日常と違和感
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ルパンさんと一緒に店を出て、次元さんと合流する。さっきの『綾はそんなの』の続きを尋ねてみたかったけれど、ルパンさんが「靴はいるか」とか「バッグはどうだ」とか言うたびに丁重にお断りしていたら、聞きそびれてしまった。
ポツン、と。
頭に冷たいものを感じたと思ったら、急に雨が降り出した。
「天気予報をちゃんと聞いたのか?」次元さんがぼやく。
「うるせー」
「とりあえず走れ、綾!」
灰色の空の下を私たちは走り出した。
雨はあっという間に強くなった。
ルパンさんが先を走り、次元さんが続く。
次元さんが帽子を押さえながら走る姿が、なぜか私の視線を引きつけた。
(今の……)
何かが心に浮かびかけて、でも形になる前に消えてしまう。
「急げ、綾!」
ルパンさんの声に、私はハッとして足を早めた。
(今の、なんだったんだろう……)
ぼんやりと何かが浮かびかけた気がするのに、冷たい雨に洗い流されるように消えてしまった。
私たちは近くのカフェに飛び込んだ。
木の床に靴音が心地よく響く。
「はい、綾はカフェオレね。砂糖入り」
席についた私の前にカップが置かれて、私は我に返った。
「あっ……ありがとうございます」
柔らかな照明が木目調のテーブルとカップに暖かな光を投げている。客はまばらで、静かにジャズが流れていた。
「綾」私の前に座った次元さんが顔を覗き込んだ。
「何か気になることでもあったか」
「……はい」
さっき、雨の中で走り出した時。
何かが引っかかった。
目の端で何かが動いた、そんな感じだった。
「何か……何かがあったのに……」
「何かがあった?」ルパンさんは首を傾げる。
「何が」
「分かりません」私は力無く首を振った。
「上手く言えないんですけど。でも何かが……」
「思い出しかけたんじゃないのか」次元さんが言った。
そうかも知れない。でも今は何も感じない。
あの時感じた何かが、指の間からするりと逃げて、気づけば跡形もなく消えていた。
「分かりません……」私はため息をついた。
「ま、無理に思い出す必要はないさ」
ルパンさんはそう言って笑った。
次元さんはカップの縁を指でなぞりながら黙っていた。
「お、そろそろ止んだかな」
ルパンさんが言い、私たちはカフェを出る。
雨はすっかり上がり、歩道は銀色に輝いていた。
ポツン、と。
頭に冷たいものを感じたと思ったら、急に雨が降り出した。
「天気予報をちゃんと聞いたのか?」次元さんがぼやく。
「うるせー」
「とりあえず走れ、綾!」
灰色の空の下を私たちは走り出した。
雨はあっという間に強くなった。
ルパンさんが先を走り、次元さんが続く。
次元さんが帽子を押さえながら走る姿が、なぜか私の視線を引きつけた。
(今の……)
何かが心に浮かびかけて、でも形になる前に消えてしまう。
「急げ、綾!」
ルパンさんの声に、私はハッとして足を早めた。
(今の、なんだったんだろう……)
ぼんやりと何かが浮かびかけた気がするのに、冷たい雨に洗い流されるように消えてしまった。
私たちは近くのカフェに飛び込んだ。
木の床に靴音が心地よく響く。
「はい、綾はカフェオレね。砂糖入り」
席についた私の前にカップが置かれて、私は我に返った。
「あっ……ありがとうございます」
柔らかな照明が木目調のテーブルとカップに暖かな光を投げている。客はまばらで、静かにジャズが流れていた。
「綾」私の前に座った次元さんが顔を覗き込んだ。
「何か気になることでもあったか」
「……はい」
さっき、雨の中で走り出した時。
何かが引っかかった。
目の端で何かが動いた、そんな感じだった。
「何か……何かがあったのに……」
「何かがあった?」ルパンさんは首を傾げる。
「何が」
「分かりません」私は力無く首を振った。
「上手く言えないんですけど。でも何かが……」
「思い出しかけたんじゃないのか」次元さんが言った。
そうかも知れない。でも今は何も感じない。
あの時感じた何かが、指の間からするりと逃げて、気づけば跡形もなく消えていた。
「分かりません……」私はため息をついた。
「ま、無理に思い出す必要はないさ」
ルパンさんはそう言って笑った。
次元さんはカップの縁を指でなぞりながら黙っていた。
「お、そろそろ止んだかな」
ルパンさんが言い、私たちはカフェを出る。
雨はすっかり上がり、歩道は銀色に輝いていた。