いたずらの代償は?

店と家との境目に座りタバコに火をつけた。
そっと吐き出すと静かな足取りで近づいて来る一匹の黒猫の姿。近くまで来るとリンっと鈴の音が聞こえたかと思うと元の姿に戻り、青年が姿を見せる。彼と同じ鈴が片耳についている。翡翠色の綺麗な瞳がこちらを見ていた

「揚羽よ一本くれないかい?」

「ええですけど那睲はんって吸ってはったけ?」

「まぁ、少しわな…」

ひとつタバコを差し出し、火をつけると彼は慣れた手つきでそっと息を吐き出す。

「君にしては珍しい。何故あのようなじゃれ事を?」

「あぁ。あの二人中々進展せえへんやろ?だからかな」

「余計なお世話ではないのか?」

「そのものにはそのものペースというものがある。第三者が介入し乱すものではないだろ」

「まぁ、確かにそーですね。まぁ、あの二人にはちょっとした介入も必要や思いますけどね」

「那魅が彼のかと気にかけてるのはわかることやけどこの子はその事が分からへんやろ?きっと彼がお気にりの一人や言うことにな」

「その介入が凶と出ても俺は知らんぞ」

「大丈夫です。僕もそんな危ない橋は渡りません」

「なら良いけど。例え君でもあの子を傷つけるなら許さないよ。例え兎夜のお気にりでもね」

「那睲はん怖いで、そんな殺気だてんと…」

笑いかけ息を吸い込み吐き出した。奥の部屋から聞こえてきた声にそっと耳を傾けた。
2/6ページ
スキ