君へ最大の愛を
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二口視点
ここじゃなんだからと、俺達は病院近くにあるカフェに入った。
「すみません、手帳拾って貰ったのに余計なお時間取らせてしまって…」
「別にいいって、どうせ予定なかったし暇だし」
そう言うとホッとした様な表情を見せる。
「で?話って?」
「あの、私の病気の事とか余命の事とか誰にも言わないでもらえませんか…?」
真剣な顔でそう話す及川の妹。
「別に誰にも言うつもりねぇよ」
俺の言葉に安堵した様に小さく息を吐く。
「そうですよね、ごめんなさい。
そんな事を人に話す様な人じゃないとは思ったんですけど、バレー部だって聞いてもし青葉城西のバレー部の人達とかお兄ちゃんの知り合いの耳に入ったらどうしようって思って…」
ホッとした様に運ばれてきた飲み物に口をつける及川の妹にひとつ疑問が浮かんだ。
「…お前の病気の事とか、その、余命の事とかって誰が知ってんの?」
偶然知ってしまった俺にわざわざ誰にも話さない様にお願いしてくるとか、余程近い人間にしか話していないのか、
家族はもちろんだけど友達とか、いるなら彼氏とかには話してないのか、何て思って聞いてしまった。
「家族以外だと一君、
あ、青葉城西のバレー部の岩泉一って知っていますか?」
「ああ、知ってる」
「家族以外だと一君にしか話していないんです」
「…何で岩泉さんには話してんの?」
「幼なじみなんです。もうひとりの兄みたいな存在で。
それに、兄が私の事で何か悩んだり悲しくなったりした時に家族以外に誰か話せる人がいたら兄も少しは気分が違うかなって思って」
何気に兄はシスコンなんですよー、なんて笑って話すけど、
じゃあ…、
「…お前は、家族以外に話せる奴いないのかよ?」
「え…?」
思わず出た言葉。
だっておかしいじゃねぇか。
及川は岩泉さんに妹の病気の事とかを話して悩みや悲しみ、苦しみを共有出来るのに、
何でこいつは…
「お前は病気の事で悩んだり苦しくなった時、誰に話すんだよ?
家族に話せない事だってあるだろ?」
むしろ家族だからこそ話せない事もあるだろ。
それが分かるからこそ、兄である及川には家族以外に話せる相手を作ってやってるじゃん。
「…でも、病気とかましてや余命とかいくら友達でもあまり知りたくない事かなって…」
そう言って困った様な顔で笑う及川の妹。
「病気の事とか余命の事とか知って態度変わるのが怖いとかなら、そんなの本当の友達じゃねぇだろ」
「…じゃあ逆に聞きますけど、友達から急に私病気で後2、3年しか生きられないけどそれまでよろしくね、何て言われたらどう思います?」
そう話す及川の妹の顔からは笑顔が消えていた。
「みんなと同じ様に学校で過ごしたいんです。変に同情なんてされたくないし、腫れ物扱いもされたくない。
だから誰にも話さない、
誰にもバレたくない、それだけです」
そうはっきりと口にした後、
及川の妹は伝票を手に取り席を立つ。
「お時間取らせてしまって本当に申し訳ありません。
手帳もありがとうございました。
それでは失礼します」
「おい…!」
引き止める俺の言葉なんて聞こえてないように足早に去っていく。
「…馬鹿か俺は」
ひとりになった空間で頭を抱える。
あまりにも明るく笑ってたから、つい何時のように何も考えず思った事を言ってしまった。
だけど、彼女からしたら自分の病気の事とか余命の事とか悩みに悩んで誰にも話さないと決めたに違いない。
それなのに俺は…。
あまりの自分の愚かさに
ただ頭を抱えるしか出来なかった。
ここじゃなんだからと、俺達は病院近くにあるカフェに入った。
「すみません、手帳拾って貰ったのに余計なお時間取らせてしまって…」
「別にいいって、どうせ予定なかったし暇だし」
そう言うとホッとした様な表情を見せる。
「で?話って?」
「あの、私の病気の事とか余命の事とか誰にも言わないでもらえませんか…?」
真剣な顔でそう話す及川の妹。
「別に誰にも言うつもりねぇよ」
俺の言葉に安堵した様に小さく息を吐く。
「そうですよね、ごめんなさい。
そんな事を人に話す様な人じゃないとは思ったんですけど、バレー部だって聞いてもし青葉城西のバレー部の人達とかお兄ちゃんの知り合いの耳に入ったらどうしようって思って…」
ホッとした様に運ばれてきた飲み物に口をつける及川の妹にひとつ疑問が浮かんだ。
「…お前の病気の事とか、その、余命の事とかって誰が知ってんの?」
偶然知ってしまった俺にわざわざ誰にも話さない様にお願いしてくるとか、余程近い人間にしか話していないのか、
家族はもちろんだけど友達とか、いるなら彼氏とかには話してないのか、何て思って聞いてしまった。
「家族以外だと一君、
あ、青葉城西のバレー部の岩泉一って知っていますか?」
「ああ、知ってる」
「家族以外だと一君にしか話していないんです」
「…何で岩泉さんには話してんの?」
「幼なじみなんです。もうひとりの兄みたいな存在で。
それに、兄が私の事で何か悩んだり悲しくなったりした時に家族以外に誰か話せる人がいたら兄も少しは気分が違うかなって思って」
何気に兄はシスコンなんですよー、なんて笑って話すけど、
じゃあ…、
「…お前は、家族以外に話せる奴いないのかよ?」
「え…?」
思わず出た言葉。
だっておかしいじゃねぇか。
及川は岩泉さんに妹の病気の事とかを話して悩みや悲しみ、苦しみを共有出来るのに、
何でこいつは…
「お前は病気の事で悩んだり苦しくなった時、誰に話すんだよ?
家族に話せない事だってあるだろ?」
むしろ家族だからこそ話せない事もあるだろ。
それが分かるからこそ、兄である及川には家族以外に話せる相手を作ってやってるじゃん。
「…でも、病気とかましてや余命とかいくら友達でもあまり知りたくない事かなって…」
そう言って困った様な顔で笑う及川の妹。
「病気の事とか余命の事とか知って態度変わるのが怖いとかなら、そんなの本当の友達じゃねぇだろ」
「…じゃあ逆に聞きますけど、友達から急に私病気で後2、3年しか生きられないけどそれまでよろしくね、何て言われたらどう思います?」
そう話す及川の妹の顔からは笑顔が消えていた。
「みんなと同じ様に学校で過ごしたいんです。変に同情なんてされたくないし、腫れ物扱いもされたくない。
だから誰にも話さない、
誰にもバレたくない、それだけです」
そうはっきりと口にした後、
及川の妹は伝票を手に取り席を立つ。
「お時間取らせてしまって本当に申し訳ありません。
手帳もありがとうございました。
それでは失礼します」
「おい…!」
引き止める俺の言葉なんて聞こえてないように足早に去っていく。
「…馬鹿か俺は」
ひとりになった空間で頭を抱える。
あまりにも明るく笑ってたから、つい何時のように何も考えず思った事を言ってしまった。
だけど、彼女からしたら自分の病気の事とか余命の事とか悩みに悩んで誰にも話さないと決めたに違いない。
それなのに俺は…。
あまりの自分の愚かさに
ただ頭を抱えるしか出来なかった。