キミとボクの居場所
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菅原視点
朝、家を出ると降り注ぐ太陽の光。
梅雨の時期の貴重な晴天に思わず背伸びをした後、俺は幼なじみの家へ向かう。
俺の家から徒歩10秒の隣に住む幼なじみ、結愛は俺が門に手をかけたのと同時に玄関から出てきた。
「孝ちゃん!おはよー!」
顔中笑顔で満開の結愛を見て俺まで笑顔満開になるんだから、俺は本当に単純だ。
「おはよ、結愛!
今日は雅兄、ちゃんと起きたか~?」
「3回目でやっと!
本当、朝は苦手なんだから」
困るよね、なんて言いながらも結愛の表情は笑顔だ。
結愛が隣に引っ越してきてもう10年になる。
初めて会った日は今でも鮮明に覚えている。
両親と一緒に家に挨拶に来て、少し不安そうな顔で母親の手を握っていた結愛。
俺よりひとつ年下という事が分かり、俺の母親は
だったら孝支がお兄ちゃんとして優しくしてあげなさい、なんて言って俺の背中を結愛の前へと押し出した。
「よ、よろしく!」
そう言って差し出した俺の手と顔を交互に見て、
結愛は笑って俺の手をそっと握った。
「よろしくお願いします!」
少し恥ずかしそうな顔で、だけど笑顔も浮かべていた結愛を見て俺の幼い心はトクン、と音を立てた。
それから俺達はいつも一緒に過ごした。
学校ではそりゃ別々だけど、放課後は一緒に遊んだり時には家族みんなで遊びにいったりした。
雅兄に会ったのは結愛が引っ越して来て3ヶ月経った位だった。
結愛からよく話は聞いていたから初めて会った時は何だか感動したのも覚えてる。
雅兄は俺にも優しかった。
魔法ぜよ、なんて言って色んな遊びで俺達をいつも楽しませてくれた。
ずっと続くと思っていた。
結愛と、家族みんなと過ごす楽しい時が。
だけど、それはあの日一瞬で崩れ去った。
突然の結愛の両親の事故死。
現実感がないまま両親に連れられ葬式にいくと、結愛はまるで感情を全て失ったようにただ両親の遺影を見ていた。
…かける言葉もなかった。
ただ、もうおじさんとおばさんはいない、
そんな現実をやっと実感して俺は泣いた。
俺でさえこんなにも悲しくて辛くて胸が痛くて涙が止まらないのに、結愛はどれだけの悲しみや辛さを感じているのか。
それを思うと俺は結愛に何も言えなくて、
ただ泣き続けた。
それから1ヶ月程して、雅兄が結愛と一緒に暮らすために引っ越してきた。
結愛と一緒に家に来た雅兄は俺の両親に深く頭を下げて挨拶をした。
久しぶりに会う結愛は少し痩せていた様に思う。
だけど、ちゃんと感情があると思った。
雅兄の手を強く握っていた結愛は、ちゃんと笑えていたから。
悲しみや辛さはまだ滲ませながらも、それでも結愛は雅兄と一緒に俺に笑顔を向けてくれた。
あれから6年、最初は上手くいかない事もあったみたいだし結愛には結愛の、雅兄には雅兄の悩みがあったりしたみたいだけれど、ふたりは時にはぶつかりながらもしっかりと家族になっていった。
「あ、ねぇ孝ちゃん、
土曜日って部活夕方には終わるかな?」
「んー、18時には終わると思うけど…。
どした~?」
「雅君が美術館のチケットくれたの。
一緒にいかない?」
「あー、何かCMしてんの見た見た!
いいべ!いこ!」
「ほんと!?良かった!
