本当の気持ち
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「落ちついたか?」
「…うん」
私の返事に良かったという様に少し笑うお兄ちゃん。
散々泣きじゃくってて全然気づかなかったけど、あの時私とお兄ちゃんの周りにはいつの間にかバレー部の人達が集まっていた。
練習の最後に軽くランニングしにいったお兄ちゃんが戻ってこなくて1年生が様子を見にいったら大泣きしてる他校の生徒を抱きしめてた、とかそりゃびっくりして他の部員を呼ぶのも納得だ。
だって、お兄ちゃんの性格を考えたらこんな事絶対想像出来なかったはずだ。
泣き止んだ頃合いに声を掛けてきた天童さんは、とりあえずここじゃ何だからとバレー部の部室へ案内してくれた。
「落ち着いたみたいで良かったよ~、
喉渇いたでしょ、これ飲んでね~」
そう言って天童さんがミルクティーの缶を渡してくれる。
「あ、ありがとうございます…」
「若利君から柚奈ちゃんはいつもミルクティー飲んでるって聞いてたからね~」
…お兄ちゃんが。
お兄ちゃん、私の話してくれてたんだ…。
「あの、本当にごめんなさい!
お兄ちゃんにも皆さんにもご迷惑をお掛けして…」
しばらく会っていなかった上につい昨日久しぶりに話しただけの妹がいきなり自分の学校に現れた挙げ句泣きじゃくるとか、
お兄ちゃんにしてみたら迷惑極まりない。
おまけに私は自分勝手な僻みや妬みでお兄ちゃんの事ずっと避けてたのに。
バレー部の人達も急に現れた牛島若利の妹が訳も分からず兄にしがみついて泣きじゃくっていたら困るどころの騒ぎじゃないよね。
本当に自分が情けない。
「何を言う、大事な妹が泣くほど辛い目にあっているんだ。心配しても迷惑など一切ない」
そうはっきりと言ってくれるお兄ちゃんにまた泣きそうになる。
「若利君、今日すっごく機嫌良かったんだよ~。理由聞いたら昨日柚奈チャンと久しぶりに電話で話したって嬉しそうに話してくれてね~」
「…お兄ちゃん、私との電話、
嬉しいって思ってくれたの?」
「当たり前だろう?」
当然という様に話すお兄ちゃん。
「若利君がそこまで大事に思ってる妹チャンだし、俺も柚奈チャンの事は1年の時から知ってるし妹みたいに思ってるからさ~。
何かツラい事あったのなら俺も心配だよ~?」
そう言ってくれる天童さんは本当に心配そうに私を見てくれている。
「…本当にごめんなさい。
天童さんにまで心配かけて…」
今までお兄ちゃんに関わらないようにしていたからバレー部の人達の事はあまり知らないけれど、天童さんとは一度お母さんと一緒にお兄ちゃんの忘れ物を届けた時に挨拶をして、
それから偶然外で会った時にはすぐに気づいてくれて話をする事が何度かあった。
お兄ちゃんに対してひねくれた気持ちを持っていた私の気持ちも気づいていたんだろう、
天童さんは私にお兄ちゃんの話をする事はなかった。
どこいくの、とか
あそこのカフェのケーキお薦めだよ、とか
何気ない話をしてくれていた。
「それで何があったんだ?」
お兄ちゃんの言葉で思い出す。
英の事と、蛍の事。
傷つけた。
英の事も蛍の事も。
私には蛍の気持ちを受ける資格はない。
英と友達に戻る資格もない。
好きだって言ってくれた。
待つって言ってくれた。
そんな蛍の優しさに甘えて、
そして傷つけた。
つきあえない、
そう言った時の蛍のすり抜けていく腕と
ショックを受けたような顔を思い出して、
胸が締めつけられる。
私には傷つく資格なんてないのに。
泣く資格なんてそんなものないのに。
だけど、お兄ちゃんを前に私は涙を耐える事が出来なくなっていた。
「…わ、私が傷つけたの
英の事も蛍の事も…!」
せっかく泣き止んでいたのにまた泣き出した上に訳の分からない事を言う私をお兄ちゃんはどう思うだろうか。
呆れる?
