introduction
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自由行動2日目。
自由とは言われても結局二人はサッカーに勤しんでいた。
元々二人とも、年齢以上のプレイセンスを持ち合わせていたのに加え、この島での訓練を経てお互いが驚くほどの力を付けていた。
水月自身、過酷な訓練を超えて、かなりパワーアップしていた自信はあったのだが、京介はそれ以上で...。
少しは追い付けるかと思ったがまだまだのようだ。
とはいえ、お互い離れてプレイしていたにも拘らず、連携面は意外と鈍っていないようで一安心といったところ。
「お前はプレイングよりもその視野と知識が持ち味なんだから、俺と比べてもしょうがないだろ」
とは京介の談であるが、水月的には嬉しいのだか悔しいのだか微妙なラインである。
その夜、水月は何となく寝付けなかった。
久しぶりに京介としたサッカーが楽しかったからなのか、これからが不安なのか、そんなことは分からなかったけれど。
京介を起こさないようにこっそり部屋から出る、ベッドは私が使った方がいいとか言っちゃって、自分だって疲れは抜けきってないだろうに...素っ気ないようで誰よりも優しいんだよなぁ。
そんなことを思いながら部屋を、廊下を、訓練塔を抜ける。
外に出ると人口の明かりなどない、月明かりだけが照らす静かな夜だった。
訓練塔から離れすぎないよう歩いていたつもりだったが、
ぼーっとしながら歩いているうちに森の中をウロウロする事になってしまった。
当てもなく、というかそこそこいた割に必要な個所以外全く情報のないこの島で当てがあるわけもないのだけれど、只々目的も無く歩いていれば当たり前と言えば当たり前ではある。
「んー、結局戻る場所はどこからでも見えるし...大丈夫だよね。」
何とかなるだろう、それは現状も含めているがこれからの事もだった。
京介と一緒なら、どこまででも頑張れる気がした。
ふと気づくと開けた場所に出ていて、森の中にひっそりと佇む湖のほとりへとたどり着いていた。
月が水面に反射して、なんとなく幻想的だなぁとかそんな事思いながらぼーっとしてみる。
なんかこういうのを見て、綺麗だなぁとかそういうのを感じるのは久しぶりな気がした。
それだけ必死で、ここまでやってきたんだなぁとか、そもそもそんなこと思うタイプでもないかとか、そんなことも思いつつ。
「やぁ、こんな時間に何してるの?妖精さん」
「ぇあっ?!」
すごい声が出た、突然こんな場所で話しかけられるとも思ってなかったし、急だったし、いや今から話しかけるよとか言われても無理だけど。
「...ごめんね?すごいビックリさせちゃったみたいで」
「っあいや、全然、ホントちょっとびっくりしただけだから大丈夫」
自分でもどこがちょっとなのか分からないぐらい動転していた。
「本当に大丈夫...?ごめんね、こんな時間に1人でいたからどうしたのかなって」
どうやら善意...らしい、とはいえよくよく考えるとこの島にきて訓練塔の外で京介以外の人と会うのは初めてだし、そもそもこの人は誰なんだ...?ちょっと不安になってきた。
「あーえっと、ちょっと寝れなくて、散歩?」
「気分転換ってところだね」
「そういう君は...?」
「あ~えっと、僕はシュウ!この辺に住ん...うん、住んでる」
(この島住人がいたの!?)
「そ、そうなんだ、私水月、白坂水月。色々あって、あそこの訓練塔にいたんだけど明日島を出るんだよね」
「そっかぁ、島を出るんだね...、それならもっと早く水月には会いたかったなぁ」
「ずっとあそこに居ただけだったからねぇ、私も外に人がいるなんて思ってなかったし...。」
居ただけっていうのは語弊があるかもしれないけれど、まぁ初めて会うこのシュウという少年がどこまで知っているかもわからないので、これでいい事にする。
「そうなんだね...こんなかわいい子が島にいたなんてね、可愛いって言うか綺麗かな?」
「かっ?!かわいいとか!?」
正直想定外だ、突然出会った上にその、可愛いとか、殆ど言われたことないし。
「うん、水月すごく可愛いし綺麗だよ、ここに立ってるの見た時、湖の妖精かと思った」
「そんなこと言うのシュウが初めてだよ...私、サッカーばっかりだから女っぽくないし。」
「君もサッカーやるの?」
「てことはシュウも?」
意外や意外、こんな所でサッカー仲間に出会うとは。
「シュウともサッカーしたかったな~、今ボールないからねぇ」
「...そうだね。」
...?なにか間があったけど、気のせいかな。
「私は得意って言えるのサッカーぐらいだし、この島にもまぁ、一応サッカー強くなる為に来たんだよね」
「強く...?」
「うん、置いて行かれないようにしなきゃ...もっともっと強くならなきゃいけないんだ。」
「そっか、強くなるのはいい事だよ、大事な物を守れる強さがあるってのはとてもいい事だ」
そう言うシュウの目線はこっちを見ているようで、別の場所を見てるような、どこか寂し気な感じがした。
したけれど、私をそれ以上踏み込ませないような、そんな迫力があって何も言えなかった。
「もっと強くなるからさ、私。そしたら、また会えたら、一緒にサッカーしようね、シュウ」
「うん...また、ね。また会えたら、その時は一緒にサッカーしよう。」
「約束、ね」
何も言えなかったけど、代わりにそんな約束をして。
また、なんて来るのかどうかも分からないけれど...
