豪商の若旦那が帰ったあと、健太は毎晩、酒を持って菊の部屋を訪ねるようになった。
そして酒を浴びるように飲むと、菊を抱いた。
菊は嬉しかった。
毎晩、健太が会いに来てくれる。
髪を結い直し金属のかんざしを指すと、紅をひいて待った。
そして、喜んでお酌をし抱かれた。

「はい、直りましたよ。」
赤ら顔の健太がカエルのおもちゃを菊の手のひらに乗せ、お尻を押して跳ねさせた。
手のひらで跳ねるカエルを見て、菊の顔がパっと笑った。
健太はそんな菊の姿を見て、菊の体を布団に押し倒し首筋に顔を埋めた。
菊はそっとカエルのおもちゃを握ると、覆いかぶさる健太の熱に身を委ねるように静かに目を瞑った。
前のように、戻れたと思った。
菊は一気に生気を取り戻し、幸せの絶頂の中にいた。
9/20ページ
スキ