angel
name change
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神なんていない。
ジュリアが死んでから、俺はその事を知った。
月を見るたびに思い出す。
泣きながら必死に神に祈っていた自分を。
だがいくら祈ろうが、何を犠牲にしようが、結局救い主など現れなかった。
俺は祈るのを止めた。
信じる者は救われる、なんてのは嘘だ。
信じられるのは自分だけ ───
フワリ、と。
目の端に動くものを捉え、俺は頭上を見上げた。
まるで大きな花の様に、白いものが落ちてくる。
シーツか……いや、違う。
天使……?
宵闇に舞う桜の花びらの様に、衣服をほの白く光らせながら、天使は真っ直ぐ俺のもとに降ってきた。
俺は腕を伸ばし、帆桁から落ちてきた天使を抱きとめた。
「あー、危なかったぁ。死ぬかと思った」
腕の中を見下ろすと、綾が笑って俺を見上げている。
ナイトシャツの天使か。
俺は思わず笑みを浮かべた。
「やだ、何を笑ってるの?」
腕をすり抜けて甲板に降り立った綾は、怪訝な顔をして小首を傾げた。
「……何でもない」
「ふふっ、変なキース」
後ろ手に手を組んで、綾が柔らかく笑う。
月に照らされて、その瞳がキラキラと煌めいた。
少しの罪悪感と、少しの幸福感。
信じたいと思っている自分に気付いたから。
この小うるさい、チンチクリンの天使を ───
ジュリアが死んでから、俺はその事を知った。
月を見るたびに思い出す。
泣きながら必死に神に祈っていた自分を。
だがいくら祈ろうが、何を犠牲にしようが、結局救い主など現れなかった。
俺は祈るのを止めた。
信じる者は救われる、なんてのは嘘だ。
信じられるのは自分だけ ───
フワリ、と。
目の端に動くものを捉え、俺は頭上を見上げた。
まるで大きな花の様に、白いものが落ちてくる。
シーツか……いや、違う。
天使……?
宵闇に舞う桜の花びらの様に、衣服をほの白く光らせながら、天使は真っ直ぐ俺のもとに降ってきた。
俺は腕を伸ばし、帆桁から落ちてきた天使を抱きとめた。
「あー、危なかったぁ。死ぬかと思った」
腕の中を見下ろすと、綾が笑って俺を見上げている。
ナイトシャツの天使か。
俺は思わず笑みを浮かべた。
「やだ、何を笑ってるの?」
腕をすり抜けて甲板に降り立った綾は、怪訝な顔をして小首を傾げた。
「……何でもない」
「ふふっ、変なキース」
後ろ手に手を組んで、綾が柔らかく笑う。
月に照らされて、その瞳がキラキラと煌めいた。
少しの罪悪感と、少しの幸福感。
信じたいと思っている自分に気付いたから。
この小うるさい、チンチクリンの天使を ───
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