ケーン・キャラハンとは祖父が死んで疎遠になっていたが、綾が銃の修理を請け負うようになったのをどこからか聞きつけたらしく、突然現れてオーバーホールを依頼してきたのだった。


彼は訳あって、とある組織を探っていたようだった。


それについて綾には詳しく話そうとしなかったが、それが間違いのもとだったのかも知れない。


大量の武器を提供すると言って組織に近づいたが、そうとは知らない綾が武器をトラックごと持って行ってしまったのだ。


怒った組織の連中は約束を反故にした彼を襲った。


ちょうど綾がオーバーホールの済んだ
拳銃を届けに行った時だった。


綾は彼のせいではないと何とか説明しようとしたが、組織の連中は聞く耳を持たずに発砲してきた。


「ケーンは私からこの銃を受け取って応戦したんだけど……」


綾の顔が苦しそうに歪み、次元は何が起きたかを察した。


「弾が逸れたか」


綾は唇を噛んだ。


ケーンが引き金を引き───


綾は照準が傾いている彼の発砲を驚愕の顔で見つめ───


直後、彼の体に数発の銃弾がめり込んだのを見た。