バレーと君と
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
…何で私は今ここにいるんだろう?
何て疑問が頭を何度もいったり来たりしている。
目の前では烏野と扇西高の練習試合が始まろうとしている。
「日向と影山が強引にすまねぇな」
いつの間にか隣にいたコーチの烏養さんがそう声をかけてきた。
「いえ、ちゃんと断れなかった私が悪いですから」
「そうか。
そういや白鳥沢の牛島の妹だってな」
!!
…ああ、またか。
「はい。
ですが兄は寮生活ですし、普段交流は全くありませんから、兄に対する情報は何もありませんよ」
そう言い放つ私に烏養さんは少しびっくりした顔をする。
「ははっ!いらねぇよ、牛島の情報とか。
あれだけの選手、多少の情報があった所でどうにかしようとは思わねぇよ。
下手な小細工はいらねぇ、真っ正面からぶつかるだけだ!」
そう言って笑う烏養さんに、少し拍子抜けする。
今まで私に近づいてくる他校のバレー部の人達や関係者はお兄ちゃんの情報を欲しがっていたのに。
「どうだ?久しぶりに見る影山のプレイは?」
影山のプレイ…。
確かに久しぶりだ。
最後に見たのは、中学最後のあの試合だったから。
「…変わりましたね、
影山のトスをあんな風に楽しんで受けて打つなんて…」
影山のトスを日向君はそれは楽しそうに待ち構えて打っている。
きっと影山のトスを心から信頼しているんだろうな。
「ま、あいつらはウチが誇る変人コンビだからなー」
「確かにそうですね」
烏養さんの言葉に頷きながらそう言って笑う武田先生と3年生のマネージャーさん。
「中学の時は独裁の王様だったかも知れねぇが今は違う。
日向がいるからな」
「日向君だけじゃありませんよ。
みんな、影山君の事を信頼してますから」
…信頼。
金田一だって、英だって影山を信頼してた。
だけど、それが崩れてしまう位にあの頃は影山の独壇場だった。
全て自分でやれればいいのにと考える影山とチームメイトに軋轢が生じるのは、
当たり前だった。
「…中学の時だって、チームメイトは影山を信頼してトスを受けようとしましたよ」
思わず出た私の言葉に驚いた顔をするまわりの人達。
今は今、中学の時の事なんて関係ない。
だけど何だか金田一や英、あの時のチームメイトが悪いみたいな感じに勝手に受け取ってしまって、私の言葉は止まらなかった。
金田一も英も、本当は影山とバレーを楽しく続けたかったんだ。
だけどそんな気持ちさえも押し潰される程に、悩み、自分を責め、影山を責め、
苦しんだ。
そして、それは影山も同じで。
「あの試合の後、影山が自分を責めて苦しんだのは分かってます。
だけど、チームメイトも影山のトスを影山の思い描く通りに受けられなくて自分を責めていました。
みんな本当は影山の事をちゃんと信頼していました。
北川第一中のみんなにだって、影山も含めてちゃんと信頼はありました」
「…そうだな、そんなつもりで言ったんじゃねぇんだけど、本当に悪い」
そう本当に申し訳ないという感じで謝る烏養さん。
「…いえ、私もむきになっちゃって。
すみません」
「…素敵なマネージャーだったんですね、牛島さん」
「…え?」
武田先生の言葉に私はそれ以上何も言えずにただ武田先生の顔を見る。
「チームメイトひとりひとりの事をちゃんと見て考えていたのがよく分かります。
影山君がマネージャーに牛島さんを推していた理由が分かりましたよ」
「それは単純に経験者だから…」
「それだけじゃありませんよ。
影山君も中学時代の自分のバレーに後悔があるのでしょう。
だからこそ、中学時代の自分のバレーを知っていて、尚且つマネージャーとして皆を支えてくれていた牛島さんに今の自分を、烏野高校のバレーを見てもらいたいのではないでしょうか?」
にこにこと穏やかに笑ってそう話す武田先生。
「わ、私も牛島さんがマネージャーやってくれたら心強いです!!」
「え?谷地さん?」
急に大きな声でそう叫ばれる。
「わ、私マネージャーやりたいなって思うけど、こんな凄い部に素人の私が入るとか返って迷惑かなとか思って…。
でも私も少しでも頑張ってる皆の役に立ちたいって…。
牛島さんが一緒なら頑張れる気が…!」
たどたどしいけど、自分の気持ちを一生懸命話してくれる谷地さん。
…そうだ、私もマネージャーになったのは少しでも頑張ってる選手の役に立ちたかったからだった。
自分のバレーの才能はお兄ちゃんに比べて全然で。
(妹だからって兄みたいに才能がある訳じゃないよね)
(選手としては控えで精一杯ってとこじゃない?)
散々言われた言葉。
そんな事私が1番分かってた。
だからこそ、マネージャーとしてバレーに関わっていこうって
そう思ってたのにな。
ふと試合を見ると、影山のトスを受けた日向君がスパイクを決めていた。
本当に嬉しそうに跳んで喜びを表現する日向君。
影山もあまり表情には出さないけど、満更でもない顔をしている。
「…楽しそう」
ぽつり、口から溢れた。
そうだ、私は楽しそうにプレイをする選手を見るのが好きだった。
みんなで繋いだボールが相手コートへ落ちた瞬間、
そして笛が鳴って勝利を勝ち取った試合終了の瞬間、
そんな瞬間の選手のキラキラした表情が、
大好きで。
影山は中学時代最後のあの試合を乗り越えて今また、バレーを楽しんでいる。
金田一だって、場所は変わってもバレーを続けている。新しいチームで、及川さん達の元でバレーを楽しむ気持ちを思い出しているんだろう。
もちろん、英も…。
立ち止まっているのは、
私だけだ。
何て疑問が頭を何度もいったり来たりしている。
目の前では烏野と扇西高の練習試合が始まろうとしている。
「日向と影山が強引にすまねぇな」
いつの間にか隣にいたコーチの烏養さんがそう声をかけてきた。
「いえ、ちゃんと断れなかった私が悪いですから」
「そうか。
そういや白鳥沢の牛島の妹だってな」
!!
