大好きだった人
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…ごめんなさい」
そう、ひと言だけ伝えて私は蛍から離れて走り出す。
振り向く事はしなかった。
少しでも蛍を見てしまったら、
戻りたくなってしまうのが分かってたから。
そのまま家に帰りたくなくてとにかく走った。
走って走って、呼吸が苦しくなって立ち止まる。
ゼイゼイと肩が上がって息苦しい。
ふと顔を上げるとほんの数メートル先に見える立派な門構えと校舎が目に入る。
「…白鳥沢、?」
一度だけ、お母さんと一緒に来た事のある白鳥沢。
昔、お兄ちゃんの荷物を届けに来たんだっけ…。
家に帰りたくなくて気がついたらお兄ちゃんのいるところに来ちゃうとか、
私、どれだけお兄ちゃんを頼っちゃってるんだろ。
自分が情けなくて渇いた笑いが口から洩れる
。
「…帰ろ」
自分に言い聞かせる様にひとり言を呟いて踵を返して来た道を戻ろうとした。
「柚奈…?」
!!!
聞こえてきた声に胸が大きく音を立てたのが分かった。
「お兄ちゃん…」
「やはり柚奈か。
どうした、こんなところで?」
すぐに私に駆け寄ってきてくれたお兄ちゃんは、私の顔を心配そうに見る。
「…泣いたのか?目が赤い。
それに酷く疲れているようだが…」
「…お兄ちゃん!」
堪らなくなって私はそのままお兄ちゃんに飛びついた。
「柚奈…?」
驚いたお兄ちゃんの声がするけれど、私はもう限界で。
お兄ちゃんに抱きついたまま小さい子どもみたいに泣きじゃくった。
「…そうか、辛い事があったんだな」
泣きじゃくる私にお兄ちゃんはそう言ってただ優しく頭を撫でてくれた。
小さい頃、お母さんに怒られたり友達と喧嘩したりして泣く私にいつもしてくれていたように、
私が泣き止むまで大きくて暖かい手でずっと優しく撫でてくれた。
そう、ひと言だけ伝えて私は蛍から離れて走り出す。
振り向く事はしなかった。
少しでも蛍を見てしまったら、
戻りたくなってしまうのが分かってたから。
そのまま家に帰りたくなくてとにかく走った。
走って走って、呼吸が苦しくなって立ち止まる。
ゼイゼイと肩が上がって息苦しい。
ふと顔を上げるとほんの数メートル先に見える立派な門構えと校舎が目に入る。
「…白鳥沢、?」
一度だけ、お母さんと一緒に来た事のある白鳥沢。
昔、お兄ちゃんの荷物を届けに来たんだっけ…。
家に帰りたくなくて気がついたらお兄ちゃんのいるところに来ちゃうとか、
私、どれだけお兄ちゃんを頼っちゃってるんだろ。
自分が情けなくて渇いた笑いが口から洩れる
。
「…帰ろ」
自分に言い聞かせる様にひとり言を呟いて踵を返して来た道を戻ろうとした。
「柚奈…?」
!!!
聞こえてきた声に胸が大きく音を立てたのが分かった。
「お兄ちゃん…」
「やはり柚奈か。
どうした、こんなところで?」
すぐに私に駆け寄ってきてくれたお兄ちゃんは、私の顔を心配そうに見る。
「…泣いたのか?目が赤い。
それに酷く疲れているようだが…」
「…お兄ちゃん!」
堪らなくなって私はそのままお兄ちゃんに飛びついた。
「柚奈…?」
驚いたお兄ちゃんの声がするけれど、私はもう限界で。
お兄ちゃんに抱きついたまま小さい子どもみたいに泣きじゃくった。
「…そうか、辛い事があったんだな」
泣きじゃくる私にお兄ちゃんはそう言ってただ優しく頭を撫でてくれた。
小さい頃、お母さんに怒られたり友達と喧嘩したりして泣く私にいつもしてくれていたように、
私が泣き止むまで大きくて暖かい手でずっと優しく撫でてくれた。