明け方、次元はふと目を覚ました。


何が自分を目覚めさせたのかと訝しく思って部屋を見渡すと、隣のベッドの上を小さなランプが照らしていた。


綾がベッドの上で、銃のオーバーホールをしていた。


オレンジ色の明かりが彼女の真剣な表情を照らしている。


作業に没頭していて他の事は一切、目に入らない様子だ。


昼間の様子からは想像できない、プロの顔をしていた。


黙って見つめていると、ふいに彼女が口を開いた。


顔を起こしもしなかったし、作業から目を上げもしなかったが、とても優しい声で言った。


「起こしちゃったわね。ごめんなさい」


「いや」


次元は半身を起こした。


綾はベッドから立ち上がり、モーテルの小さな窓をガタガタと開けた。


冷んやりとした朝の風が、彼女の髪を撫でながら部屋に入り込んでくる。


彼女のベッドには作業を終えて綺麗になった銃が並んでいた。


次元はボディガードを手にとり、出来栄えに感心して呟いた。


「良い腕だ」


「ふふっ、ありがと」


彼女は振り返って次元を見つめると、ふわりと笑みを浮かべた。


情事の後のような気怠げな艶めいた微笑みに、思わずドキリとさせられる。