第2の謎 出会い
「っご、ごめんなさい!」
目が合った次の瞬間、少年は慌てた様子でぱっと頭を下げた。
「あ、いや、俺の方こそぼーっと突っ立ってて…悪い…」
申し訳なさそうに謝る少年。
可愛らしい容姿だ。
ふわふわのクリーム色をした猫っ毛に、とろんとした深いエメラルドグリーンの目。
どことなく、目に光が無いように見えた。
何か、闇を抱えていそうな。
俺はその目に吸い込まれそうな感覚に陥って――
「じゃあ、失礼します」
少年のその言葉で我に返った。
ぺこり、ともう一度頭を下げたかと思うと、少年は去って行こうとする。
さらりとした髪。
晴れた今日の光に透けて、きらきらと光る。
俺はそれを、無意識に、目で追って、
「ちょっと待て」
無意識に、声をかける。
このまま別れてしまったら一生会えないと感じた。せめて名前だけでも。
しかし、長い間他人と接していなかった俺の言葉は少し荒かった。ビクッ、と少年の肩が跳ね、恐る恐るこっちを振り返る。
ああ、申し訳無い。
勢いで話しかけたが、実際に話しかける口実は決まっていた。
俺がこの広場に来た理由でもあったからだ。
「時間があったらでいいんだ、簡単な質問に答えてくれないか?実は仕事で研究をしていて、資料を集めたくて広場に来たんだ。少しでも協力してくれたら助かる」
敬語ってどうやって使うんだ?怖くないだろうか。
心の中でそんなことを思いながら、俺は名刺を渡した。
少年は名刺を受け取り、まじまじと見つめて――固まった。
やっぱり少し怖かっただろうか。
反省するが、ここからどうしていいかわからない。
「……この、苗字」
「ん?」
「……もしかして、貴方、フォッサさんの…?」
「!?」
……驚いた。
苗字だけで突然、父さんの名前が出るなんて。
父さんは自分を表に出したがらない人だったから、父さんの研究は世の中で役に立っていても、父さんの存在を知っている人は一部の人間だけであった。
「…ああ、良く知ってるな?」
「本当に…ですか…!?す、すごい…!僕っ…ずっとあの方と貴方に憧れて、謎についての勉強をしてるんです…!ま、まさか、会えるなんて…!」
少年は震える手で名刺をしっかり持ち、潤んできらきらした目で俺を真っ直ぐ見つめて来る。
そんな目で見られるほど俺は大した事をしていない。父さんがすごいんだ。
しかし、逆に言えば父さんが世間で認められてる事を実感できて、少し嬉しかった。
目が合った次の瞬間、少年は慌てた様子でぱっと頭を下げた。
「あ、いや、俺の方こそぼーっと突っ立ってて…悪い…」
申し訳なさそうに謝る少年。
可愛らしい容姿だ。
ふわふわのクリーム色をした猫っ毛に、とろんとした深いエメラルドグリーンの目。
どことなく、目に光が無いように見えた。
何か、闇を抱えていそうな。
俺はその目に吸い込まれそうな感覚に陥って――
「じゃあ、失礼します」
少年のその言葉で我に返った。
ぺこり、ともう一度頭を下げたかと思うと、少年は去って行こうとする。
さらりとした髪。
晴れた今日の光に透けて、きらきらと光る。
俺はそれを、無意識に、目で追って、
「ちょっと待て」
無意識に、声をかける。
このまま別れてしまったら一生会えないと感じた。せめて名前だけでも。
しかし、長い間他人と接していなかった俺の言葉は少し荒かった。ビクッ、と少年の肩が跳ね、恐る恐るこっちを振り返る。
ああ、申し訳無い。
勢いで話しかけたが、実際に話しかける口実は決まっていた。
俺がこの広場に来た理由でもあったからだ。
「時間があったらでいいんだ、簡単な質問に答えてくれないか?実は仕事で研究をしていて、資料を集めたくて広場に来たんだ。少しでも協力してくれたら助かる」
敬語ってどうやって使うんだ?怖くないだろうか。
心の中でそんなことを思いながら、俺は名刺を渡した。
少年は名刺を受け取り、まじまじと見つめて――固まった。
やっぱり少し怖かっただろうか。
反省するが、ここからどうしていいかわからない。
「……この、苗字」
「ん?」
「……もしかして、貴方、フォッサさんの…?」
「!?」
……驚いた。
苗字だけで突然、父さんの名前が出るなんて。
父さんは自分を表に出したがらない人だったから、父さんの研究は世の中で役に立っていても、父さんの存在を知っている人は一部の人間だけであった。
「…ああ、良く知ってるな?」
「本当に…ですか…!?す、すごい…!僕っ…ずっとあの方と貴方に憧れて、謎についての勉強をしてるんです…!ま、まさか、会えるなんて…!」
少年は震える手で名刺をしっかり持ち、潤んできらきらした目で俺を真っ直ぐ見つめて来る。
そんな目で見られるほど俺は大した事をしていない。父さんがすごいんだ。
しかし、逆に言えば父さんが世間で認められてる事を実感できて、少し嬉しかった。