短編・中編
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好きな女の子がいた。
誰とも関われなくて、いつもひとりで下を向いて過ごしていた僕に明るく話しかけてくれた女の子。
きっかけは中学に入学して隣の席だった事。
「よろしくね!」
そう、笑顔で明るく話しかけてくれた。
だけど僕は下を向いてひと言返すのが精一杯で。
だって、僕と関わるとみんな不幸になる。
僕をいじめた子はみんな
里香ちゃんの呪いが発動したから。
その呪いは、僕を慕ってくれる妹にまで及ぶものだった。
そんな僕の噂はすぐに広まった。
だけど、それで良かった。
誰も僕に近づかなくなるから。
だけど彼女、
市ノ瀬那奈ちゃんは違った。
僕が押し付けられた仕事も気付いた時には手伝ってくれた。
日直や委員会の仕事も一緒にしようと言ってくれた。
そして、毎日笑顔で挨拶してくれた。
そんな彼女と初めてゆっくりと話したのは夏休みも近づいた頃だった。
彼女は僕の書く字を褒めてくれた。
たったそれだけが、僕は凄く嬉しかった。
誰にも認められない、必要とされない、
こんな、呪われている僕を、
彼女は褒めてくれたんだ。
それが僕は、涙が出る程に嬉しかった。
それから僕は彼女と過ごす時間が増えた。
明るくて誰にでも優しい彼女は僕と違っていつも人に囲まれていた。
勉強も部活も頑張っていて、友達も多い彼女は僕からしたらまるで別次元の人で、キラキラと眩しくて。
そんな彼女と過ごす時間は楽しくて暖かくて。
彼女が笑うと嬉しかった。
彼女の話を聞くのが好きだった。
くるくるとよく変わる表情は見ていて飽きなかった。
3年間、彼女と過ごす内に彼女の僕に対する気持ちも薄々気づいた。
何度か、彼女が僕にその思いを伝えようとしてくれた事も気づいた。
だけど、気づかない振りをして話を反らした。
だって、僕には里香ちゃんがいるから。
彼女の事は本当に大切で、大好きな気持ちがあった。
だけど、里香ちゃんは幼い頃からずっと、
死んでしまってからもずっと僕と一緒にいるんだ。
前に五条先生に言った様に、
それは僕が里香ちゃんに呪いをかけたからなのかも知れない。
この時はそんな事までは分からなかったけれど、僕は彼女の隣にいちゃいけない存在だと思った。
高校は離れたけれど、
それでも彼女は僕に定期的に連絡をくれた。
白鳥沢は進学校だし、強豪校として有名なバレー部のマネージャーをしている彼女は毎日凄く忙しかった事は簡単に想像出来る。
そんな中連絡をくれる事が凄く嬉しかった。
何度か会おうと言ってくれた。
だけど、それを僕は拒否した。
高校で離れて、僕の彼女に対する気持ちはどんどん大きくなった。
だからこそ、会えなかった。
会ってしまったら僕は自分の気持ちを隠せなくなるかも知れない。
そしたら、もしかしたら里香ちゃんは彼女を―。
そう思うと会えなかった。
会いたいけれど、会えない。
そして彼女のいない高校生活で僕はまたひとりに戻った。
いつもひとりで下を向いて過ごした。
そんな僕は当然の様にいじめられた。
そして、
あの日里香ちゃんがあの事件を起こした。
「……太、
憂太!」
「…え?」
隣に座るパンダ君が僕の肩を軽く揺さぶりながら僕の名前を呼ぶ。
「どうしたんだ、ボーッとして」
「すじこ?」
狗巻君も心配そうに僕を見ている。
「あ、ごめんね!
何でもないよ、久しぶりの地元だなって思ったら何だか緊張しちゃって…」
僕の返事にまだ少し心配そうな顔をするパンダ君と狗巻君。
「まぁ色々あったとこだしな」
窓から外の景色を眺めながらそう言う真希さん。
…久しぶりに彼女の事を思い出したのは彼女と過ごしたこの街に来たからなのか。
まさか、任務のためにここに戻ってくるなんて。
窓から外を見ると空は雲ひとつなくて真っ青な空が広がっている。
「憂太君って青が似合うね」
「青?僕が?」
「うん!くもりのない綺麗な青のイメージ」
…そう言って笑っていた彼女。
嬉しかった。
彼女の言葉全てが。
ねぇ、那奈ちゃん。
僕は今、呪術高専に通っているよ。
そこで新しい友達が出来たんだよ。
そう言ったら君はどんな顔をするかな?
