憧れと妬みは紙一重
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外に出ると途端に強い日射しが身体に容赦なく降り注ぐ。
思わず顔をしかめて私は学校までの道を歩く。
コンクリートの地面からジリジリと照り返す熱気に朝からうんざりだ。
…同じ熱気でも、
バレーをする体育館で感じる熱気は心地よかったのに。
「もう他校のバレー部のマネージャーもしてないし」
さっきお母さんに言われた言葉が頭の中を駆け巡る。
私はお兄ちゃんみたいに身長も体格も恵まれていないし、運動もそんなに出来る訳ではない。
だけど、お兄ちゃんと一緒にお父さんからバレーの楽しさを教えてもらったから小学生のときはバレーをしていた。
だけど、やっぱりお兄ちゃんみたいに上手く出来ないしまわりの期待にも応えられない事に耐えられなくて、選手としてバレーをするのは小学生でやめた。
その後北川第一中学に進み、そこで私はマネージャーとして選手をサポートする側にまわった。
マネージャーの仕事は大変だけど楽しかった。
やりがいもあったし、何より選手の役に立てるのが嬉しかった。
私というひとりの人間を必要としてくれるのが有り難くて嬉しかった。
私が1年の時主将だった及川さんはお兄ちゃんの事を凄くライバル視していたし、そこには少しの憎しみも見えた。
だけど、私が牛島若利の妹だと分かっても
お兄ちゃんと私を比べるような事は一切言わなかった。
及川さん達が卒業後は私と同じ学年の影山君が中心のチームになった。
体格やパワーはお兄ちゃんに劣るけれど、彼も間違いなく天才だった。
溢れる才能、高いレベル、
彼はそれを当たり前だと思い、まわりにも同じレベルを求めた。
当然生じる不協和音。
「俺、もう影山にはついてけない」
そう私に溢したのは、英だった。
国見英、1年から卒業するまでずっと同じクラスで同じバレー部で、
みんなに内緒でつきあっていた彼氏だ。
苛立ちの中に焦りや苦痛も滲む彼に、
私は何て声をかけたらいいのか悩んだ。
「…気持ちは分かるよ。
でも、影山もみんなと勝ちたくて必死なんだと思…」
「俺の方が必死だよ!」
私の言葉を遮りはじめて大きな声を上げた英に私は驚きと困惑で何も言えなくなってしまった。
そんな私に英は冷たく言った、
「天才の兄がいたら、俺みたいな凡人の気持ちなんて分かんないよな」
と。
結局、中学最後の試合になったあの時、
チームのみんなは影山のトスを受けなかった。
そのまま影山と英や金田一達は気まずさや後悔を残したまま中学を卒業した。
私と英も、その後話す事も連絡をとる事も出来ずに自然消滅に近い形で終わった。
きっと私はもう、バレーに関わる事は二度とないだろう。
そう、この時は思っていた。
思わず顔をしかめて私は学校までの道を歩く。
コンクリートの地面からジリジリと照り返す熱気に朝からうんざりだ。
…同じ熱気でも、
バレーをする体育館で感じる熱気は心地よかったのに。
「もう他校のバレー部のマネージャーもしてないし」
さっきお母さんに言われた言葉が頭の中を駆け巡る。
私はお兄ちゃんみたいに身長も体格も恵まれていないし、運動もそんなに出来る訳ではない。
だけど、お兄ちゃんと一緒にお父さんからバレーの楽しさを教えてもらったから小学生のときはバレーをしていた。
だけど、やっぱりお兄ちゃんみたいに上手く出来ないしまわりの期待にも応えられない事に耐えられなくて、選手としてバレーをするのは小学生でやめた。
その後北川第一中学に進み、そこで私はマネージャーとして選手をサポートする側にまわった。
マネージャーの仕事は大変だけど楽しかった。
やりがいもあったし、何より選手の役に立てるのが嬉しかった。
私というひとりの人間を必要としてくれるのが有り難くて嬉しかった。
私が1年の時主将だった及川さんはお兄ちゃんの事を凄くライバル視していたし、そこには少しの憎しみも見えた。
だけど、私が牛島若利の妹だと分かっても
お兄ちゃんと私を比べるような事は一切言わなかった。
及川さん達が卒業後は私と同じ学年の影山君が中心のチームになった。
体格やパワーはお兄ちゃんに劣るけれど、彼も間違いなく天才だった。
溢れる才能、高いレベル、
彼はそれを当たり前だと思い、まわりにも同じレベルを求めた。
当然生じる不協和音。
「俺、もう影山にはついてけない」
そう私に溢したのは、英だった。
国見英、1年から卒業するまでずっと同じクラスで同じバレー部で、
みんなに内緒でつきあっていた彼氏だ。
苛立ちの中に焦りや苦痛も滲む彼に、
私は何て声をかけたらいいのか悩んだ。
「…気持ちは分かるよ。
でも、影山もみんなと勝ちたくて必死なんだと思…」
「俺の方が必死だよ!」
私の言葉を遮りはじめて大きな声を上げた英に私は驚きと困惑で何も言えなくなってしまった。
そんな私に英は冷たく言った、
「天才の兄がいたら、俺みたいな凡人の気持ちなんて分かんないよな」
と。
結局、中学最後の試合になったあの時、
チームのみんなは影山のトスを受けなかった。
そのまま影山と英や金田一達は気まずさや後悔を残したまま中学を卒業した。
私と英も、その後話す事も連絡をとる事も出来ずに自然消滅に近い形で終わった。
きっと私はもう、バレーに関わる事は二度とないだろう。
そう、この時は思っていた。