キミとボクの居場所
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俺が15の時、姉夫婦に子どもが生まれた。
俺にとってはじめての姪で、
姉と2人姉弟の俺にとってはじめて守るべき存在が出来た様な気がした。
結愛と名付けられた姪は両親、祖父母からたくさんの愛情を受けすくすくと育っていった。
結愛は俺にとてもなついてくれた。
俺もそんな結愛が可愛くて可愛くて、しょっちゅう一緒に過ごした。
時間が可能な限り仕事で忙しい姉夫婦に変わって幼稚園へ迎えにいったり、時には立海テニス部の皆も一緒に遊びにいったり。
結愛が小学校入学と同時に義兄の転勤で宮城に引っ越したが、それでも交流は頻繁に続けていた。
このまま元気に幸せに、たくさんの愛情を受けながら育ってほしい、
そう思っていたのに、
あの日、
結愛の運命は大きく変わってしまった。
突然の姉夫婦の事故死。
結愛はまだ10歳だった。
連絡を受けすぐに両親と共に宮城へ向かった。
病院に着くと結愛は姉夫婦の遺体を前に立ち尽くしていた。
病院の看護師が何度か別の部屋へ連れていこうとしたが、頑なに姉夫婦のそばから離れようとしなかったらしい。
事故の原因は対向車の居眠り運転だった。
結愛の隣に座っていた姉は結愛を守るように抱きしめるように結愛に覆い被さっていたと聞いた。
どんなに悲しくてもやるせなくても悔しくても、人が亡くなるとやらなきゃならないたくさんの事に追われる。
葬式など一通りの事を終えてから改めて実感する。
大切な人が亡くなった悲しみ、焦燥感。
そして、
遺された結愛のこれから。
義兄の両親、俺の両親で話し合いを重ねている間、
俺は結愛と一緒に過ごした。
そしてふと、気づいた。
結愛が泣いていない事に。
俺が病院に着いた時から
結愛はずっと泣いていない。
まるで感情を無くしてしまったかの様に、結愛はずっと泣きもせず今もただ、姉夫婦の
遺影を見つめている。
「…結愛」
俺の呼びかけにも反応せず姉夫婦の遺影から目を離さない。
「…結愛」
もう一度、今度は結愛の肩をなるべく優しく掴み呼びかける。
するとゆっくりと俺を見る結愛。
「…結愛、泣いてええよ」
俺の言葉に微かに結愛の瞳が揺れた。
「ごめんな、結愛が1番、辛かったよな。
結愛が1番、悲しくて辛くて泣きたいのに、俺達が先に泣いて。
ごめんな、我慢させて」
ずっと気丈に耐えていたんだろう。
恐らくまわりの人間が泣いていたから。
それでも大人達がバタバタとやらなきゃならない事に追われるのを見て、
自分が泣いたら駄目だと、思わせてしまった。
「結愛、もうええよ。
泣いてええんじゃ」
みるみると大きな瞳に涙が溢れてくると、
結愛は俺にしがみつくようにして泣き出した。
「マ、ママが、
私を守って、くれたの…!
パパが、必死に私とママに、
手を、伸ばして…!
パパと、ママが、
私の顔を、撫でて、
…ごめんね、って。
結愛は、パパとママの、
世界一の宝物だから、
世界一、大好きだからって…。
だから、幸せになって、って…!」
泣きじゃくりながらそう話す結愛を、
俺はただ抱きしめる事しか出来なかった。
「どんどん、パパとママの手が、
冷たくなっていったの…。
何回も何回も、パパとママを呼んだの…。
でも、パパもママも、
何にも言ってくれなくなって…」
…何でじゃ。
何で結愛がこんな辛い目に合わないかんのじゃ…。
まだたったの10歳、
なのに何で、
何で、
結愛がこんな…!
