月
紐で繋がれ、菊の傍らに浮かんでいた男は豪商の元下働きだった。
豪商の金庫の金に手を付け追い出されており、追い剥ぎなどをしながら博打に溺れていた。
菊の身請けは入れ違いで、面識すらなかった。
「ゲテモノ同士、結託して金を巻き上げていてんだろう。」
「やっぱりな、遊女なんかそんなものだ。」
道端に野ざらしにされた遺体に群がる群衆は、まるで汚物を見るような目で見下ろしながら罵った。
「どきなんし!」
群衆をかき分け、凛が菊に駆け寄った。
「あぁっ……」
凛は小さな悲鳴を上げると、何か見つけたように目を見開いた。
そしてふたりを繋いでいる紐を掴むと、結び目をほどこうと力を入れた。
しかし結び目は硬く、凛は鬼の形相で紐を咥えると口から血が流れるのも構わず、「うがぁー!」と叫びながら、とうとう紐を噛み切った。
「なんでぇー!なんでぇー!あんた、やっと幸せになったのにー!」
凛はずぶ濡れの菊に覆いかぶさり、冷たくなった菊の頬に自分の頬を擦り付け、わんわんと泣いた。
豪商の金庫の金に手を付け追い出されており、追い剥ぎなどをしながら博打に溺れていた。
菊の身請けは入れ違いで、面識すらなかった。
「ゲテモノ同士、結託して金を巻き上げていてんだろう。」
「やっぱりな、遊女なんかそんなものだ。」
道端に野ざらしにされた遺体に群がる群衆は、まるで汚物を見るような目で見下ろしながら罵った。
「どきなんし!」
群衆をかき分け、凛が菊に駆け寄った。
「あぁっ……」
凛は小さな悲鳴を上げると、何か見つけたように目を見開いた。
そしてふたりを繋いでいる紐を掴むと、結び目をほどこうと力を入れた。
しかし結び目は硬く、凛は鬼の形相で紐を咥えると口から血が流れるのも構わず、「うがぁー!」と叫びながら、とうとう紐を噛み切った。
「なんでぇー!なんでぇー!あんた、やっと幸せになったのにー!」
凛はずぶ濡れの菊に覆いかぶさり、冷たくなった菊の頬に自分の頬を擦り付け、わんわんと泣いた。