だけど、お兄ちゃんは優しく私の頭を撫でてくれた。
「ゆっくりでいい、拙くてもいい。
柚奈が話してくれるなら何時間でも聞こう。
泣くのを我慢しなくていい。
泣きたいだけ泣けばいい。
何時間でもつきあう」
そう言ってやっぱり優しく私を見てくれるお兄ちゃん。
そんなお兄ちゃんに私は拙いながらも、
自分の思いを全部、打ち明けた。
お兄ちゃんは時折頷きながら、ただ黙って私の話を聞いてくれた。
誰にも話せなかった
英の事、蛍の事を。
全て話終わる頃には、
私の気持ちは不思議と落ち着いていた。
「…うん」
私の返事に良かったという様に少し笑うお兄ちゃん。
散々泣きじゃくってて全然気づかなかったけど、あの時私とお兄ちゃんの周りにはいつの間にかバレー部の人達が集まっていた。
練習の最後に軽くランニングしにいったお兄ちゃんが戻ってこなくて1年生が様子を見にいったら大泣きしてる他校の生徒を抱きしめてた、とかそりゃびっくりして他の部員を呼ぶのも納得だ。
だって、お兄ちゃんの性格を考えたらこんな事絶対想像出来なかったはずだ。
泣き止んだ頃合いに声を掛けてきた天童さんは、とりあえずここじゃ何だからとバレー部の部室へ案内してくれた。
「落ち着いたみたいで良かったよ~、
喉渇いたでしょ、これ飲んでね~」
そう言って天童さんがミルクティーの缶を渡してくれる。
「あ、ありがとうございます…」
「若利君から柚奈ちゃんはいつもミルクティー飲んでるって聞いてたからね~」
…お兄ちゃんが。
お兄ちゃん、私の話してくれてたんだ…。
「あの、本当にごめんなさい!
お兄ちゃんにも皆さんにもご迷惑をお掛けして…」
しばらく会っていなかった上につい昨日久しぶりに話しただけの妹がいきなり自分の学校に現れた挙げ句泣きじゃくるとか、
お兄ちゃんにしてみたら迷惑極まりない。
おまけに私は自分勝手な僻みや妬みでお兄ちゃんの事ずっと避けてたのに。
バレー部の人達も急に現れた牛島若利の妹が訳も分からず兄にしがみついて泣きじゃくっていたら困るどころの騒ぎじゃないよね。
本当に自分が情けない。
「何を言う、大事な妹が泣くほど辛い目にあっているんだ。心配しても迷惑など一切ない」
そうはっきりと言ってくれるお兄ちゃんにまた泣きそうになる。
「若利君、今日すっごく機嫌良かったんだよ~。理由聞いたら昨日柚奈チャンと久しぶりに電話で話したって嬉しそうに話してくれてね~」
「…お兄ちゃん、私との電話、
嬉しいって思ってくれたの?」
「当たり前だろう?」
当然という様に話すお兄ちゃん。
「若利君がそこまで大事に思ってる妹チャンだし、俺も柚奈チャンの事は1年の時から知ってるし妹みたいに思ってるからさ~。
何かツラい事あったのなら俺も心配だよ~?」
そう言ってくれる天童さんは本当に心配そうに私を見てくれている。
「…本当にごめんなさい。
天童さんにまで心配かけて…」
今までお兄ちゃんに関わらないようにしていたからバレー部の人達の事はあまり知らないけれど、天童さんとは一度お母さんと一緒にお兄ちゃんの忘れ物を届けた時に挨拶をして、
それから偶然外で会った時にはすぐに気づいてくれて話をする事が何度かあった。
お兄ちゃんに対してひねくれた気持ちを持っていた私の気持ちも気づいていたんだろう、
天童さんは私にお兄ちゃんの話をする事はなかった。
どこいくの、とか
あそこのカフェのケーキお薦めだよ、とか
何気ない話をしてくれていた。
「それで何があったんだ?」
お兄ちゃんの言葉で思い出す。
英の事と、蛍の事。
傷つけた。
英の事も蛍の事も。
私には蛍の気持ちを受ける資格はない。
英と友達に戻る資格もない。
好きだって言ってくれた。
待つって言ってくれた。
そんな蛍の優しさに甘えて、
そして傷つけた。
つきあえない、
そう言った時の蛍のすり抜けていく腕と
ショックを受けたような顔を思い出して、
胸が締めつけられる。
私には傷つく資格なんてないのに。
泣く資格なんてそんなものないのに。
だけど、お兄ちゃんを前に私は涙を耐える事が出来なくなっていた。
「…わ、私が傷つけたの
英の事も蛍の事も…!」
せっかく泣き止んでいたのにまた泣き出した上に訳の分からない事を言う私をお兄ちゃんはどう思うだろうか。
呆れる?
だけど、お兄ちゃんは優しく私の頭を撫でてくれた。
「ゆっくりでいい、拙くてもいい。
柚奈が話してくれるなら何時間でも聞こう。
泣くのを我慢しなくていい。
泣きたいだけ泣けばいい。
何時間でもつきあう」
そう言ってやっぱり優しく私を見てくれるお兄ちゃん。
そんなお兄ちゃんに私は拙いながらも、
自分の思いを全部、打ち明けた。
お兄ちゃんは時折頷きながら、ただ黙って私の話を聞いてくれた。
誰にも話せなかった
英の事、蛍の事を。
全て話終わる頃には、
私の気持ちは不思議と落ち着いていた。