夢現のよる
どうして……こんなに気持ちいい?
気づかないうちに負っていた傷を、深く浅く丁寧に舐められ絆されていくのが?
違う、苦しくもある。気持ちよさとうらはらの、身体の奥で疼く渇望の熱に呑まれそうな苦しさ……でもそれさえ快楽と区別がつかなくなるのが不可解すぎて、もう何もわからなくなっている。
「好き……って、どういう気持ちなんだ?」
「……へっ?」
今どき小学生でもしないような問いかけに、白く滑らかな胸元に埋もれていた青木が驚いた顔を上げる。
「うーん……一言で表すのは難しいですが、俺の場合は……大切な人に触れたい。そして離したくなくて、他の誰にも渡したくない……って感じですかね」
無垢な表情で見上げてくる薪に、込み上げる欲情が堪えきれず、青木は身体を折り重ねたまま横の枕に突っ伏して熱い息を逃がした。
こんな歳下の自分が何を語っても、浮かれて、軽くて、薪に刺さらない気がして。
「鈴木が……愛する相手とそういう感情を通わせているのを、長年傍らで見ていた」
青木は額を布地につけたまま、ゆっくりと首だけ回して薪を見る。
目と鼻の先にある無防備な横顔は、静かに天井を見つめていた。まるで自分の脳内映像がそこに映し出されてるかのように。
「あの二人はいつも……一緒にいる時笑ってた。たまに喧嘩もしていたが……こんなに苦しい気持ちを味わってるようには見えなくて……」
「本当にそうでしょうか?」
青木は至近距離の薪から片時も目が離せない。
白い肌、微かに震える睫毛、子どもみたいな言葉を紡ぐ無垢な唇。手が届くからこそ、欲しすぎて苦しい。沸きあがる熱に胸が締め付けられるし、勝手にキモチが盛り上がり、なだれ込む寸前だった。
「人を好きになって苦しくなるのは……避けられないと思います。今、俺だって苦しいし、多分どんなに幸せな恋人同士でも……」
口にしかけた言葉とともに、青木はドキリと息を呑む。
艶めかしい熱を帯びた綺麗な顔と零れそうな瞳が、ほど近い距離のまま、こちらを向いたから。
「もしかして、あなたが苦しいのは……俺の……せいですか?」
怖いからじゃない。
好きすぎて、欲しすぎて、声が震える。
「どこが……苦しいんです?」
「やめ……ろっ」
薪の視界が一気に青木に覆われる。
「言って……ください、俺がなおします」
「……」
以降二人の言葉が途切れたのは、唇がキスで忙しくなったからだ。
大きな身体が薪を組み敷き、手や唇が容赦なく身体の隅々まで撫で回す。頭から爪先まで“好き”だと刻みてけていく勢いで。
着衣を剥がれるのも、剥かれた肌を手や口で撫で回されるのも、薪にとっては全部初めてのことだ。
擽ったいはずの肌が言いようもない快楽にざわめいて、内側の熱が身体を突き破らんばかりに疼く。
触れたい……し、触れてほしい。青木に晒けだす総てのものを、溶かし尽くされてしまいたい。
「ん……ふぁ……っ……」
キスを全身で受け止めながら、自分を覆う二回り以上大きな身体から手探りで着衣を剥いでいく。
肌がじかに触れると、声があがりそうになるくらい気持ちよくて仰け反っては、さらなる密着を求めて震える身体を擦り寄せる。
「……あぉ……きっ……あっ……」
「えっ、まきさん……ここ……」
下腹を撫でるキスに絆されて無防備になっていた両脚のあいだの屹立を、大きな手が優しく包んだ。
「……こんなに……なって……すごい……」
青木の声の上擦り様から、きっとそこは、薪自身もみたことない、いじらしく淫らなかたちになっているのだろう。
「あっ……よせっ………ちが……っ……やめ……るな……あっ……」
両手で顔を覆って混乱を隠す一方で、明け渡した下半身は好きな男の手と口に弄られているのだから堪らない。
って、待て。
すきな……おとこ……って?
とてつもない快感に押し上げられて、のぼり詰める。その後も収まらない熱に揉みくちゃにされながら、だいじなものがどんどん奪われていく。
ダメなのに……と、くしゃくしゃの頭のなかで藻掻きながら。
「ぁ……あんっ……!」
体内の熱いところに青木のナニカが潜り込んでくるなんとも言えない刺激に、思わず甘い叫び声があがる。
「すみません……痛いですか?」
薪は両手で顔を隠したまま「いたくない」と、首を横に振り、体内の熱を悩ましく搔き回す指の動きに腰を浮かし「好きにしろ」と小声を零す。
だめ……だ。けど、これは“夢”。
だから?