来たらいいなと、そう思った。
自由とは言われても結局二人はサッカーに勤しんでいた。
元々二人とも、年齢以上のプレイセンスを持ち合わせていたのに加え、この島での訓練を経てお互いが驚くほどの力を付けていた。
水月自身、過酷な訓練を超えて、かなりパワーアップしていた自信はあったのだが、京介はそれ以上で...。
少しは追い付けるかと思ったがまだまだのようだ。
とはいえ、お互い離れてプレイしていたにも拘らず、連携面は意外と鈍っていないようで一安心といったところ。
「お前はプレイングよりもその視野と知識が持ち味なんだから、俺と比べてもしょうがないだろ」
とは京介の談であるが、水月的には嬉しいのだか悔しいのだか微妙なラインである。
その夜、水月は何となく寝付けなかった。
久しぶりに京介としたサッカーが楽しかったからなのか、これからが不安なのか、そんなことは分からなかったけれど。
京介を起こさないようにこっそり部屋から出る、ベッドは私が使った方がいいとか言っちゃって、自分だって疲れは抜けきってないだろうに...素っ気ないようで誰よりも優しいんだよなぁ。
そんなことを思いながら部屋を、廊下を、訓練塔を抜ける。
外に出ると人口の明かりなどない、月明かりだけが照らす静かな夜だった。
訓練塔から離れすぎないよう歩いていたつもりだったが、
ぼーっとしながら歩いているうちに森の中をウロウロする事になってしまった。
当てもなく、というかそこそこいた割に必要な個所以外全く情報のないこの島で当てがあるわけもないのだけれど、只々目的も無く歩いていれば当たり前と言えば当たり前ではある。
「んー、結局戻る場所はどこからでも見えるし...大丈夫だよね。」
何とかなるだろう、それは現状も含めているがこれからの事もだった。
京介と一緒なら、どこまででも頑張れる気がした。
ふと気づくと開けた場所に出ていて、森の中にひっそりと佇む湖のほとりへとたどり着いていた。
月が水面に反射して、なんとなく幻想的だなぁとかそんな事思いながらぼーっとしてみる。
なんかこういうのを見て、綺麗だなぁとかそういうのを感じるのは久しぶりな気がした。
それだけ必死で、ここまでやってきたんだなぁとか、そもそもそんなこと思うタイプでもないかとか、そんなことも思いつつ。
「やぁ、こんな時間に何してるの?妖精さん」
「ぇあっ?!」
すごい声が出た、突然こんな場所で話しかけられるとも思ってなかったし、急だったし、いや今から話しかけるよとか言われても無理だけど。
「...ごめんね?すごいビックリさせちゃったみたいで」
「っあいや、全然、ホントちょっとびっくりしただけだから大丈夫」
自分でもどこがちょっとなのか分からないぐらい動転していた。
「本当に大丈夫...?ごめんね、こんな時間に1人でいたからどうしたのかなって」
どうやら善意...らしい、とはいえよくよく考えるとこの島にきて訓練塔の外で京介以外の人と会うのは初めてだし、そもそもこの人は誰なんだ...?ちょっと不安になってきた。
「あーえっと、ちょっと寝れなくて、散歩?」
「気分転換ってところだね」
「そういう君は...?」
「あ~えっと、僕はシュウ!この辺に住ん...うん、住んでる」
(この島住人がいたの!?)
「そ、そうなんだ、私水月、白坂水月。色々あって、あそこの訓練塔にいたんだけど明日島を出るんだよね」
「そっかぁ、島を出るんだね...、それならもっと早く水月には会いたかったなぁ」
「ずっとあそこに居ただけだったからねぇ、私も外に人がいるなんて思ってなかったし...。」
居ただけっていうのは語弊があるかもしれないけれど、まぁ初めて会うこのシュウという少年がどこまで知っているかもわからないので、これでいい事にする。
「そうなんだね...こんなかわいい子が島にいたなんてね、可愛いって言うか綺麗かな?」
「かっ?!かわいいとか!?」
正直想定外だ、突然出会った上にその、可愛いとか、殆ど言われたことないし。
「うん、水月すごく可愛いし綺麗だよ、ここに立ってるの見た時、湖の妖精かと思った」
「そんなこと言うのシュウが初めてだよ...私、サッカーばっかりだから女っぽくないし。」
「君もサッカーやるの?」
「てことはシュウも?」
意外や意外、こんな所でサッカー仲間に出会うとは。
「シュウともサッカーしたかったな~、今ボールないからねぇ」
「...そうだね。」
...?なにか間があったけど、気のせいかな。
「私は得意って言えるのサッカーぐらいだし、この島にもまぁ、一応サッカー強くなる為に来たんだよね」
「強く...?」
「うん、置いて行かれないようにしなきゃ...もっともっと強くならなきゃいけないんだ。」
「そっか、強くなるのはいい事だよ、大事な物を守れる強さがあるってのはとてもいい事だ」
そう言うシュウの目線はこっちを見ているようで、別の場所を見てるような、どこか寂し気な感じがした。
したけれど、私をそれ以上踏み込ませないような、そんな迫力があって何も言えなかった。
「もっと強くなるからさ、私。そしたら、また会えたら、一緒にサッカーしようね、シュウ」
「うん...また、ね。また会えたら、その時は一緒にサッカーしよう。」
「約束、ね」
何も言えなかったけど、代わりにそんな約束をして。
また、なんて来るのかどうかも分からないけれど...
来たらいいなと、そう思った。