第2話
name change
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しばらくすると、窓際に座っていたジョンが見てみろと窓を指差した。
椅子から降りて窓に歩み寄る。
彼の指差した方を見下ろすと、向かいのビルに設置されたLEDビジョンで速報が流れていた。
銀行に強盗が入ったこと、金庫は無事だったが、現場には顔と手足のある瓢箪の絵が残されていたことが分かった。
「瓢箪に顔……あれか?」
ジョンが隣のビルの看板を指差した。
「あれは崎陽軒のひょうちゃん」私は吹き出した。
「ニュースで言ってるのは多分ゴクローサンマーク。犯人は間違いなく、ルパンです」
「ジョン」
どこからか現れたスミスが背後に立っていた。
いつの間にか元の黒ずくめに戻っている。
「スミスさん、服が……」
「これが我々の制服だ。仕事中はこれと決まっている」
そう言ったジョンもいつの間にか真っ黒で驚いた。
その早着替えの技術があれば毎朝便利だろうなぁなどと、ちょっと思った。
「ルパンは銀行員に変装して、ちょうど居合わせた貸金庫の客から宝石を奪っていったらしい」
スミスさんが言った。
なるほど、さすがルパン。やっぱり転んでもタダでは起きなかった。
しかしジョンの見解は私と違っていた。
「手っ取り早く金を手に入れようとしたんだろうが、生憎だったな」
「生憎って、宝石があるじゃないですか」
「奴はこの世界に来たばかりで、宝石を売り捌くための販売ルートが無い。販路がなけりゃ、文字通り宝の持ち腐れだ」
「そんな。そんなの……」
ルパンなら販路ぐらい、簡単に切り開くでしょ。
そう言いかけたところで、ジョンの時計がまた警告音を発した。
「まさか……」
時計を確認したジョンとスミスが、顔を見合わせて愕然としている。
「どうしたんです?」
「ルパンが販路を作り出した。宝石は換金される」
「!」
「時空がまた歪んだ。影響がないか調べるよう、局に連絡を」
「あぁ」
スミスが携帯型の通信機でどこかに連絡をとりはじめた。
向かいのビルの画面では、女性キャスターが繰り返し銀行が襲われたと速報を伝えている。
「販路を確保されてしまったのは不味いな。銀行を襲うより、宝石店に忍び込む方がはるかに簡単だ」
「宝石……あっ」
私はタブレットを取り出した。
数日前に見た記事を検索する。
それは、とあるデパートで行われることになった宝石展の記事。
「こういうの、ルパンが狙いそうですよね」
ジョンはタブレットを受け取り、スミスと頭を突き合わせるようにしてタブレットを覗き込んだ。
「なるほど」
ジョンは顔を上げた。
もう一度窓の外を見て何かを考えるような間を置いてから、
「さて、お嬢さん」と私に歩み寄った。
タブレットを返すにしてはやけに近い距離に、私はジョンの顔を見上げた。
「君に折り入って頼みがあるんだが」
ニッコリ微笑みかけるジョン。
嫌だ。何だかすごく嫌な予感がする。
私はギュッと手を握りしめた。
椅子から降りて窓に歩み寄る。
彼の指差した方を見下ろすと、向かいのビルに設置されたLEDビジョンで速報が流れていた。
銀行に強盗が入ったこと、金庫は無事だったが、現場には顔と手足のある瓢箪の絵が残されていたことが分かった。
「瓢箪に顔……あれか?」
ジョンが隣のビルの看板を指差した。
「あれは崎陽軒のひょうちゃん」私は吹き出した。
「ニュースで言ってるのは多分ゴクローサンマーク。犯人は間違いなく、ルパンです」
「ジョン」
どこからか現れたスミスが背後に立っていた。
いつの間にか元の黒ずくめに戻っている。
「スミスさん、服が……」
「これが我々の制服だ。仕事中はこれと決まっている」
そう言ったジョンもいつの間にか真っ黒で驚いた。
その早着替えの技術があれば毎朝便利だろうなぁなどと、ちょっと思った。
「ルパンは銀行員に変装して、ちょうど居合わせた貸金庫の客から宝石を奪っていったらしい」
スミスさんが言った。
なるほど、さすがルパン。やっぱり転んでもタダでは起きなかった。
しかしジョンの見解は私と違っていた。
「手っ取り早く金を手に入れようとしたんだろうが、生憎だったな」
「生憎って、宝石があるじゃないですか」
「奴はこの世界に来たばかりで、宝石を売り捌くための販売ルートが無い。販路がなけりゃ、文字通り宝の持ち腐れだ」
「そんな。そんなの……」
ルパンなら販路ぐらい、簡単に切り開くでしょ。
そう言いかけたところで、ジョンの時計がまた警告音を発した。
「まさか……」
時計を確認したジョンとスミスが、顔を見合わせて愕然としている。
「どうしたんです?」
「ルパンが販路を作り出した。宝石は換金される」
「!」
「時空がまた歪んだ。影響がないか調べるよう、局に連絡を」
「あぁ」
スミスが携帯型の通信機でどこかに連絡をとりはじめた。
向かいのビルの画面では、女性キャスターが繰り返し銀行が襲われたと速報を伝えている。
「販路を確保されてしまったのは不味いな。銀行を襲うより、宝石店に忍び込む方がはるかに簡単だ」
「宝石……あっ」
私はタブレットを取り出した。
数日前に見た記事を検索する。
それは、とあるデパートで行われることになった宝石展の記事。
「こういうの、ルパンが狙いそうですよね」
ジョンはタブレットを受け取り、スミスと頭を突き合わせるようにしてタブレットを覗き込んだ。
「なるほど」
ジョンは顔を上げた。
もう一度窓の外を見て何かを考えるような間を置いてから、
「さて、お嬢さん」と私に歩み寄った。
タブレットを返すにしてはやけに近い距離に、私はジョンの顔を見上げた。
「君に折り入って頼みがあるんだが」
ニッコリ微笑みかけるジョン。
嫌だ。何だかすごく嫌な予感がする。
私はギュッと手を握りしめた。