短編・中編
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好きなヤツがいる。
初めて見たのは中学3年の時。
牛島さんに憧れていた俺はよく白鳥沢の試合を観に行っていた。
ある日、試合後に会場のホールにいた牛島さんを見かけた俺は思わず物陰に隠れた。
牛島さんは辺りをキョロキョロと見渡している様で。
誰かを待っているのか?何て思っていたら女の声が聞こえた。
「若利君!」
「那奈
遅かったな、迷わなかったか?」
「迷わないよー!ごめんね、疲れてるのに待たせちゃって」
そう言って手を合わせて謝る女子に牛島さんは大丈夫だと言いながら試合中には絶対見せないであろう優しい顔でその女子の頭を撫でた。
…彼女か?
そりゃそうか、何せあの白鳥沢のエース、牛島若利だ。
彼女位いて当然だ。
そう思って俺はそのまま踵を返して会場を出た。
次に会ったのは入学式の日だった。
自分のクラスを確認して教室に入った瞬間、
彼女の姿が目に入った。
…あの時の牛島さんの彼女だ。
何て思いながら自分の席を確認して席に着く。
チャイムがなり各々が席に着く。
何となく彼女を見ていたら彼女は俺の隣の席に座った。
「隣だね、よろしくね!」
初対面、多少の緊張があるだろうに彼女はそんなものを感じさせない笑顔で明るくそう言った。
「…ああ、よろしく」
顔を反らしてしまったのは、
赤くなった顔を隠すためだった。
入学初日からバレー部は見学を開始していたからすぐに見に行った。
俺は一般入学。
推薦で入った奴とはスタートラインが全然違う。
だから早く入部して練習したかった。
「あれ?白布君?」
そんな中ふと声を掛けられ振り向くと市ノ瀬がいた。
…彼氏の牛島さんを見に来たのか?
何て思って胸がざわついた。
「白布君もバレー部に入部希望なの?」
「ああ、
…って、市ノ瀬も?女バレなら向こうの第2体育館だぞ」
「ううん、私男バレのマネージャー希望だから」
「…ふーん」
彼氏のためにそこまですんのかよ。
白鳥沢のバレー部は超強豪校だ、そんな浮わついた気持ちで簡単に務まるもんじゃねぇのに。
…何て心の中で悪態をついてた俺に市ノ瀬は笑顔で言った。
「バレー部のね、牛島若利君っているでしょ?
私、若利君とは従兄弟なんだけどね…」
「はっ!?従兄弟?
牛島さんの!?」
市ノ瀬の言葉を遮って思わずそう叫んだ俺に市ノ瀬は目を丸くして驚いた顔をする。
それから俺達は同じクラス、同じ部活なのもあって1日の大半を一緒に過ごす事になった。
中学の時は選手としてバレーをしていた市ノ瀬とは話が合った。
牛島さんに対して幼い頃から憧れていた市ノ瀬は白鳥沢に入れたら男バレのマネージャーになって白鳥沢バレー部の力になりたいとずっと思っていたらしい。
その思い通り、市ノ瀬はマネージャーの仕事にも一生懸命だった。
かなりの仕事量だろうに文句ひとつ言わずこなしていた。
…そんな市ノ瀬を意識し出すのに時間はかからなかった。
「…うん、いるよ」
何時ものように太一も一緒に他愛ない話をしながら片付けをしている時、
話の流れから思いきって聞いた、
好きなヤツいるのか、と。
その返事に対してそう答えた市ノ瀬は、
どこか悲しそうな顔をしていた。
中学時代、ずっと好きだったというそいつは去年市ノ瀬に何も言わず引っ越したらしい。
…ショックだっただろうな、
自分に何も言わず引っ越すとか。
そいつの事を話す市ノ瀬の表情で、
市ノ瀬がまだそいつの事が好きなのも分かった。
…だけどそいつはもういないんだ。
だったらもういいじゃねぇか、忘れたら。
忘れて、
俺を
見てくれよ。
初めて見たのは中学3年の時。
牛島さんに憧れていた俺はよく白鳥沢の試合を観に行っていた。
ある日、試合後に会場のホールにいた牛島さんを見かけた俺は思わず物陰に隠れた。
牛島さんは辺りをキョロキョロと見渡している様で。
誰かを待っているのか?何て思っていたら女の声が聞こえた。
「若利君!」
「那奈
遅かったな、迷わなかったか?」
「迷わないよー!ごめんね、疲れてるのに待たせちゃって」
そう言って手を合わせて謝る女子に牛島さんは大丈夫だと言いながら試合中には絶対見せないであろう優しい顔でその女子の頭を撫でた。
…彼女か?
