月
まるで生気を失った菊は部屋の壁にもたれ、四六時中、窓の外をぼんやり眺めているようになった。
菊に心底惚れた豪商の若旦那は毎晩置屋を訪ね、指名料として莫大な金額を払い続けた。
凛の自室、着物をはだけさせた凛の胸元に顔を埋めている置屋の主人。
「旦那様…ンンッ…いつまで菊をああしておく…アッ…つもりですの…」
唾液の糸を引いて顔を上げる主人。
「しばらく豪商のボンクラから金巻き上げるんだ、最近身請けの話を特にせっつくけどな。」
主人は座り直すと、ふんどしをするりと外した
「いくらなんでも、そろそろ限界ですやろ…肝心の菊はもぬけの殻みたいになってるし…」
主人の股間に顔を埋める凛。
「それに関しちゃ、俺も頭が痛てぇ…アァッ…いくらひっぱたいてもダメだ…ンンッ…」
凛は含んだものを口から離すと、上目遣いで主人を見つめ、甘えるような声で言った。
「菊は今でも恋する乙女ですわ。恋する乙女が喉から手が出るほど欲しいもの…」
凛はニヤリと笑うと、舌を伸ばしその先端をペロリと舐めた。
凛は菊をよく自分の部屋に呼び寄せるようになり、言葉を発しない菊に話かけながら、菊の表情や首の振り方から徐々に内情を把握していったのだ。
「最後ぐらい、いい夢見させてやりなはれ…そしたらイチコロですわ…」
行灯が灯る、薄暗い部屋。
豪商の若旦那が帰った部屋で、菊は今日も壁にもたれて、外をぼんやり眺めていた。
満月だった。
いつかの日、あの物置部屋で健太に後ろから抱きすくめられ聞いた話。
お月さまはみんなを照らしている。
どこにいても、皆同じお月さまを見ている。
離れていても、同じ月を見ている。
だから寂しくなったら月を見て、どこかで同じ月を見てるから。
「……け…ん………た……」
絞り出した小さな声、菊の頬に一筋の涙が流れた。
突然、部屋のふすまが開いた。
菊がゆっくり振り向くと、酒瓶とお猪口を持った健太が部屋へ入ってきた。
菊に心底惚れた豪商の若旦那は毎晩置屋を訪ね、指名料として莫大な金額を払い続けた。
凛の自室、着物をはだけさせた凛の胸元に顔を埋めている置屋の主人。
「旦那様…ンンッ…いつまで菊をああしておく…アッ…つもりですの…」
唾液の糸を引いて顔を上げる主人。
「しばらく豪商のボンクラから金巻き上げるんだ、最近身請けの話を特にせっつくけどな。」
主人は座り直すと、ふんどしをするりと外した
「いくらなんでも、そろそろ限界ですやろ…肝心の菊はもぬけの殻みたいになってるし…」
主人の股間に顔を埋める凛。
「それに関しちゃ、俺も頭が痛てぇ…アァッ…いくらひっぱたいてもダメだ…ンンッ…」
凛は含んだものを口から離すと、上目遣いで主人を見つめ、甘えるような声で言った。
「菊は今でも恋する乙女ですわ。恋する乙女が喉から手が出るほど欲しいもの…」
凛はニヤリと笑うと、舌を伸ばしその先端をペロリと舐めた。
凛は菊をよく自分の部屋に呼び寄せるようになり、言葉を発しない菊に話かけながら、菊の表情や首の振り方から徐々に内情を把握していったのだ。
「最後ぐらい、いい夢見させてやりなはれ…そしたらイチコロですわ…」
行灯が灯る、薄暗い部屋。
豪商の若旦那が帰った部屋で、菊は今日も壁にもたれて、外をぼんやり眺めていた。
満月だった。
いつかの日、あの物置部屋で健太に後ろから抱きすくめられ聞いた話。
お月さまはみんなを照らしている。
どこにいても、皆同じお月さまを見ている。
離れていても、同じ月を見ている。
だから寂しくなったら月を見て、どこかで同じ月を見てるから。
「……け…ん………た……」
絞り出した小さな声、菊の頬に一筋の涙が流れた。
突然、部屋のふすまが開いた。
菊がゆっくり振り向くと、酒瓶とお猪口を持った健太が部屋へ入ってきた。