嗚咽混じりに泣きじゃくる結愛を抱きしめながら、
俺は決めた。
結愛は、俺が育てると。
俺にとってはじめての姪で、
姉と2人姉弟の俺にとってはじめて守るべき存在が出来た様な気がした。
結愛と名付けられた姪は両親、祖父母からたくさんの愛情を受けすくすくと育っていった。
結愛は俺にとてもなついてくれた。
俺もそんな結愛が可愛くて可愛くて、しょっちゅう一緒に過ごした。
時間が可能な限り仕事で忙しい姉夫婦に変わって幼稚園へ迎えにいったり、時には立海テニス部の皆も一緒に遊びにいったり。
結愛が小学校入学と同時に義兄の転勤で宮城に引っ越したが、それでも交流は頻繁に続けていた。
このまま元気に幸せに、たくさんの愛情を受けながら育ってほしい、
そう思っていたのに、
あの日、
結愛の運命は大きく変わってしまった。
突然の姉夫婦の事故死。
結愛はまだ10歳だった。
連絡を受けすぐに両親と共に宮城へ向かった。
病院に着くと結愛は姉夫婦の遺体を前に立ち尽くしていた。
病院の看護師が何度か別の部屋へ連れていこうとしたが、頑なに姉夫婦のそばから離れようとしなかったらしい。
事故の原因は対向車の居眠り運転だった。
結愛の隣に座っていた姉は結愛を守るように抱きしめるように結愛に覆い被さっていたと聞いた。
どんなに悲しくてもやるせなくても悔しくても、人が亡くなるとやらなきゃならないたくさんの事に追われる。
葬式など一通りの事を終えてから改めて実感する。
大切な人が亡くなった悲しみ、焦燥感。
そして、
遺された結愛のこれから。
義兄の両親、俺の両親で話し合いを重ねている間、
俺は結愛と一緒に過ごした。
そしてふと、気づいた。
結愛が泣いていない事に。
俺が病院に着いた時から
結愛はずっと泣いていない。
まるで感情を無くしてしまったかの様に、結愛はずっと泣きもせず今もただ、姉夫婦の
遺影を見つめている。
「…結愛」
俺の呼びかけにも反応せず姉夫婦の遺影から目を離さない。
「…結愛」
もう一度、今度は結愛の肩をなるべく優しく掴み呼びかける。
するとゆっくりと俺を見る結愛。
「…結愛、泣いてええよ」
俺の言葉に微かに結愛の瞳が揺れた。
「ごめんな、結愛が1番、辛かったよな。
結愛が1番、悲しくて辛くて泣きたいのに、俺達が先に泣いて。
ごめんな、我慢させて」
ずっと気丈に耐えていたんだろう。
恐らくまわりの人間が泣いていたから。
それでも大人達がバタバタとやらなきゃならない事に追われるのを見て、
自分が泣いたら駄目だと、思わせてしまった。
「結愛、もうええよ。
泣いてええんじゃ」
みるみると大きな瞳に涙が溢れてくると、
結愛は俺にしがみつくようにして泣き出した。
「マ、ママが、
私を守って、くれたの…!
パパが、必死に私とママに、
手を、伸ばして…!
パパと、ママが、
私の顔を、撫でて、
…ごめんね、って。
結愛は、パパとママの、
世界一の宝物だから、
世界一、大好きだからって…。
だから、幸せになって、って…!」
泣きじゃくりながらそう話す結愛を、
俺はただ抱きしめる事しか出来なかった。
「どんどん、パパとママの手が、
冷たくなっていったの…。
何回も何回も、パパとママを呼んだの…。
でも、パパもママも、
何にも言ってくれなくなって…」
…何でじゃ。
何で結愛がこんな辛い目に合わないかんのじゃ…。
まだたったの10歳、
なのに何で、
何で、
結愛がこんな…!
嗚咽混じりに泣きじゃくる結愛を抱きしめながら、
俺は決めた。
結愛は、俺が育てると。
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