第4話
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こうしてルパンとの奇妙な生活が始まった。
それは楽しい時間だった。
彼は私にせがまれるままに、これまでの冒険の数々を話してくれた。それは大抵テレビで見たことのある話だったが、彼が語ると新鮮に感じられた。私は感想を述べたり、からかったりした。
時には一緒にテレビを見たり、二人でキッチンに立ったり。
それはとても心地よかったけれど……。
ジョン達がどうなったのかも、ルパンの真意も、私にはまったく分からなかった。
一方、ルパンの仕事の数は日増しに増えていった。
あちこちに予告状が届き、絵画や宝石が次々と展示室から姿を消した。
そのせいなのか、それともこの世界が『ルパンが居る世界』として辻褄合わせが済んだからなのか。
いつの間にか知名度も上がり、新聞にも『ルパン三世』の名が見られるようになっていた。
そうやって彼の知名度が上がるにつれ、ターゲットの警備も厳重になっていくのは当然の流れだった。
最近、作戦を練る時間が長くなってきたところをみると、どうやら彼もやりにくいと感じているようだった。
私は気が気ではなかった。
ルパンは見取り図を見ながら「次元たちがいりゃあなー」と呟いたり、少し値の張るガジェットを仕入れる時には「空から金降ってこねぇかな……」などとため息をついたりした。
その度に私は慌てて「私が手伝うよ!」とか「お金なら私が!」とか声を上げた。
もちろん私の助力や雀の涙ほどの貯金で彼の負担が減るとは思わないけれど、とにかく彼の気をそらさなければならなかった。
実際に空からお金が降ったりしたら、世界は絶対に辻褄を合わせることなんてできないだろう。その瞬間に世界は終わる。
そんな事を続けていたら、さすがにルパンもおかしいと気付いたらしい。
「綾さぁ、」ラップトップとのにらめっこをやめてルパンが顔を上げた。
「なんか最近、変じゃねぇ?」
「そ、そんなことないよ」
ルパンはふーんと言って立ち上がった。
「何か隠してるだろ」挑戦的な顔で私に詰め寄る。
警戒してソファから腰を浮かせた私を押し戻した。
両手を掴まれソファの背に押つけられた私は身動きができなくなる。
「言えよ。何を企んでるんだ?」唇が触れそうな程近くでルパンが囁く。
まるで心の中を見透かすように、私の目をじっと覗き込んでくる。
全部筒抜けになってしまう気がして、堪らず私は視線を泳がせた。
「…………」
「まーたダンマリか」ルパンはため息交じりに言った。
「素直に白状しちゃくれないかねぇ」
彼は私の肩越しにソファの背もたれに頭を預けた。
少し考え込むように唸ってから、頭を起こして私を見る。
「やり方を変えるか」そう言うが早いか、ルパンは私をソファに組み敷いた。ソファのスプリングが軋む。
「綾ちゃん」
彼の手が私の髪を撫で、ゆっくりと顔の輪郭をなぞる。顎に手がかかり、上を向かされる。
「綾」
囁くように名前を呼ばれてドキッとした。
ルパンは私の反応を楽しむように微笑む。
「そうやって黙ってると、俺はこのまま綾にキスしちゃうけど。いいの?」
私は息を吞んだ。
ヘビに睨まれたカエルのように固まってしまった私は、伏し目がちに近づいてくる彼の顔をただただ見つめることしか出来ない。
心臓が痛いほど早鐘を打っている。
「…………っ」
ジョンのせいだ。そうだ、彼が『話すな』と言うからこんなことになったのだ。
(助けて……!)
私はギュッと目を瞑った。
それは楽しい時間だった。
彼は私にせがまれるままに、これまでの冒険の数々を話してくれた。それは大抵テレビで見たことのある話だったが、彼が語ると新鮮に感じられた。私は感想を述べたり、からかったりした。
時には一緒にテレビを見たり、二人でキッチンに立ったり。
それはとても心地よかったけれど……。
ジョン達がどうなったのかも、ルパンの真意も、私にはまったく分からなかった。
一方、ルパンの仕事の数は日増しに増えていった。
あちこちに予告状が届き、絵画や宝石が次々と展示室から姿を消した。
そのせいなのか、それともこの世界が『ルパンが居る世界』として辻褄合わせが済んだからなのか。
いつの間にか知名度も上がり、新聞にも『ルパン三世』の名が見られるようになっていた。
そうやって彼の知名度が上がるにつれ、ターゲットの警備も厳重になっていくのは当然の流れだった。
最近、作戦を練る時間が長くなってきたところをみると、どうやら彼もやりにくいと感じているようだった。
私は気が気ではなかった。
ルパンは見取り図を見ながら「次元たちがいりゃあなー」と呟いたり、少し値の張るガジェットを仕入れる時には「空から金降ってこねぇかな……」などとため息をついたりした。
その度に私は慌てて「私が手伝うよ!」とか「お金なら私が!」とか声を上げた。
もちろん私の助力や雀の涙ほどの貯金で彼の負担が減るとは思わないけれど、とにかく彼の気をそらさなければならなかった。
実際に空からお金が降ったりしたら、世界は絶対に辻褄を合わせることなんてできないだろう。その瞬間に世界は終わる。
そんな事を続けていたら、さすがにルパンもおかしいと気付いたらしい。
「綾さぁ、」ラップトップとのにらめっこをやめてルパンが顔を上げた。
「なんか最近、変じゃねぇ?」
「そ、そんなことないよ」
ルパンはふーんと言って立ち上がった。
「何か隠してるだろ」挑戦的な顔で私に詰め寄る。
警戒してソファから腰を浮かせた私を押し戻した。
両手を掴まれソファの背に押つけられた私は身動きができなくなる。
「言えよ。何を企んでるんだ?」唇が触れそうな程近くでルパンが囁く。
まるで心の中を見透かすように、私の目をじっと覗き込んでくる。
全部筒抜けになってしまう気がして、堪らず私は視線を泳がせた。
「…………」
「まーたダンマリか」ルパンはため息交じりに言った。
「素直に白状しちゃくれないかねぇ」
彼は私の肩越しにソファの背もたれに頭を預けた。
少し考え込むように唸ってから、頭を起こして私を見る。
「やり方を変えるか」そう言うが早いか、ルパンは私をソファに組み敷いた。ソファのスプリングが軋む。
「綾ちゃん」
彼の手が私の髪を撫で、ゆっくりと顔の輪郭をなぞる。顎に手がかかり、上を向かされる。
「綾」
囁くように名前を呼ばれてドキッとした。
ルパンは私の反応を楽しむように微笑む。
「そうやって黙ってると、俺はこのまま綾にキスしちゃうけど。いいの?」
私は息を吞んだ。
ヘビに睨まれたカエルのように固まってしまった私は、伏し目がちに近づいてくる彼の顔をただただ見つめることしか出来ない。
心臓が痛いほど早鐘を打っている。
「…………っ」
ジョンのせいだ。そうだ、彼が『話すな』と言うからこんなことになったのだ。
(助けて……!)
私はギュッと目を瞑った。