vol.4 劇薬ペアリング
「……っ、薪さん、……本気で言ってるんですか?」
こっちだってすでに限界を超えているというのに。
でもNOなんて有り得ない。
青木は薪に命じられるまま、震える指先で摘んだ次の一粒を夢中で口に含む。
「…………んむ……、」
薪の視線の愛撫に晒されながら、ひどく無防備な顔でショコラを弄ぶ。舌先で転がし、愛でて慈しむように。そして、薪に命じられた通り「絶頂」を強いるかのような執拗さで――
見つめる薪の体内でも、猛烈な熱が渦を巻いていた。
画面越しの青木が、自分を求めて喉を鳴らす様子に身悶えしながら、薪の手は無意識に、スラックスの中の自身の熱へと伸びていた。
(……お前のせいで、こんなに……)
青木がチョコを噛み砕く微かな音に合わせて、薪の指先が自身を包み、上下に動き始める。
「あっ……」
画面の中の青木を自分自身に重ね、直接触れられている妄想に耽りながら、摩擦の動きは容赦なく加速していく。
「……あぁ、いい……っ、もっと……」
半開きの口から漏れる甘い吐息。
薪の腰が小さく跳ね、一度きりの深い疼きとともに、密やかな絶頂が訪れる。
敗北を認めたあとのような、甘ったるい脱力感に目を細め、乱れた呼気を整える薪。
画面の向こうでは、薪のその恍惚に魅入られた青木が、ショコラを溶かし切った口から、深く重い吐息を吐き出していた。
「……薪さん。満足、しましたか?」
青木の瞳には、画面越しに薪を逝かせた達成感と、埋まりきらない飢餓感が同居している。
薪は、滲む悦楽の涙に潤んだ瞳で青木を見つめ、自分を支配した男への密かな賞賛を含んだ笑みを浮かべた。
「……ああ。お前の不器用な舌も、画面越しなら、まぁ合格だ」
「画面越し“なら”……ですか」
青木が、低く笑う。まだ、足りない。
足りるわけがない。二人ともわかっていた。これは再会した瞬間に爆発するための布石に過ぎないのだと。
「……週末、直接会いに行きますよ。その時に、さっきの“答え合わせ”を、ちゃんとしましょう。それまで溜めた俺の熱、全部薪さんに流し込みますから」
「っ……!」
薪の心臓が、ドクンと大きく跳ねる。
正気が保てなくなる恐怖と、それを上回る、焦がれるような渇望。
「……勝手にしろ。ただし、今日より下手だったら……承知しないからな!」
「あっ、薪さ……」
精一杯の強がりを言い捨てて、薪は今度こそ通信を切断した。
暗転したモニターに映るのは、情欲に焼かれてくしゃくしゃになった、酷く柔らかな自分の顔だ。
「……馬鹿な男め」
薪は焦燥と甘みの混ざった余韻に包まれながら独り言ち、近いうちに訪れる「本物の熱」に想いを馳せて、ソファに横たわり静かに目を閉じた。
こっちだってすでに限界を超えているというのに。
でもNOなんて有り得ない。
青木は薪に命じられるまま、震える指先で摘んだ次の一粒を夢中で口に含む。
「…………んむ……、」
薪の視線の愛撫に晒されながら、ひどく無防備な顔でショコラを弄ぶ。舌先で転がし、愛でて慈しむように。そして、薪に命じられた通り「絶頂」を強いるかのような執拗さで――
見つめる薪の体内でも、猛烈な熱が渦を巻いていた。
画面越しの青木が、自分を求めて喉を鳴らす様子に身悶えしながら、薪の手は無意識に、スラックスの中の自身の熱へと伸びていた。
(……お前のせいで、こんなに……)
青木がチョコを噛み砕く微かな音に合わせて、薪の指先が自身を包み、上下に動き始める。
「あっ……」
画面の中の青木を自分自身に重ね、直接触れられている妄想に耽りながら、摩擦の動きは容赦なく加速していく。
「……あぁ、いい……っ、もっと……」
半開きの口から漏れる甘い吐息。
薪の腰が小さく跳ね、一度きりの深い疼きとともに、密やかな絶頂が訪れる。
敗北を認めたあとのような、甘ったるい脱力感に目を細め、乱れた呼気を整える薪。
画面の向こうでは、薪のその恍惚に魅入られた青木が、ショコラを溶かし切った口から、深く重い吐息を吐き出していた。
「……薪さん。満足、しましたか?」
青木の瞳には、画面越しに薪を逝かせた達成感と、埋まりきらない飢餓感が同居している。
薪は、滲む悦楽の涙に潤んだ瞳で青木を見つめ、自分を支配した男への密かな賞賛を含んだ笑みを浮かべた。
「……ああ。お前の不器用な舌も、画面越しなら、まぁ合格だ」
「画面越し“なら”……ですか」
青木が、低く笑う。まだ、足りない。
足りるわけがない。二人ともわかっていた。これは再会した瞬間に爆発するための布石に過ぎないのだと。
「……週末、直接会いに行きますよ。その時に、さっきの“答え合わせ”を、ちゃんとしましょう。それまで溜めた俺の熱、全部薪さんに流し込みますから」
「っ……!」
薪の心臓が、ドクンと大きく跳ねる。
正気が保てなくなる恐怖と、それを上回る、焦がれるような渇望。
「……勝手にしろ。ただし、今日より下手だったら……承知しないからな!」
「あっ、薪さ……」
精一杯の強がりを言い捨てて、薪は今度こそ通信を切断した。
暗転したモニターに映るのは、情欲に焼かれてくしゃくしゃになった、酷く柔らかな自分の顔だ。
「……馬鹿な男め」
薪は焦燥と甘みの混ざった余韻に包まれながら独り言ち、近いうちに訪れる「本物の熱」に想いを馳せて、ソファに横たわり静かに目を閉じた。
3/3ページ