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第2の謎 出会い

「ご馳走様」

ご飯を食べ終わると、俺はすぐに席を立つ。
用意していた鞄を手に取り、玄関へ向かった。

「えっ?アルスどこいくの?」
「ん?ちょっと広場まで」
「えええ!!アルスが外に!?うそ!!やめておいた方がいいんじゃない!?い、今、真夏だし…その、倒れるよ!?」
「……なんか腹立つな」

それこそ外に出るのは3年ぶりだ。
父親が死んで以来、一度も外には出ていなかった。

…アモルおじさんが過保護だからという理由も半分ぐらいあるのだが。

「大丈夫だって。少し行ってくるだけだ」
「うう…気をつけてね…?」
「はいはい、行ってきます」

挙動不審なアモルおじさんに苦笑いしつつ、俺は重たい玄関のドアを押す。

ざぁっ、と風が吹き込んだ。

正直、自然を感じることが少し怖くなっていた。
外の風景は、いつの間にか全てが父親の記憶とリンクしている。

しかし、そんな事は言ってられない。謎がすぐそこまで迫っている。

俺は進む。一歩、一歩。

家を出て右に真っ直ぐ5分くらい歩くと、道が開けて広場になっている。
広場はいつも沢山の店が出ている。幅広い年齢層の人々が集まって、いつも広場は賑わっていた。

――3年前とほとんど同じ風景だ。

もうこんなに復興が進んでいたなんて。

破壊された面影が全くない広場。
にこにこ笑う人々に、俺は心打たれていた。

そうだ。
この光景を守らなくちゃいけない。

その為に、俺は生まれてきた。


今日ここに来たのは、空気や地面の各数値に異常がないか調べる為と、現地調査の為だった。
俺は鞄から器具を取り出す。モチベーションは十分だった。


その瞬間。

どっ、と肩に衝撃が走った。
続いて、隣で何かが落ちる音。

慌てて隣を見ると、人が倒れていた。

ああ、肩にぶつかって転んだのか。

「あー…大丈夫か?」

他人に触れてこなかったから、上手い言葉遣いなんてわからない。
ただ、心配であることは確かだ。なるべく優しいトーンで話しかける。

話しかけると、その人はビクッと反応し、すぐに起き上がってこっちを見た。


整った顔立ち。

とろんとした目で見つめて来るその少年に、


思わず俺は見蕩れてしまった。
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