君へ最大の愛を
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二口視点
放課後、部活を休んでこの辺りじゃ1番でかい総合病院に診察にきた。
たかが手首をちょっと捻っただけ、
湿布でも貼っときゃ治るのに、鎌先さんが勝手にこの病院の整形外科を予約してた。
いくら大丈夫だと言っても聞きやしない鎌先さんに無理矢理体育館を追い出されて仕方なく来たけど、待ち時間は長いし結局捻っただけだから湿布出されるだけで終わるしでぶっちゃけイライラが止まらない。
「及川さーん」
そんな俺の耳に聞き覚えのある名前が聞こえてきた。
及川っていえば青葉城西のセッターで有名な奴じゃねーか。
もしかして本人か?何て思って名前が呼ばれた受付を見るとそこにいたのは女だった。
何だ及川じゃねーじゃん、
少し残念、本人ならちょっとちょっかいかけにいこうかなー、とか思ったのに。
そんな事を思いながらその女子を見ていたら会計を終えたその子が振り向いた瞬間、目が合った。
及川によく似た明るい茶色の髪、そして大きな目。
気がつくとその女子はスッと俺の横を通り過ぎていた。
…及川に似てたけど、まさか兄妹とか?
そういや及川には妹がいるとか聞いた事がある。
ま、どうでもいっか、
俺には関係ないし。
そう思って帰ろうと踵を返した俺のつま先に何か当たる感触がした。
下を見るとそこには一冊の手帳が落ちていた。
思わずそれを手に取る。
シンプルな表紙のよくあるスケジュール手帳。
何気なくパラパラと中身を見ると病院受診がやたらと書き込まれている。
まぁ場所が場所だしな、とりあえず受付にでも届けておくか、
そう思って受付へいこうとした時、手帳から1枚の写真が落ちてきた。
「さっきの…」
そこに写っているのはさっきの女子、
そして隣には青葉城西の及川。
仲良さげに寄り添って写真に写っているふたり。
ふたりの前にはケーキがあってチョコレートのプレートには
「誕生日おめでとう!桃」
と書かれていて真ん中に16という数字の蝋燭が刺さっている。
よくある誕生日の記念写真。
やっぱりさっきの女子及川の妹だったのか。
しっかしわざわざ一緒に撮った写真手帳に挟んでるとかどんだけ仲良いんだよ、ブラコンか?何て思いながら何気なく写真の裏を見るとそこには小さな字で何か書いてあった。
「16歳の誕生日を家族で過ごせた。
お姉ちゃんとお義兄さん、健君も来てくれた。
お父さんもお母さんも、お兄ちゃんお姉ちゃん達も凄くお祝いしてくれた。
病気が発覚してからはじめての誕生日、
家族で過ごせて本当に良かった。
来年も家族で過ごせたらいいな。
余命を考えると来年は大丈夫。
でも、その次はちょっと無理かな?
…やだなぁ、寂しいな」
「…んだよ、これ」
思わず声が出てた。
ヤバい、これ赤の他人の俺が見たら絶対駄目なやつだ。
そう分かっているのに、俺はそのまま手帳を見てしまう。
カレンダーには多すぎる病院受診、その合間に入ってる友達らしき奴との遊びの予定、
そして広いスペースには日記らしきもの。
新しいカフェにいった、とか
お兄ちゃんと買い物にいった、とか
薬が増えた、とか。
…余命、とか
マジでそんな事あんのかよ…?
及川の妹で16歳の誕生日って事は俺と同じ歳…?
「あの…」
その場に突っ立って手帳から目が離せずにいる俺に不意に後ろから聞こえた声。
驚きつつも振り向くとそこには写真の女子、
つまりはこの手帳の持ち主の及川の妹が立っていた。
放課後、部活を休んでこの辺りじゃ1番でかい総合病院に診察にきた。
たかが手首をちょっと捻っただけ、
湿布でも貼っときゃ治るのに、鎌先さんが勝手にこの病院の整形外科を予約してた。
いくら大丈夫だと言っても聞きやしない鎌先さんに無理矢理体育館を追い出されて仕方なく来たけど、待ち時間は長いし結局捻っただけだから湿布出されるだけで終わるしでぶっちゃけイライラが止まらない。
「及川さーん」
そんな俺の耳に聞き覚えのある名前が聞こえてきた。
及川っていえば青葉城西のセッターで有名な奴じゃねーか。
もしかして本人か?何て思って名前が呼ばれた受付を見るとそこにいたのは女だった。
何だ及川じゃねーじゃん、
少し残念、本人ならちょっとちょっかいかけにいこうかなー、とか思ったのに。
そんな事を思いながらその女子を見ていたら会計を終えたその子が振り向いた瞬間、目が合った。
及川によく似た明るい茶色の髪、そして大きな目。
気がつくとその女子はスッと俺の横を通り過ぎていた。
…及川に似てたけど、まさか兄妹とか?
そういや及川には妹がいるとか聞いた事がある。
ま、どうでもいっか、
俺には関係ないし。
そう思って帰ろうと踵を返した俺のつま先に何か当たる感触がした。
下を見るとそこには一冊の手帳が落ちていた。
思わずそれを手に取る。
シンプルな表紙のよくあるスケジュール手帳。
何気なくパラパラと中身を見ると病院受診がやたらと書き込まれている。
まぁ場所が場所だしな、とりあえず受付にでも届けておくか、
そう思って受付へいこうとした時、手帳から1枚の写真が落ちてきた。
「さっきの…」
そこに写っているのはさっきの女子、
そして隣には青葉城西の及川。
仲良さげに寄り添って写真に写っているふたり。
ふたりの前にはケーキがあってチョコレートのプレートには
「誕生日おめでとう!桃」
と書かれていて真ん中に16という数字の蝋燭が刺さっている。
よくある誕生日の記念写真。
やっぱりさっきの女子及川の妹だったのか。
しっかしわざわざ一緒に撮った写真手帳に挟んでるとかどんだけ仲良いんだよ、ブラコンか?何て思いながら何気なく写真の裏を見るとそこには小さな字で何か書いてあった。
「16歳の誕生日を家族で過ごせた。
お姉ちゃんとお義兄さん、健君も来てくれた。
お父さんもお母さんも、お兄ちゃんお姉ちゃん達も凄くお祝いしてくれた。
病気が発覚してからはじめての誕生日、
家族で過ごせて本当に良かった。
来年も家族で過ごせたらいいな。
余命を考えると来年は大丈夫。
でも、その次はちょっと無理かな?
…やだなぁ、寂しいな」
「…んだよ、これ」
思わず声が出てた。
ヤバい、これ赤の他人の俺が見たら絶対駄目なやつだ。
そう分かっているのに、俺はそのまま手帳を見てしまう。
カレンダーには多すぎる病院受診、その合間に入ってる友達らしき奴との遊びの予定、
そして広いスペースには日記らしきもの。
新しいカフェにいった、とか
お兄ちゃんと買い物にいった、とか
薬が増えた、とか。
…余命、とか
マジでそんな事あんのかよ…?
及川の妹で16歳の誕生日って事は俺と同じ歳…?
「あの…」
その場に突っ立って手帳から目が離せずにいる俺に不意に後ろから聞こえた声。
驚きつつも振り向くとそこには写真の女子、
つまりはこの手帳の持ち主の及川の妹が立っていた。