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第2の謎 出会い

「知ってるなら話が早いな。俺はアルス、謎についての研究をしている。最近で何かいつもと違うと感じたことがあれば教えて欲しい。野菜が高い、とかだな」
「野菜が高い…」

ちら、と少年は自分の抱えている袋を見た。
そこにはパンや卵などが詰められている。野菜は見受けられない。

「野菜が高い、というより、植物が全体的に育たなくなりますよね。3年前も同じような事が起こりましたね」
「へえ、よく知ってるな」
「えへへ、勉強したんですって」

ふにゃ、と笑う少年。
猫っ毛を撫でてやりたくなる。我慢だ。

「他に変わった点はあるか?」
「ん〜…空気が汚れてきてる?というか、遠くが少し茶色っぽく霞むことが増えてきた気はします」
「そうだな」

そう、そこだ。

「…それが植物が上手く育たない原因の物質なんだと思う。3年前の災害に含まれていた物質と同じものだ。植物の気孔に付着して成長に必要な成分を吸収する性質を持っている。恐らくそれがあの化け物の原動力になっているんだろうな、だからそろそろ謎が出現すると考えて間違いないと思う。その物質の化学式なんだが、今現在分かっている原子では説明がつかなくて――…あ」

…まただ。
専門分野の話になると話が止まらなくなる。

悪い癖だとは分かっていても、なかなか治せない。人と話すことがないから尚更だ。

「悪い…答えてくれてありがとうな」

ふっ、と苦笑いして、その場を去ろうとすると、

「あの!研究者さん!」

大声で、少年に呼び止められた。
周りの人がちらちらとこっちを見る。

研究者さん?…恥ずかしいな。

「そんな大声で呼ばなくても聞こえてる」

呆れたように言うと、少年はかあっと頬を染めた。

「あ、あの…!すごく、なんというか、刺激になりました…僕も、勉強頑張ります!ありがとうございます…!」

何故か、泣きそうな顔をしながら。
少年は必死にお礼を告げてきた。


――守りたいものが、ある。

俺はその少年を見ながら、ただそう思った。
絶対に、謎を収容しなければならない。

確実に近づく、2つ目の謎。


「…ああ」

にこ、と笑って、少年を見つめる。

跡を継がせることはどう頑張ってもできない・・・・・・・・・・・。その為に俺は生まれてきたんだ。
でも、せめて仲間がいれば。

俺は、小さくなる少年の背中をずっと見つめていた。



その時だった。


地鳴り。次いで、耳が劈かれるような爆発音のようなもの。


予想してたより随分早く、

それは現れた。
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