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第零章

次の日いつもの部屋で目を覚ます。

瞼が酷く重く、頭がズキズキと痛む。明らかに昨日泣いたということが分かる。

 「先生…姐さんがお呼びです」

 「あぁ。わかりました。今向かいます」

 痛む頭に頭痛薬を飲み。目元はいつもの眼鏡で隠す。そして呼ばれた組長の部屋。眠る組長の傍に座る奥様に向き合うように座った。

 「爲魅、ありがとう。この人がこうも穏やかな表情で眠っているのは貴方のお陰でしょうね」

 「いえ、俺はただ…医者として勤めを果たしまでですよ」

 そして、次の当主が次男が次ぐということがその場いる全員に伝えられた。嫡男が継ぐものだと思っていた者から不満の声が上がる

嫡男の結城壱和(ユウキイチカズ)とは組長と前妻との間に生まれたお子さんだった。確かに組を継ぐために優し過ぎることが難点だと組長も生前言われていたのを思い出す。何よりも決めて彼の体調にあるかもしれない。彼は体弱い。

 次男の結城双弥(ユウキフタミ)とは組長と今の奥様との間に生まれたお子さんであり、今は壱和様の補佐的に仕事を任されていた。嫡男である壱和様とは対象で 白か黒かということがはっきりしており、ただ何処かうちを掴ませない人だった。風の噂で良くない人つるんでいるというものを聞いたことがある。

 「双弥、香満をお前に預ける。香満なら仕事ことも大体は把握しているはずだから役に立つだろう 」

 不満が上がる中、香満と呼ばれた青年は二人の元へ足を進める

その様子に不満を漏らしていた連中が目を向けていた。

 「これから宜しくお願いいたします。双弥組長」

 そういい深々と頭を下げた。彼の態度で先程まで不満を漏らしていた連中も纏う空気が代わり、同じように、頭を下げた。

香満と呼ばれた男の言葉にはそれだけの重みがある。香満椿(カザミツバキ)若くして結城組の若頭を務め、組長からの信頼も厚く、壱和様の世話係をしていた。

 「彼は優秀な子だからね、あの若さで若いを纏めあげる力がある。まぁ、あの子の凄さはそれだけでは無いだろうけどねぇ、爲魅」

 「そ、そうですね」

 「お前は双弥が次ぐことどう思う?」

 「……これは独り言なので聞かなかったことにして欲しいのですが、元々こうなるとは思ってました。後少し風の噂で良くない噂をきいたので心配ではありますが、俺は俺の仕事をするだけですよ」

 「そうか、爲魅お前にはいつも感謝してる」

 「そんな…感謝してるのはこちらの台詞ですよ。あの時拾って頂いてどれだけ救われたか…」

 「お前を拾ったのは香満だからね。ただその時香満が子供の面倒をとは思ったが君を拾ったことがいいし…」

 「壱和さん、何を言っているんですか?」

 「おっと…これは…ふふっ。何もないよ。爲魅と少し世間話ね」

 「少しね…例え双弥さんに仕えるようになっても俺が生涯お仕えするのは貴方だけなので、何かあれば何時でも呼んでくださいね」

 「香満、ありがとう。危なかしい弟だけどね、彼のこと頼むよ。爲魅お前も」

 そういい。そっと頭を撫でられた。その後、組長告別式が行われ、結城組の次男である双弥様へと代わる、御就任式が行われた。
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