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第零章

どこか懐かしい夢を見た気がして目が覚めた。
だけど目が覚めた時酷く悲しくて流れる涙を拭う。

 「やっと起きたか…」

 「…………香満さん…俺は」

 「一昨日からずっと寝てたんだよ。組長がなくなってからお前も忙しそうにしてたし、疲れが溜まっていたんだろうな。爲魅、起きてそうそうで悪いが仕事頼めるか?」

 「ま、丸一日…。それはすみません」

 「…えぇ。勿論です。すぐに準備します」

 その日は朝から慌ただしい一日だった。落ち着いた頃、ある部屋を尋ねた。扉を叩き声をかけると、いつもならすぐに帰ってくる返事が聞こえず、そっと部屋の扉を開く。

 「………っ…壱和さん!!」

 扉を開けると部屋の主が倒れていたのに慌ててかけより呼びかけるとゆっくりと目を開けた。

大丈夫だといつものよう笑い、そっと俺の頭を撫で、彼は俺の心配をする。

 「なんて顔してるだい?…私は大丈夫だよ」

 そう言い彼は俺の髪をくしゃくしゃと撫でた。

『大丈夫』という言葉とは裏腹にその日から少しづつ彼の調子は低下していった。内勤や部屋にいることが増えた。次第に食事量も減少していった。それでも彼はそれを悟らそないようにいつも通り優しく笑いたずねた俺や組員の心配をしていた。
「壱和さん。園咲です」

 声をかけ部屋の扉を開けると部屋の主は読んで頂き書物から目を離す。

 「起きてて大丈夫なんですか?」

 「今日はね。そうだ、先生。少し付き合ってくれないか?」

 「……?」

 「少し出かけたいんだ。だってほら明日は香満の誕生日だろ?」

 「その顔、忘れてたみたいだね
まぁ、親父がなくなったあと先生忙しそうだったから」
組長がなくなってから、抗争の数が増え、怪我をするものが増えた。

勢力として弱まったうちにここを潰しておこうというものの動きだろうと彼から聞いていた。
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