朝、いつも通りに部屋に鳴り響くアラーム。
ゆっくりと身体を起こしベッドから降りて洗面所へと向かう。
いつもと何も変わらない朝、
だけど鏡には少し瞼が腫れてる私の顔。
…昨日、一応冷やしたのにな。
少しでも腫れが引くように冷たい水でいつもより念入りに顔を洗う。

着替えて朝ごはんを食べて身支度整えて玄関でもう一度鏡を見る。
やっぱりまだ瞼の腫れは引いていない。
だけど、口角を上げて笑顔を作る。

「柚奈の笑顔を見るのが好きだ」

そう、昨日お兄ちゃんが言ってくれたから。

「柚奈の笑顔を見ると元気になる。
だから柚奈には笑っていてほしい。
そのためなら俺は何でもしよう」

そう言って私の背中を押してくれたお兄ちゃん。

…正直、蛍に会うのは怖い。
蛍はきっと、私に対して幻滅してるだろうし、
もう私は蛍に嫌われたかも知れない。
だけど、ちゃんと伝えよう。
私の本当の気持ちを。
そう思えたのは
お兄ちゃんと天童さんのおかげだ。

ありがとう、お兄ちゃん。


「いってきます！」

大きな声でそう叫んで玄関を勢いつけて出ていく。
外は相変わらず太陽が眩しい位にアスファルトを照り付けている。

…蛍、今更だけど
私の話、聞いてくれますか？

呆れるよね
今更だよね
もう、私と話なんてしたくないよね。

ごめんね、
だけど、これが最後でいいから

貴方に

私の本当の気持ちを伝えさせて下さい。