綾はベッドから立ち上がり、次元の手からバドワイザーを1本とりあげた。


缶を開けて1口2口飲むと、おもむろに次元の顔を見上げる。


「私の祖父は朝比奈賢二郎。知ってるでしょ？」


銃を扱う奴でその名を知らない奴はいないだろう。


名銃工だ。


「私は銃は作らないけど、修理やメンテナンスの
商売を始めたの。最近は自分で手入れできる
人も減ったから。これも客のよ」


彼女は手にしていた拳銃をヒラヒラ振ってみせた。


「このボディガードを持ち主から預かって帰る時、玄関前にピックアップトラックが停まっててね。依頼人の趣味にあわなそうな車だったから、ちょっと興味をひかれて荷台を覗いたわけ」


「行儀が悪いんだな」


「いいじゃない、減るもんじゃなし。でね、荷台に何があったと思う？」