きっと喜んでくれるよね。
ねぇ那奈ちゃん。
僕は君にたくさんの優しさと暖かさ、幸せを貰ったよ。
本当は君に会いたい。
そして、笑顔で伝えたい。
僕は今、頑張っているよ。
誰も傷つけずにすむように、
生きてていいって自信を持てるように、
そして、友達と一緒に生きていけるように。
そう、君に伝えたい。
きっと君は喜んでくれるから。
僕の大好きなあのキラキラした笑顔で。
…神様とか信じていないけど、
どうか、彼女がこの先もずっとずっと、
幸せに笑っていられますように。
彼女と過ごした街を前に
僕はそう願わずにはいられなかった。
誰とも関われなくて、いつもひとりで下を向いて過ごしていた僕に明るく話しかけてくれた女の子。
きっかけは中学に入学して隣の席だった事。
「よろしくね!」
そう、笑顔で明るく話しかけてくれた。
だけど僕は下を向いてひと言返すのが精一杯で。
だって、僕と関わるとみんな不幸になる。
僕をいじめた子はみんな
里香ちゃんの呪いが発動したから。
その呪いは、僕を慕ってくれる妹にまで及ぶものだった。
そんな僕の噂はすぐに広まった。
だけど、それで良かった。
誰も僕に近づかなくなるから。
だけど彼女、
市ノ瀬那奈ちゃんは違った。
僕が押し付けられた仕事も気付いた時には手伝ってくれた。
日直や委員会の仕事も一緒にしようと言ってくれた。
そして、毎日笑顔で挨拶してくれた。
そんな彼女と初めてゆっくりと話したのは夏休みも近づいた頃だった。
彼女は僕の書く字を褒めてくれた。
たったそれだけが、僕は凄く嬉しかった。
誰にも認められない、必要とされない、
こんな、呪われている僕を、
彼女は褒めてくれたんだ。
それが僕は、涙が出る程に嬉しかった。
それから僕は彼女と過ごす時間が増えた。
明るくて誰にでも優しい彼女は僕と違っていつも人に囲まれていた。
勉強も部活も頑張っていて、友達も多い彼女は僕からしたらまるで別次元の人で、キラキラと眩しくて。
そんな彼女と過ごす時間は楽しくて暖かくて。
彼女が笑うと嬉しかった。
彼女の話を聞くのが好きだった。
くるくるとよく変わる表情は見ていて飽きなかった。
3年間、彼女と過ごす内に彼女の僕に対する気持ちも薄々気づいた。
何度か、彼女が僕にその思いを伝えようとしてくれた事も気づいた。
だけど、気づかない振りをして話を反らした。
だって、僕には里香ちゃんがいるから。
彼女の事は本当に大切で、大好きな気持ちがあった。
だけど、里香ちゃんは幼い頃からずっと、
死んでしまってからもずっと僕と一緒にいるんだ。
前に五条先生に言った様に、
それは僕が里香ちゃんに呪いをかけたからなのかも知れない。
この時はそんな事までは分からなかったけれど、僕は彼女の隣にいちゃいけない存在だと思った。
高校は離れたけれど、
それでも彼女は僕に定期的に連絡をくれた。
白鳥沢は進学校だし、強豪校として有名なバレー部のマネージャーをしている彼女は毎日凄く忙しかった事は簡単に想像出来る。
そんな中連絡をくれる事が凄く嬉しかった。
何度か会おうと言ってくれた。
だけど、それを僕は拒否した。
高校で離れて、僕の彼女に対する気持ちはどんどん大きくなった。
だからこそ、会えなかった。
会ってしまったら僕は自分の気持ちを隠せなくなるかも知れない。
そしたら、もしかしたら里香ちゃんは彼女を―。
そう思うと会えなかった。
会いたいけれど、会えない。
そして彼女のいない高校生活で僕はまたひとりに戻った。
いつもひとりで下を向いて過ごした。
そんな僕は当然の様にいじめられた。
そして、
あの日里香ちゃんがあの事件を起こした。
「……太、
憂太!」
「…え?」
隣に座るパンダ君が僕の肩を軽く揺さぶりながら僕の名前を呼ぶ。
「どうしたんだ、ボーッとして」
「すじこ?」
狗巻君も心配そうに僕を見ている。
「あ、ごめんね!
何でもないよ、久しぶりの地元だなって思ったら何だか緊張しちゃって…」
僕の返事にまだ少し心配そうな顔をするパンダ君と狗巻君。
「まぁ色々あったとこだしな」
窓から外の景色を眺めながらそう言う真希さん。
…久しぶりに彼女の事を思い出したのは彼女と過ごしたこの街に来たからなのか。
まさか、任務のためにここに戻ってくるなんて。
窓から外を見ると空は雲ひとつなくて真っ青な空が広がっている。
「憂太君って青が似合うね」
「青?僕が?」
「うん!くもりのない綺麗な青のイメージ」
…そう言って笑っていた彼女。
嬉しかった。
彼女の言葉全てが。
ねぇ、那奈ちゃん。
僕は今、呪術高専に通っているよ。
そこで新しい友達が出来たんだよ。
そう言ったら君はどんな顔をするかな?
きっと喜んでくれるよね。
ねぇ那奈ちゃん。
僕は君にたくさんの優しさと暖かさ、幸せを貰ったよ。
本当は君に会いたい。
そして、笑顔で伝えたい。
僕は今、頑張っているよ。
誰も傷つけずにすむように、
生きてていいって自信を持てるように、
そして、友達と一緒に生きていけるように。
そう、君に伝えたい。
きっと君は喜んでくれるから。
僕の大好きなあのキラキラした笑顔で。
…神様とか信じていないけど、
どうか、彼女がこの先もずっとずっと、
幸せに笑っていられますように。
彼女と過ごした街を前に
僕はそう願わずにはいられなかった。