いたずらの代償は?

優しく撫でられる感覚。心落ち着く優しい香り。
『あぁ、好きだな…』そんなことをぼんやりと思っていた。
うっすらと空いた瞳に心配そうに目を向ける彼が見えた。

『そんな顔しない欲しいっす…』

「真くん…悪かったね…」

そっと握られた手を握り返し笑いかけた。

「那魅さん、そんな悲しい顔しないで欲しいっす。ねぇ、那魅さん笑って」

「真くん、すまなかったね…」

「もー那魅さん、別に俺は嫌じゃなかったっすよ。だから謝らないで欲しいっす。それに俺は貴方にそんな顔される方が辛いっすよ」

「………」

笑いかけると彼は眉を八の字に下げ苦笑をもらす。俺は起き上がり、そっと彼のことを抱きしめた。
突然の自分の行動に少し体を強ばらせるものの、状況が掴めていない様子で自分の顔を見ていた。

『えっと、もうそないに仲良くなりはったん?茶でもいるか思ったんやけど、お邪魔やったみたいやな』

聞こえてきた声に驚き、体を離し、勢いよく立ち上がった。

「あ、えっと。那魅さん先の仕返しっすじゃあ俺はそろそろ帰るっすね」

自分の行動に少し恥ずかしくなり、急いで店を出た。その後2人が何かを話していた気がした

「あ、うん?気をつけて。真くんこれ持って帰りな」

「いや、待ってあの代わりがハグってなんなんあの子…」

「揚羽さん…」

「いやー、堪忍な。なんやあの子ほんまかいらしな」
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