あ、じゃあさその後ご飯食べにいこうよ」
「うっし!激辛麻婆豆腐な!」
「絶対嫌!」
笑いながらふたりで学校までの道を歩く。
それがどんなに奇跡的な事なのか
それが俺達には分かるから。
だからこの一瞬一瞬を大切にしよう。
いつまでもふたりで笑っていられる様に。
「チチンプリプリ~、
結愛と孝支はずっと仲良しで笑っているぜよ~」
そう、昔雅兄がかけてくれた魔法の様に。
朝、家を出ると降り注ぐ太陽の光。
梅雨の時期の貴重な晴天に思わず背伸びをした後、俺は幼なじみの家へ向かう。
俺の家から徒歩10秒の隣に住む幼なじみ、結愛は俺が門に手をかけたのと同時に玄関から出てきた。
「孝ちゃん!おはよー!」
顔中笑顔で満開の結愛を見て俺まで笑顔満開になるんだから、俺は本当に単純だ。
「おはよ、結愛!
今日は雅兄、ちゃんと起きたか~?」
「3回目でやっと!
本当、朝は苦手なんだから」
困るよね、なんて言いながらも結愛の表情は笑顔だ。
結愛が隣に引っ越してきてもう10年になる。
初めて会った日は今でも鮮明に覚えている。
両親と一緒に家に挨拶に来て、少し不安そうな顔で母親の手を握っていた結愛。
俺よりひとつ年下という事が分かり、俺の母親は
だったら孝支がお兄ちゃんとして優しくしてあげなさい、なんて言って俺の背中を結愛の前へと押し出した。
「よ、よろしく!」
そう言って差し出した俺の手と顔を交互に見て、
結愛は笑って俺の手をそっと握った。
「よろしくお願いします!」
少し恥ずかしそうな顔で、だけど笑顔も浮かべていた結愛を見て俺の幼い心はトクン、と音を立てた。
それから俺達はいつも一緒に過ごした。
学校ではそりゃ別々だけど、放課後は一緒に遊んだり時には家族みんなで遊びにいったりした。
雅兄に会ったのは結愛が引っ越して来て3ヶ月経った位だった。
結愛からよく話は聞いていたから初めて会った時は何だか感動したのも覚えてる。
雅兄は俺にも優しかった。
魔法ぜよ、なんて言って色んな遊びで俺達をいつも楽しませてくれた。
ずっと続くと思っていた。
結愛と、家族みんなと過ごす楽しい時が。
だけど、それはあの日一瞬で崩れ去った。
突然の結愛の両親の事故死。
現実感がないまま両親に連れられ葬式にいくと、結愛はまるで感情を全て失ったようにただ両親の遺影を見ていた。
…かける言葉もなかった。
ただ、もうおじさんとおばさんはいない、
そんな現実をやっと実感して俺は泣いた。
俺でさえこんなにも悲しくて辛くて胸が痛くて涙が止まらないのに、結愛はどれだけの悲しみや辛さを感じているのか。
それを思うと俺は結愛に何も言えなくて、
ただ泣き続けた。
それから1ヶ月程して、雅兄が結愛と一緒に暮らすために引っ越してきた。
結愛と一緒に家に来た雅兄は俺の両親に深く頭を下げて挨拶をした。
久しぶりに会う結愛は少し痩せていた様に思う。
だけど、ちゃんと感情があると思った。
雅兄の手を強く握っていた結愛は、ちゃんと笑えていたから。
悲しみや辛さはまだ滲ませながらも、それでも結愛は雅兄と一緒に俺に笑顔を向けてくれた。
あれから6年、最初は上手くいかない事もあったみたいだし結愛には結愛の、雅兄には雅兄の悩みがあったりしたみたいだけれど、ふたりは時にはぶつかりながらもしっかりと家族になっていった。
「あ、ねぇ孝ちゃん、
土曜日って部活夕方には終わるかな?」
「んー、18時には終わると思うけど…。
どした~?」
「雅君が美術館のチケットくれたの。
一緒にいかない?」
「あー、何かCMしてんの見た見た!
いいべ!いこ!」
「ほんと!?良かった!
あ、じゃあさその後ご飯食べにいこうよ」
「うっし!激辛麻婆豆腐な!」
「絶対嫌!」
笑いながらふたりで学校までの道を歩く。
それがどんなに奇跡的な事なのか
それが俺達には分かるから。
だからこの一瞬一瞬を大切にしよう。
いつまでもふたりで笑っていられる様に。
「チチンプリプリ~、
結愛と孝支はずっと仲良しで笑っているぜよ~」
そう、昔雅兄がかけてくれた魔法の様に。