1
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…ナリくーん」
もすっ、と背中に感じる体温。すりすりと腰にすり寄る五十鈴はさながら猫のようで。
「その呼び方はやめろと言ったであろう」
元就は本に向けていた視線をちらりと五十鈴に移動する。この顔は、恐らく構って欲しいのだろう。
すりすりとすり寄る五十鈴を愛らしく感じた元就は、わざと視線を本へと戻す。それに五十鈴は、む、と頬を膨らませて。
「んー……元就ってばー…」
「なんぞ。我は今読書中ぞ」
「んー」
すり、とすり寄る五十鈴にわざと冷たく言えば、不満そうに口を尖らせると、元就の顔を覗き込んだ。
「…ナリくーん?」
「………」
「……ちゅーして?」
「ブッ!」
元就は予想していなかった五十鈴の言葉に、思わず飲んでいたコーヒーを吹き出す。
「わー、ナリくんばっちぃよ」
「だ、誰のせいと思うておる!」
「だってだって、ナリくん構ってくれないんだもん」
寂しいよ?と眉根を下げる五十鈴を酷く愛らしく感じて。
思わずう、と元就は呻いた。
「私ナリくんにちゅーして貰えば、元気でるー」
「だから我は今…」
「うるさーい。えい。」
「何を、ん」
ふわり、と感じた甘い匂いが鼻孔を通る。五十鈴の顔が酷く近い。
唇に感じる温もりに、思わず固唾を飲む。
「えへへー、やったーナリくんのちゅーげっとー」
へにゃり、と笑う五十鈴に、元就は呆れたように溜め息を吐いた。
その誘いに乗ってやろうではないか。先に挑発したのは、五十鈴の方だ。
滑るように五十鈴の顎を指で辿れば、短く漏れる吐息。
「んっ…、ナリくん、くすぐったいよ…、?」
「…違うであろう?こういう時は」
「ん…元就、」
「五十鈴」
ちゅ、と名を呼んで五十鈴に口付ける。ふわふわとした元就の髪が顔に当たってくすぐったいのか五十鈴は少し身じろいだ。
頬を撫でて口付けを深くすれば、熱っぽい声が漏れ始める。
「…ん…、ふ、んん、」
「…っ、」
五十鈴の腰に手を回して、ぐ、と力を込めた。
とさり、と小気味いい音が響いて。
「先に挑発したのは、そっち、ぞ」
「……ん、うん」
再度、五十鈴に優しい口付けを落として。
望み通り。
「構ってやろう」
その言葉を待ってたの。
(構って欲しいのです。)
8/11ページ