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第零章

あの時、彼の言葉が嘘だったことに後になって気付いたのは組の方針について話し合いの場が持たれた時。

「親父達が作り上げてきた結城組だが、いつまでも古きままでは他の組に潰されてしまう。そこでだ、他に負けないためにこれを使い、資金を増やして行く。何これは少し特殊なものでな今まで世に出ていた薬とは違い身体に影響は及ぼさない優れものだ。なんせこれは先生が親父の部屋で炊いていたお香にすぎないんだからよ…なぁ先生?」

彼の言葉に皆の視線が一気にこちらに向く。確かに組長の部屋でたいていたのもはただのお香にすぎないのだと

ただ彼が見せていたのがあの時部屋でたいていものでなく彼が処分したと言われていたものだと言うことにすぐに気づき話し合いの後彼にたずねることにした。

「双弥さん、どうして貴方がそれを?」

「どうしてってこれは先生が俺にくれたものでしょ?」

「違う。俺があげたものはその香りでは無い。だってそれは…」

「処分したものだって言いたいんでしょ?先生ー。香満にそう命じたのは俺ですからね」

「それに先生なら作ってくださると思ってました。じゃあ、先生これからも頼みましたよ」

出ていく時に耳打ち伝えられた言葉に息を飲む。彼はその様子にニヤリと笑い俺の肩をポンっと叩き部屋を出ていった。

”誰かに危害を加えないため”
息を吐き部屋を出た。

それから俺は言うと言われるがままお香を作り彼らに渡した。
痛みや苦しいを取り除いてくれるお香は人から人へと伝わり、組は少しづつ大きくなっていた。けどその一方で俺自身が服用しようとすると何故か酷い暴力を受けた。

ある日彼らの目を盗んで香炉に例のお香を入れると綺麗なカラコンの模様が浮かび上がる。香をたき眠りにつくと懐かしい夢を見た

「父様、母様……、…」

きっと起きたらまた酷い暴力を受けるだろしきっとこの夢のことも何も覚えていない
だから…

「俺はここで頑張るから。だけど早く母様達のところに行きたいな…」

このお香がこれから大きな事件を起こすきっかけになるなど今は誰も知らない

今はただ香(らくえん)の中で眠り静かに涙を流した。
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