烏野高校
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「あっつ…」
自然に口から溢れた言葉。
額には微かに汗が滲んでいる。
学校に来るだけでもう既に私の体力は半分削られている。
「柚奈」
下駄箱で上履きに履き替えていると不意に頭上から名前を呼ばれた。
「…おはよ、影山」
声の正体は影山だ。
てっきり白鳥沢から推薦でも貰ってそのまま進学するのだろうと思っていた影山は、
白鳥沢から声は掛からず、一般入試を受けたが落ち、今は烏野に通っている。
入学式で影山を見た時は驚いたな。
まぁ、それは影山も同じだったみたいだけど。
「お前は白鳥沢か青葉城西にいくと思ってた」
何て言われたし。
今はクラスも違うし私はもうバレー部に関わる事もないから中学の時みたいに頻繁に話す事はなくなったけれど、今日みたいにたまに会った時は必ず話しかけてくる。
「白鳥沢、決勝勝ったんだってな」
教室まで並んで歩きながら影山は少し悔しそうにそう話してきた。
「みたいだねー」
「みたいって、見てないのか?
牛島さんの試合。
兄貴の試合だろ?」
「みてないよ。
興味ないし」
素っ気なく返す私に影山は少し躊躇いがちに口を開く。
「…なぁ柚奈」
「何?」
「お前、国見が必死になって球追いかけるの見た事あるか?」
!!
…急に英の名前が出てきた事に驚きを隠せないでいる私に影山は更に続ける。
「この間の青葉城西との試合で国見は必死になって球を追いかけてた。
中学3年間一緒のチームだったのに、俺は試合中に普通に笑う国見を初めて見た。
金田一だってそうだ。
俺はあんなに楽しそうにバレーをしてるふたりを、あの日初めて見たんだ」
後悔と悔しさを滲ませた顔、
中学の最後の試合の時も似た表情を見た。
だけど、あの時とは少し違う、
今はそんな表情の中に、
それでも勝利を見据えてただ前を向いていこうとする表情も見える。
「…影山、変わったね」
「あ?」
「あの頃の独裁の王様じゃなくなってる」
「…何だよそれ」
少し苦虫を潰した顔をして、
だけど、その後は笑ってそう話す影山からは、
信頼出来る仲間を見つけた事が分かった。
「お前、もうマネージャーやらないのか?」
「やらないよ」
影山の言葉にはっきりとそう返す。
「何でだ?
お前、バレー好きだ…」
「私今日日直なの、先いくね」
影山の言葉を遮りそう言って早足で階段を掛け上がる。
「おい、柚奈…!」
背中に聞こえる影山の声を無視して私は階段を更に早足で掛け上がっていく。
…嫌いだよ、バレーなんて。
バレーなんてしてなければ、
お兄ちゃんは白鳥沢にいかなかった。
そしたら、
私はお兄ちゃんとあんなにも比べられなかったかも知れない。
お父さんも、
お兄ちゃんも、
英も、
私から大切なモノ全部全部、
奪っていったバレーなんて、
大っ嫌いだ。
自然に口から溢れた言葉。
額には微かに汗が滲んでいる。
学校に来るだけでもう既に私の体力は半分削られている。
「柚奈」
下駄箱で上履きに履き替えていると不意に頭上から名前を呼ばれた。
「…おはよ、影山」
声の正体は影山だ。
てっきり白鳥沢から推薦でも貰ってそのまま進学するのだろうと思っていた影山は、
白鳥沢から声は掛からず、一般入試を受けたが落ち、今は烏野に通っている。
入学式で影山を見た時は驚いたな。
まぁ、それは影山も同じだったみたいだけど。
「お前は白鳥沢か青葉城西にいくと思ってた」
何て言われたし。
今はクラスも違うし私はもうバレー部に関わる事もないから中学の時みたいに頻繁に話す事はなくなったけれど、今日みたいにたまに会った時は必ず話しかけてくる。
「白鳥沢、決勝勝ったんだってな」
教室まで並んで歩きながら影山は少し悔しそうにそう話してきた。
「みたいだねー」
「みたいって、見てないのか?
牛島さんの試合。
兄貴の試合だろ?」
「みてないよ。
興味ないし」
素っ気なく返す私に影山は少し躊躇いがちに口を開く。
「…なぁ柚奈」
「何?」
「お前、国見が必死になって球追いかけるの見た事あるか?」
!!
…急に英の名前が出てきた事に驚きを隠せないでいる私に影山は更に続ける。
「この間の青葉城西との試合で国見は必死になって球を追いかけてた。
中学3年間一緒のチームだったのに、俺は試合中に普通に笑う国見を初めて見た。
金田一だってそうだ。
俺はあんなに楽しそうにバレーをしてるふたりを、あの日初めて見たんだ」
後悔と悔しさを滲ませた顔、
中学の最後の試合の時も似た表情を見た。
だけど、あの時とは少し違う、
今はそんな表情の中に、
それでも勝利を見据えてただ前を向いていこうとする表情も見える。
「…影山、変わったね」
「あ?」
「あの頃の独裁の王様じゃなくなってる」
「…何だよそれ」
少し苦虫を潰した顔をして、
だけど、その後は笑ってそう話す影山からは、
信頼出来る仲間を見つけた事が分かった。
「お前、もうマネージャーやらないのか?」
「やらないよ」
影山の言葉にはっきりとそう返す。
「何でだ?
お前、バレー好きだ…」
「私今日日直なの、先いくね」
影山の言葉を遮りそう言って早足で階段を掛け上がる。
「おい、柚奈…!」
背中に聞こえる影山の声を無視して私は階段を更に早足で掛け上がっていく。
…嫌いだよ、バレーなんて。
バレーなんてしてなければ、
お兄ちゃんは白鳥沢にいかなかった。
そしたら、
私はお兄ちゃんとあんなにも比べられなかったかも知れない。
お父さんも、
お兄ちゃんも、
英も、
私から大切なモノ全部全部、
奪っていったバレーなんて、
大っ嫌いだ。