今日は何の日よ?
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次元は彼女の部屋で玄関のドアが開く音を聞き取った。
綾が返ってきたらしい。
小さな足音がドアの前でいったん止まり、ややあってから急にドアが開かれ綾が飛び込んできた。
「動かないで!」
例のボディーガードを突きつける。
とんだご挨拶だ。
「『ただいま』だろう、普通は」
綾は拳銃を下ろし、いたずらっぽい目をして次元を睨んだ。
「もうちょっとで38口径の穴をあけるとこだったわ」
「安心しろ、お前の腕じゃ俺には当たらねぇ」
でしょうねと綾は小さく肩をすくめる。
「それで? ヒトの部屋に忍び込んで、貴方は何をしているのかしら?」
「驚かしてやろうと思っただけだ」
ウソは言ってない。
綾はコツコツとヒールの音を響かせて次元の目の前まで詰め寄った。
疑わしげに上目づかいで見上げた彼女に、次元はさも今気づいたように言った。
本当は、入ってきた時から気付いていたのだが。
「やけに女めいてるな」
「めいてるんじゃなくて、女です」
「そのドレスは不二子か?」
さすがは不二子、と感心しながら見つめれば、綾はどう? とでも言うようにクルリとターンしてみせる。
薄暗がりで、ネイビーのドレスは黒っぽく見えた。
「初めて会った時と同じだ」
ポツリと次元が言った。
女のように妖艶で
子供のように無邪気で
男のようにさっぱりしてて
少女のように危なっかしくて。
「急に黙りこんで。どうかしたの、次元?」
ハッと我に返れば、いぶかしげに見つめる綾。
手を伸ばし、彼女の髪をクシャクシャとかき回した。
アップにしていた髪が簡単に崩れる。
「ほら、こうすればあの日と同じだ」
綾は髪に手をやって意味を理解すると、愉快そうに笑い声を上げた。
「次元、あなたって人は!」
まったくロマンチストねと、綾は笑いすぎて目じりに溜まった涙を指ですくった。
「……邪魔したな」
次元はぽん、と綾の頭に手をやると、振り向かずにそのまま部屋を出て行った。
綾の頭の上で最後まで抵抗していたヘアピンが床に落ち、黒髪が背中に流れた。
「何してたのかしら、あのヒト」
小首を傾げながらベッドに歩み寄れば、サイドテーブルにはロウソクを立てた小さなケーキと、ピンクのリボンが巻かれた、小さなシルバーの筒。
リボンを解いてキャップをとってみれば、ベビーピンクの口紅が現れた。
「ほんっと、あなたって人は……」
綾はクスクス笑いながらロウソクに火をつけた。
コブラの入れ墨も脳裏をかすめたが、それよりも。
願わくばこの夢のような日々がいつまでも続きますように。
そう願いながら、綾はロウソクにそっと息を吹きかけた。
綾が返ってきたらしい。
小さな足音がドアの前でいったん止まり、ややあってから急にドアが開かれ綾が飛び込んできた。
「動かないで!」
例のボディーガードを突きつける。
とんだご挨拶だ。
「『ただいま』だろう、普通は」
綾は拳銃を下ろし、いたずらっぽい目をして次元を睨んだ。
「もうちょっとで38口径の穴をあけるとこだったわ」
「安心しろ、お前の腕じゃ俺には当たらねぇ」
でしょうねと綾は小さく肩をすくめる。
「それで? ヒトの部屋に忍び込んで、貴方は何をしているのかしら?」
「驚かしてやろうと思っただけだ」
ウソは言ってない。
綾はコツコツとヒールの音を響かせて次元の目の前まで詰め寄った。
疑わしげに上目づかいで見上げた彼女に、次元はさも今気づいたように言った。
本当は、入ってきた時から気付いていたのだが。
「やけに女めいてるな」
「めいてるんじゃなくて、女です」
「そのドレスは不二子か?」
さすがは不二子、と感心しながら見つめれば、綾はどう? とでも言うようにクルリとターンしてみせる。
薄暗がりで、ネイビーのドレスは黒っぽく見えた。
「初めて会った時と同じだ」
ポツリと次元が言った。
女のように妖艶で
子供のように無邪気で
男のようにさっぱりしてて
少女のように危なっかしくて。
「急に黙りこんで。どうかしたの、次元?」
ハッと我に返れば、いぶかしげに見つめる綾。
手を伸ばし、彼女の髪をクシャクシャとかき回した。
アップにしていた髪が簡単に崩れる。
「ほら、こうすればあの日と同じだ」
綾は髪に手をやって意味を理解すると、愉快そうに笑い声を上げた。
「次元、あなたって人は!」
まったくロマンチストねと、綾は笑いすぎて目じりに溜まった涙を指ですくった。
「……邪魔したな」
次元はぽん、と綾の頭に手をやると、振り向かずにそのまま部屋を出て行った。
綾の頭の上で最後まで抵抗していたヘアピンが床に落ち、黒髪が背中に流れた。
「何してたのかしら、あのヒト」
小首を傾げながらベッドに歩み寄れば、サイドテーブルにはロウソクを立てた小さなケーキと、ピンクのリボンが巻かれた、小さなシルバーの筒。
リボンを解いてキャップをとってみれば、ベビーピンクの口紅が現れた。
「ほんっと、あなたって人は……」
綾はクスクス笑いながらロウソクに火をつけた。
コブラの入れ墨も脳裏をかすめたが、それよりも。
願わくばこの夢のような日々がいつまでも続きますように。
そう願いながら、綾はロウソクにそっと息を吹きかけた。