第2の謎 出会い
バキバキ、バキバキ、と、絶えず破壊音が広場に響いている。
地面のレンガを壊しながら、それは姿を現した。
3年前に見た、あの化け物と同じ。
絶えず動く触手のようなもの。天辺には口のようなものが付いていて、鋭い歯を覗かせながらぽたぽたと液体を垂らしている。
酷く気味が悪かった。
「じ…『15の謎』だ!!」
人々は思い思いに叫びながら、謎が出現した方と反対方向に一斉に走り出した。
数秒前までの平和な風景が一瞬で崩れ去っていく。
こんなに早く?それもこんなに近くで?
日常なんて、こんなに一瞬で崩れていくんだ――
目の前の状況に絶望していると、ふと、謎の1番近くにいる人物に目が行った。
――あの、少年だ。
転んだまま足がすくんで動かない様子だった。
そうだ。過ぎた知識は時に害になる。過去の被害を知っていれば、動けないほど身がすくんで当然だ。
謎の化け物は破壊が目的。
有機物も無機物も、生死も関係なく、ただただ破壊し続けるのが目的だ。
あそこにいれば死ぬ事は、俺も、きっとあの少年も分かっている。
迷っている暇なんてなかった。
少年がいると分かった瞬間、俺はその方向に向けて走り出した。
もちろん家を出た時、謎が出現した時の対策をしていなかった訳がない。鞄から専用の銃を取り出しながら、走る、走る。
この体積だと3発くらいか。
3発当たれば確実に、謎を無効化できる。
この日の為に何度も練習した。
走りながら俺が放った弾は、パン、と乾いた音を立てて、確実に謎の触手に突き刺さる。
組織が溶けていく様を見ながら、俺は少年のところに辿り着いた。
「怖かったな、大丈夫だ。俺が片付ける」
「そんな…!1人でなんて無理ですよ!僕なんか放っておいて研究者さんは助けを呼んでください!死んじゃいますよ…!」
少年は泣きながら必死に訴える。
全く、俺の心配できる元気があるなら逃げろってのに。
その時だった。
ひゅっ、と、少年の後ろから触手が伸びてくる。
余りに突然。触手は完全に少年を殺そうとしていた。
「え?」
どすっ、
俺は咄嗟に少年を横に突き飛ばした。
腹が貫かれるのが、見えた。
血の味がする。
遅れて、意識を手放しそうな程の激痛。
目の前が、濁った赤で染まった。
「う…嘘…研究者さん…!?」
少年は元々泣いていた顔を更に歪ませてぼろぼろと涙を流した。
まだ幼いのに、嫌なものを見せてしまった。
守りたい。
その一心で、何も考えずに。
俺は腹に刺さってる触手に銃を突き立てた。
パン、と乾いた音が響く。組織が溶けていく。
支えるものが無くなって地面に倒れた俺は、そのまま天辺の口の辺りに、パン、と弾を撃ち込んだ。
意識は、そこで途絶えた。
地面のレンガを壊しながら、それは姿を現した。
3年前に見た、あの化け物と同じ。
絶えず動く触手のようなもの。天辺には口のようなものが付いていて、鋭い歯を覗かせながらぽたぽたと液体を垂らしている。
酷く気味が悪かった。
「じ…『15の謎』だ!!」
人々は思い思いに叫びながら、謎が出現した方と反対方向に一斉に走り出した。
数秒前までの平和な風景が一瞬で崩れ去っていく。
こんなに早く?それもこんなに近くで?
日常なんて、こんなに一瞬で崩れていくんだ――
目の前の状況に絶望していると、ふと、謎の1番近くにいる人物に目が行った。
――あの、少年だ。
転んだまま足がすくんで動かない様子だった。
そうだ。過ぎた知識は時に害になる。過去の被害を知っていれば、動けないほど身がすくんで当然だ。
謎の化け物は破壊が目的。
有機物も無機物も、生死も関係なく、ただただ破壊し続けるのが目的だ。
あそこにいれば死ぬ事は、俺も、きっとあの少年も分かっている。
迷っている暇なんてなかった。
少年がいると分かった瞬間、俺はその方向に向けて走り出した。
もちろん家を出た時、謎が出現した時の対策をしていなかった訳がない。鞄から専用の銃を取り出しながら、走る、走る。
この体積だと3発くらいか。
3発当たれば確実に、謎を無効化できる。
この日の為に何度も練習した。
走りながら俺が放った弾は、パン、と乾いた音を立てて、確実に謎の触手に突き刺さる。
組織が溶けていく様を見ながら、俺は少年のところに辿り着いた。
「怖かったな、大丈夫だ。俺が片付ける」
「そんな…!1人でなんて無理ですよ!僕なんか放っておいて研究者さんは助けを呼んでください!死んじゃいますよ…!」
少年は泣きながら必死に訴える。
全く、俺の心配できる元気があるなら逃げろってのに。
その時だった。
ひゅっ、と、少年の後ろから触手が伸びてくる。
余りに突然。触手は完全に少年を殺そうとしていた。
「え?」
どすっ、
俺は咄嗟に少年を横に突き飛ばした。
腹が貫かれるのが、見えた。
血の味がする。
遅れて、意識を手放しそうな程の激痛。
目の前が、濁った赤で染まった。
「う…嘘…研究者さん…!?」
少年は元々泣いていた顔を更に歪ませてぼろぼろと涙を流した。
まだ幼いのに、嫌なものを見せてしまった。
守りたい。
その一心で、何も考えずに。
俺は腹に刺さってる触手に銃を突き立てた。
パン、と乾いた音が響く。組織が溶けていく。
支えるものが無くなって地面に倒れた俺は、そのまま天辺の口の辺りに、パン、と弾を撃ち込んだ。
意識は、そこで途絶えた。