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第2の謎 出会い

「……っ!!」


不意に、意識が覚醒する。
頭に少し痛みが走る。それに続いて響く、こぽこぽ、という乾いた音。

どうやら机に向かいながら寝ていたらしい。器具には未だ火がついたままだった。

少し慌てて火を消そうと顔を上げた時、つ、と頬の上を何かが伝う。


――涙?


火を消し終わり頬に触れる。紛れもなくそれは涙だった。
白衣の袖も濡れている。


そうだ。

何か、夢を見ていた気がする。


内容の手掛かりは――そう思って、辺りを見回す。
そこでふと、自分の座っている椅子のあたりに違和感を感じた。


(あ、……毛布)


* *


「あぁ!おはようアルス!」
「おはよ、アモルおじさん。毛布ありがとな」
「ううん!研究お疲れ様!」

アモルおじさんは満面の笑みで寝起きの俺を迎えた。
本当にこの人には世話になりっぱなしだ。

「ご飯できてるからね〜」
「ん、サンキュ」

テーブルに並ぶ朝飯。
俺が焼き立てのパンを頬張ると、アモルおじさんは少し真剣な眼差しを俺に向ける。

「研究は順調?」
「ああ。そろそろ謎も動き出す頃だと思う」
「そっか…。忙しくなるね」


俺の研究。
それは人々が恐れた逸話『15の謎』について。

作り話だと思われていたその話は3年前に現実となり、多くの犠牲者を出した。
研究者であった俺の父親もその犠牲者の1人。

父親の発明品で世界滅亡の危機は防げたが、被害はそう小さいものではなかった。

だからこそ、これからの被害を最小限に抑える為に備えなければならない。

今は父親の跡を継いで、俺が『15の謎』についての研究を進めている。
アモルおじさんは父親の弟。俺を引き取って研究を続けさせてくれている。

アモルおじさんは何に関しても詳しくはないが、ふわふわした雰囲気はとても必要不可欠な要素と言える。
馬鹿にしてる訳じゃないぞ。

「朝ご飯めちゃくちゃ美味い」
「ほんと!?よかったぁ!」

ぱ、と表情が明るくなるアモルおじさんを見て頬が緩む。
しかし、アモルおじさんはすぐに表情を曇らせた。

「でもね、最近野菜がすごく高くって…バランスよく作ってあげられたらいいんだけど、どうしても緑が少なくなっちゃうんだ」
「……そうだな」

野菜が高い。

実は丁度3年前も同じような現象が起きていた。
どうやら謎は植物全般に悪影響を及ぼすらしい。これは元々あった仮説だが、ここまで来るとそう考えざるを得ないだろう。

本当に、そろそろかもしれない。
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