いたずらの代償は?

急ぎ、屋敷に戻ると、仕事帰りだろうか、血痕がつく服のまま、縁側煙草を吹かす彼に目に移す。

「ん?ハギーそないに急いでどないしたん?怖い幽霊にでも追いかけられたんか?」

「いやいや、幽霊より今の折宮さんの姿の方が怖いっすよ。怪我してないっすか?」

「ん?これは相手さんの返り血や俺はどこも怪我なんかしてへん」

「そうっすか。ならいいっすけど」

「せや、ハギ、Trick or Treat。お菓子なかったらイタズラするで」

「えっとさっき貰ったチョコなら…」

帰り間際に受け取ったお菓子に目を向ける。秋らしい栗のパッケージが書かれた馴染みのチョコレート。
そのお菓子とともに先程のことも思い出しまた頬が暑くなっていく。

「どないしたん?そんな顔赤らめて、なんや幽霊にキスでもされたん?」

「あ、いや…なんでもないっす」

普段の彼ならそこで興味を無くし話が変わる。けど今日の彼は逸れることは無くそのまま続けられた

「君はほんま、嘘つくん下手やな。そんな顔して…くくっ。なんや、チャイナくんと何かあったん?」

その名前に、首を振る。彼がチャイナくんと呼ぶ人が那魅さんの事だとすぐわかった。以前、駄菓子屋やに向かう最中、仕事帰りの彼にあい、一緒に向かったことがある。普段人の名前を覚えない彼が何故かあだ名をつけたほど

「君がチャイナくんのこと好いてるのはわかっとったし、なんか進展でもしたんか思ったけどなんや ちゃうんか」

「なんっすかそれ。確かに、那魅さんのこともゆーちゃんや漣の皆さんと同じぐらいすきはすきっすけど…。進展?」

首を傾げると彼はポカリと口を開き、食べようとしていたチョコレートが手から落ちる。

「………君それ本気で言っとる?あぁ、あかんわ。この子…ハギ、君ライクとラブの違い分かっとる?」

「ライク?ラブ?」

彼の言葉にキョトンと見つめると、自分の頭をわしゃわしゃと撫で、ため息を付き、俺の手を引いてどこかに歩き出した。
途中、すれ違った友人も一緒に

「おい、真…お前何したんだよ」
「え、俺はなにもしてないっすよゆーちゃん」

手を引き連れて来られたのは組長補佐にあたる立木隆人さんの部屋だった。
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