺たちこれから仕事なんだ」ルパンさんが言った。
「留守番頼むな」
「あ、はい」私は頷いた。
彼らが仕事と言って出かけるのは朝だったり、深夜だったり、まちまちだった。かと思えば出かけない日が続いたりして、私は不思議に思っていた。
「お仕事って、何をされているんですか?」
「ん? まぁ、価値あるものを見極めるオシゴト……ってとこかな」
「 価値あるもの……? それって、」続けて尋ねようとしたが、長い人差し指を唇に添えられ、とっさに口をつぐむ。
「残念、時間切れ」ルパンさんは笑った。
次元さんの前で、私はどう振る舞えば良いのか。
「ふぅ……」
深呼吸ともため息ともつかない息をひとつ吐いた。
逃げていても何も変わらない。私はドアノブを回した。
次元さんはソファで新聞を広げていた。
「……おはようございます」
声をかけると、新聞の端がぴくりと動く。
「……おう」
少し遅れて返事が返ってきた。
返事があった。それだけで、肩の力が抜けた。
怒っている訳ではない────たぶん。けれど、昨日のことを思い出すと、胸の奥がそわそわと落ち着かなくなる。
私は静かに彼の向かい側に腰を下ろした。
「おはようさん」
ルパンさんが私の前にマグカップを置いた。
湯気と一緒に、美味しそうな香りが立ち上ってくる。
「次元お手製ミネストローネ。隠し味に牛乳入れるんだってさ」
「……ん、美味しい」
そう言って次元さんを見ると、彼は慌てて新聞に視線を戻した。
口もとに、微かに笑みを残して。
「綾、俺たちこれから仕事なんだ」ルパンさんが言った。
「留守番頼むな」
「あ、はい」私は頷いた。
彼らが仕事と言って出かけるのは朝だったり、深夜だったり、まちまちだった。かと思えば出かけない日が続いたりして、私は不思議に思っていた。
「お仕事って、何をされているんですか?」
「ん? まぁ、価値あるものを見極めるオシゴト……ってとこかな」
「 価値あるもの……? それって、」続けて尋ねようとしたが、長い人差し指を唇に添えられ、とっさに口をつぐむ。
「残念、時間切れ」ルパンさんは笑った。