…ああ、またか。
「はい。
ですが兄は寮生活ですし、普段交流は全くありませんから、兄に対する情報は何もありませんよ」
そう言い放つ私に烏養さんは少しびっくりした顔をする。
「ははっ!いらねぇよ、牛島の情報とか。
あれだけの選手、多少の情報があった所でどうにかしようとは思わねぇよ。
下手な小細工はいらねぇ、真っ正面からぶつかるだけだ!」
そう言って笑う烏養さんに、少し拍子抜けする。
今まで私に近づいてくる他校のバレー部の人達や関係者はお兄ちゃんの情報を欲しがっていたのに。
「どうだ?久しぶりに見る影山のプレイは?」
影山のプレイ…。
確かに久しぶりだ。
最後に見たのは、中学最後のあの試合だったから。
「…変わりましたね、
影山のトスをあんな風に楽しんで受けて打つなんて…」
影山のトスを日向君はそれは楽しそうに待ち構えて打っている。
きっと影山のトスを心から信頼しているんだろうな。
「ま、あいつらはウチが誇る変人コンビだからなー」
「確かにそうですね」
烏養さんの言葉に頷きながらそう言って笑う武田先生と3年生のマネージャーさん。
「中学の時は独裁の王様だったかも知れねぇが今は違う。
日向がいるからな」
「日向君だけじゃありませんよ。
みんな、影山君の事を信頼してますから」
…信頼。
金田一だって、英だって影山を信頼してた。
だけど、それが崩れてしまう位にあの頃は影山の独壇場だった。
全て自分でやれればいいのにと考える影山とチームメイトに軋轢が生じるのは、
当たり前だった。
「…中学の時だって、チームメイトは影山を信頼してトスを受けようとしましたよ」
思わず出た私の言葉に驚いた顔をするまわりの人達。
今は今、中学の時の事なんて関係ない。
だけど何だか金田一や英、あの時のチームメイトが悪いみたいな感じに勝手に受け取ってしまって、私の言葉は止まらなかった。
金田一も英も、本当は影山とバレーを楽しく続けたかったんだ。
だけどそんな気持ちさえも押し潰される程に、悩み、自分を責め、影山を責め、
苦しんだ。
そして、それは影山も同じで。
「あの試合の後、影山が自分を責めて苦しんだのは分かってます。
だけど、チームメイトも影山のトスを影山の思い描く通りに受けられなくて自分を責めていました。
みんな本当は影山の事をちゃんと信頼していました。
北川第一中のみんなにだって、影山も含めてちゃんと信頼はありました」
「…そうだな、そんなつもりで言ったんじゃねぇんだけど、本当に悪い」
そう本当に申し訳ないという感じで謝る烏養さん。
「…いえ、私もむきになっちゃって。
すみません」
「…素敵なマネージャーだったんですね、牛島さん」
「…え?」
武田先生の言葉に私はそれ以上何も言えずにただ武田先生の顔を見る。
「チームメイトひとりひとりの事をちゃんと見て考えていたのがよく分かります。
影山君がマネージャーに牛島さんを推していた理由が分かりましたよ」
「それは単純に経験者だから…」
「それだけじゃありませんよ。
影山君も中学時代の自分のバレーに後悔があるのでしょう。
だからこそ、中学時代の自分のバレーを知っていて、尚且つマネージャーとして皆を支えてくれていた牛島さんに今の自分を、烏野高校のバレーを見てもらいたいのではないでしょうか?」
にこにこと穏やかに笑ってそう話す武田先生。
「わ、私も牛島さんがマネージャーやってくれたら心強いです!!」
「え?谷地さん?」
急に大きな声でそう叫ばれる。
「わ、私マネージャーやりたいなって思うけど、こんな凄い部に素人の私が入るとか返って迷惑かなとか思って…。
でも私も少しでも頑張ってる皆の役に立ちたいって…。
牛島さんが一緒なら頑張れる気が…!」
たどたどしいけど、自分の気持ちを一生懸命話してくれる谷地さん。
…そうだ、私もマネージャーになったのは少しでも頑張ってる選手の役に立ちたかったからだった。
自分のバレーの才能はお兄ちゃんに比べて全然で。
(妹だからって兄みたいに才能がある訳じゃないよね)
(選手としては控えで精一杯ってとこじゃない?)
散々言われた言葉。
そんな事私が1番分かってた。
だからこそ、マネージャーとしてバレーに関わっていこうって
そう思ってたのにな。
ふと試合を見ると、影山のトスを受けた日向君がスパイクを決めていた。
本当に嬉しそうに跳んで喜びを表現する日向君。
影山もあまり表情には出さないけど、満更でもない顔をしている。
「…楽しそう」
ぽつり、口から溢れた。
そうだ、私は楽しそうにプレイをする選手を見るのが好きだった。
みんなで繋いだボールが相手コートへ落ちた瞬間、
そして笛が鳴って勝利を勝ち取った試合終了の瞬間、
そんな瞬間の選手のキラキラした表情が、
大好きで。
影山は中学時代最後のあの試合を乗り越えて今また、バレーを楽しんでいる。
金田一だって、場所は変わってもバレーを続けている。新しいチームで、及川さん達の元でバレーを楽しむ気持ちを思い出しているんだろう。
もちろん、英も…。
立ち止まっているのは、
私だけだ。