バレーと君と
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月島視点
ゆっくりと時に言葉を詰まらせながらも柚奈は僕に話を聞かせてくれた。
北川第一中は影山と他のチームメイトとの間に埋まる事のない溝があったのは他校の僕から見ても一目瞭然だった。
僕だってそんな光景を見ていたから影山の事を王様なんて呼んでるし。
だけど、その事に柚奈が苦しみ悩んでいたなんて。
そして、あの牛島若利の妹という肩書きはやっぱり柚奈を苦しめていた。
「…昔は本当に大好きだったの。
お兄ちゃんはいつだって優しくて私を守ってくれて、本当にヒーローみたいで。
なのに成長するに連れお兄ちゃんばかり才能にあふれて狡い、とかそんな事考えちゃう様になっちゃって。
お母さんもお祖父ちゃんもお祖母ちゃんも、まわりの人はみんなみんなお兄ちゃんの事ばかりで。
私の事は、ただ可哀想ねって…。
お兄ちゃんがいたら何だか私はオマケみたいな存在だなっとか思って。
バレーだって、どんなに好きでも私はどれだけ練習しても人並みにしか出来なくて。
いつからか、お兄ちゃんを見るのも嫌になってた」
少し震えている声から、柚奈の苦しみや葛藤が伝わる。
でも柚奈は、
…本当は、柚奈は牛島さんの事…
「柚奈、本当は牛島さんの事今でも好きなんじゃないの…?」
「え…?」
僕の言葉に驚いた様に顔をあげる。
「牛島さんの事を本当は好きだから、
だからこそ牛島さんに対して嫌な気持ちを持ちたくなくて、牛島さんを見るのも嫌だって思ってしまったんじゃない?」
何となく分かる。
だって僕も、違う理由とはいえ兄を遠ざけているから。
「…だって、私お兄ちゃんに対して酷い感情ばかりだよ?
狡いとか、何でお兄ちゃんばかりとか、
だ、大嫌い、とか…」
「柚奈はさ、牛島さんに対してそんな感情を本当に持ってるの?」
「!!」
「僕にはそんな風には見えない。
だって柚奈、牛島さんを嫌いって言う時凄く苦しそうだし。
…本当に嫌いな相手の事、そんな顔して話す訳ないじゃん」
「…そう、なのかな…?」
そう言った柚奈の目には、涙がたまっていた。
「少なくとも僕にはそう見えるけど」
僕の言葉に考え込む様に下を向く。
「…私」
意を決した様に顔を上げた柚奈は、真っ直ぐに僕を見る。
「…私、ずっと嫌だった。
お兄ちゃんに対してこんな、僻みや妬みを持っちゃう自分が。
お兄ちゃんの事、大嫌いって思っちゃうのも」
今まで自分の中に押し込めて隠していた感情をはじめて表に出したのだろう、
言葉は止まらない。
「こんな醜い自分を認めたくなくて。
お兄ちゃんがバレーなんてしてなかったら良かったのにって。
バレーがお兄ちゃんもお父さんも、私の大好きな人みんな奪っちゃったみたいに思って。
もう自分でも訳分かんなくなっちゃって、全部お兄ちゃんのせいにしてた。
本当は私、
こんな自分が1番、大嫌い…!」
そう言った柚奈の頬に、一筋の涙が流れた。
ゆっくりと時に言葉を詰まらせながらも柚奈は僕に話を聞かせてくれた。
北川第一中は影山と他のチームメイトとの間に埋まる事のない溝があったのは他校の僕から見ても一目瞭然だった。
僕だってそんな光景を見ていたから影山の事を王様なんて呼んでるし。
だけど、その事に柚奈が苦しみ悩んでいたなんて。
そして、あの牛島若利の妹という肩書きはやっぱり柚奈を苦しめていた。
「…昔は本当に大好きだったの。
お兄ちゃんはいつだって優しくて私を守ってくれて、本当にヒーローみたいで。
なのに成長するに連れお兄ちゃんばかり才能にあふれて狡い、とかそんな事考えちゃう様になっちゃって。
お母さんもお祖父ちゃんもお祖母ちゃんも、まわりの人はみんなみんなお兄ちゃんの事ばかりで。
私の事は、ただ可哀想ねって…。
お兄ちゃんがいたら何だか私はオマケみたいな存在だなっとか思って。
バレーだって、どんなに好きでも私はどれだけ練習しても人並みにしか出来なくて。
いつからか、お兄ちゃんを見るのも嫌になってた」
少し震えている声から、柚奈の苦しみや葛藤が伝わる。
でも柚奈は、
…本当は、柚奈は牛島さんの事…
「柚奈、本当は牛島さんの事今でも好きなんじゃないの…?」
「え…?」
僕の言葉に驚いた様に顔をあげる。
「牛島さんの事を本当は好きだから、
だからこそ牛島さんに対して嫌な気持ちを持ちたくなくて、牛島さんを見るのも嫌だって思ってしまったんじゃない?」
何となく分かる。
だって僕も、違う理由とはいえ兄を遠ざけているから。
「…だって、私お兄ちゃんに対して酷い感情ばかりだよ?
狡いとか、何でお兄ちゃんばかりとか、
だ、大嫌い、とか…」
「柚奈はさ、牛島さんに対してそんな感情を本当に持ってるの?」
「!!」
「僕にはそんな風には見えない。
だって柚奈、牛島さんを嫌いって言う時凄く苦しそうだし。
…本当に嫌いな相手の事、そんな顔して話す訳ないじゃん」
「…そう、なのかな…?」
そう言った柚奈の目には、涙がたまっていた。
「少なくとも僕にはそう見えるけど」
僕の言葉に考え込む様に下を向く。
「…私」
意を決した様に顔を上げた柚奈は、真っ直ぐに僕を見る。
「…私、ずっと嫌だった。
お兄ちゃんに対してこんな、僻みや妬みを持っちゃう自分が。
お兄ちゃんの事、大嫌いって思っちゃうのも」
今まで自分の中に押し込めて隠していた感情をはじめて表に出したのだろう、
言葉は止まらない。
「こんな醜い自分を認めたくなくて。
お兄ちゃんがバレーなんてしてなかったら良かったのにって。
バレーがお兄ちゃんもお父さんも、私の大好きな人みんな奪っちゃったみたいに思って。
もう自分でも訳分かんなくなっちゃって、全部お兄ちゃんのせいにしてた。
本当は私、
こんな自分が1番、大嫌い…!」
そう言った柚奈の頬に、一筋の涙が流れた。