そりゃそうか、何せあの白鳥沢のエース、牛島若利だ。
彼女位いて当然だ。
そう思って俺はそのまま踵を返して会場を出た。
次に会ったのは入学式の日だった。
自分のクラスを確認して教室に入った瞬間、
彼女の姿が目に入った。
…あの時の牛島さんの彼女だ。
何て思いながら自分の席を確認して席に着く。
チャイムがなり各々が席に着く。
何となく彼女を見ていたら彼女は俺の隣の席に座った。
「隣だね、よろしくね!」
初対面、多少の緊張があるだろうに彼女はそんなものを感じさせない笑顔で明るくそう言った。
「…ああ、よろしく」
顔を反らしてしまったのは、
赤くなった顔を隠すためだった。
入学初日からバレー部は見学を開始していたからすぐに見に行った。
俺は一般入学。
推薦で入った奴とはスタートラインが全然違う。
だから早く入部して練習したかった。
「あれ?白布君?」
そんな中ふと声を掛けられ振り向くと市ノ瀬がいた。
…彼氏の牛島さんを見に来たのか?
何て思って胸がざわついた。
「白布君もバレー部に入部希望なの?」
「ああ、
…って、市ノ瀬も?女バレなら向こうの第2体育館だぞ」
「ううん、私男バレのマネージャー希望だから」
「…ふーん」
彼氏のためにそこまですんのかよ。
白鳥沢のバレー部は超強豪校だ、そんな浮わついた気持ちで簡単に務まるもんじゃねぇのに。
…何て心の中で悪態をついてた俺に市ノ瀬は笑顔で言った。
「バレー部のね、牛島若利君っているでしょ?
私、若利君とは従兄弟なんだけどね…」
「はっ!?従兄弟?
牛島さんの!?」
市ノ瀬の言葉を遮って思わずそう叫んだ俺に市ノ瀬は目を丸くして驚いた顔をする。
それから俺達は同じクラス、同じ部活なのもあって1日の大半を一緒に過ごす事になった。
中学の時は選手としてバレーをしていた市ノ瀬とは話が合った。
牛島さんに対して幼い頃から憧れていた市ノ瀬は白鳥沢に入れたら男バレのマネージャーになって白鳥沢バレー部の力になりたいとずっと思っていたらしい。
その思い通り、市ノ瀬はマネージャーの仕事にも一生懸命だった。
かなりの仕事量だろうに文句ひとつ言わずこなしていた。
…そんな市ノ瀬を意識し出すのに時間はかからなかった。
「…うん、いるよ」
何時ものように太一も一緒に他愛ない話をしながら片付けをしている時、
話の流れから思いきって聞いた、
好きなヤツいるのか、と。
その返事に対してそう答えた市ノ瀬は、
どこか悲しそうな顔をしていた。
中学時代、ずっと好きだったというそいつは去年市ノ瀬に何も言わず引っ越したらしい。
…ショックだっただろうな、
自分に何も言わず引っ越すとか。
そいつの事を話す市ノ瀬の表情で、
市ノ瀬がまだそいつの事が好きなのも分かった。
…だけどそいつはもういないんだ。
だったらもういいじゃねぇか、忘れたら。
忘れて、
俺を
見てくれよ。