覚めてほしくないんだ……ずっとこのまま、さいごまで。
ただ、それだけ。
気づかないうちに負っていた傷を、深く浅く丁寧に舐められ絆されていくのが?
違う、苦しくもある。気持ちよさとうらはらの、身体の奥で疼く渇望の熱に呑まれそうな苦しさ……でもそれさえ快楽と区別がつかなくなるのが不可解すぎて、もう何もわからなくなっている。
「好き……って、どういう気持ちなんだ?」
「……へっ?」
今どき小学生でもしないような問いかけに、白く滑らかな胸元に埋もれていた青木が驚いた顔を上げる。
「うーん……一言で表すのは難しいですが、俺の場合は……大切な人に触れたい。そして離したくなくて、他の誰にも渡したくない……って感じですかね」
無垢な表情で見上げてくる薪に、込み上げる欲情が堪えきれず、青木は身体を折り重ねたまま横の枕に突っ伏して熱い息を逃がした。
こんな歳下の自分が何を語っても、浮かれて、軽くて、薪に刺さらない気がして。
「鈴木が……愛する相手とそういう感情を通わせているのを、長年傍らで見ていた」
青木は額を布地につけたまま、ゆっくりと首だけ回して薪を見る。
目と鼻の先にある無防備な横顔は、静かに天井を見つめていた。まるで自分の脳内映像がそこに映し出されてるかのように。
「あの二人はいつも……一緒にいる時笑ってた。たまに喧嘩もしていたが……こんなに苦しい気持ちを味わってるようには見えなくて……」
「本当にそうでしょうか?」
青木は至近距離の薪から片時も目が離せない。
白い肌、微かに震える睫毛、子どもみたいな言葉を紡ぐ無垢な唇。手が届くからこそ、欲しすぎて苦しい。沸きあがる熱に胸が締め付けられるし、勝手にキモチが盛り上がり、なだれ込む寸前だった。
「人を好きになって苦しくなるのは……避けられないと思います。今、俺だって苦しいし、多分どんなに幸せな恋人同士でも……」
口にしかけた言葉とともに、青木はドキリと息を呑む。
艶めかしい熱を帯びた綺麗な顔と零れそうな瞳が、ほど近い距離のまま、こちらを向いたから。
「もしかして、あなたが苦しいのは……俺の……せいですか?」
怖いからじゃない。
好きすぎて、欲しすぎて、声が震える。
「どこが……苦しいんです?」
「やめ……ろっ」
薪の視界が一気に青木に覆われる。
「言って……ください、俺がなおします」
「……」
以降二人の言葉が途切れたのは、唇がキスで忙しくなったからだ。
大きな身体が薪を組み敷き、手や唇が容赦なく身体の隅々まで撫で回す。頭から爪先まで“好き”だと刻みてけていく勢いで。
着衣を剥がれるのも、剥かれた肌を手や口で撫で回されるのも、薪にとっては全部初めてのことだ。
擽ったいはずの肌が言いようもない快楽にざわめいて、内側の熱が身体を突き破らんばかりに疼く。
触れたい……し、触れてほしい。青木に晒けだす総てのものを、溶かし尽くされてしまいたい。
「ん……ふぁ……っ……」
キスを全身で受け止めながら、自分を覆う二回り以上大きな身体から手探りで着衣を剥いでいく。
肌がじかに触れると、声があがりそうになるくらい気持ちよくて仰け反っては、さらなる密着を求めて震える身体を擦り寄せる。
「……あぉ……きっ……あっ……」
「えっ、まきさん……ここ……」
下腹を撫でるキスに絆されて無防備になっていた両脚のあいだの屹立を、大きな手が優しく包んだ。
「……こんなに……なって……すごい……」
青木の声の上擦り様から、きっとそこは、薪自身もみたことない、いじらしく淫らなかたちになっているのだろう。
「あっ……よせっ………ちが……っ……やめ……るな……あっ……」
両手で顔を覆って混乱を隠す一方で、明け渡した下半身は好きな男の手と口に弄られているのだから堪らない。
って、待て。
すきな……おとこ……って?
とてつもない快感に押し上げられて、のぼり詰める。その後も収まらない熱に揉みくちゃにされながら、だいじなものがどんどん奪われていく。
ダメなのに……と、くしゃくしゃの頭のなかで藻掻きながら。
「ぁ……あんっ……!」
体内の熱いところに青木のナニカが潜り込んでくるなんとも言えない刺激に、思わず甘い叫び声があがる。
「すみません……痛いですか?」
薪は両手で顔を隠したまま「いたくない」と、首を横に振り、体内の熱を悩ましく搔き回す指の動きに腰を浮かし「好きにしろ」と小声を零す。
だめ……だ。けど、これは“夢”。
だから?
覚めてほしくないんだ……ずっとこのまま、さいごまで。
ただ、それだけ。