月島視点

「おはよ、柚奈」
教室に入ると１番に目に飛び込む柚奈の姿。

「あ、おはよ
け、蛍…！」

「何で吃るのさ、昨日は最後ら辺は普通に呼んでたでしょ」

何て言う僕も実は少し、呼ぶ時心臓がドクドクとうるさかったのは内緒だけど。

「いや、何か１日経って蛍を前にしたら緊張しちゃって…」

恥ずかしいね、何て顔を赤くして言う柚奈に、僕まで恥ずかしくなってしまう。

「蛍？」

顔を反らした僕に不思議そうに、
そして少し不安そうに僕の名前を呼ぶ柚奈が、凄く可愛いくて。

「それ、今日の課題？」

話を反らしたくて柚奈が机に広げているノートを覗き込む。

「あー、うん。
数学苦手なんだよねー」

苦笑して教科書を見る柚奈に、
仕方ないな、何て言いながら解き方を教える。


「で、ここに代入して」

「成る程！
蛍、教え方上手だねー！」

そう言って無邪気に笑う柚奈に、
僕の心臓はまたうるさい位にドクドクと高鳴った。






「…部活前後だけって話だったよね？
ね？？」

昼休み、僕の目の前にはノートを持った日向と影山が立っている。

「だって英語の吉田先生居なかったんだもんよ～」

そんなの知らないよ。
僕の貴重な昼休みを日向と影山に奪われるなんてごめんだ。

「営業時間内に出直して下さーい」

それだけ言って僕はヘッドホンを耳にあてる。

「あれ？影山じゃん」

ヘッドホン越しに聞こえた柚奈の声。

「柚奈」

続けて聞こえた影山が柚奈を呼ぶ声に、
僕はヘッドホンを外す。

目の前には、
友達とお昼を食べにいっていた柚奈が戻ってきていて、
影山と対面している光景が広がっていた。