2066 青誕 大人の階段
あれは見たくない現実だった。
目隠しして“欲望だけ発散させる行為”に、薪がときおり興じていたのは、青木とこうなるだいぶ前。
想い人と背格好がよく似たプロの施術で、到達するだけの行為だ。
達するときに呼ぶ男の名前も個人情報として厳秘。
オーダー通りのサービスを、対価を払って受けていた、それだけのことだ。
「……おき、………あおき………っ」
今は “見たい” のに、見えない。
でも、見えないのに、肌ですべてを読み取れる。
一線を越え求めあい何度か重ねてきた肌の、いたるところに刻まれた愛しい温もりや面影は、視界が遮られたままでも、手に取るように薪の脳裏で再現できるのだ。
「薪さん…………まきさん………」
「あ……おき…………っ」
青木の声と肌の熱。
繋がる身体を揺らす律動と、奥まで貫き穿つ音。
愛しさに包まれて、快楽に追い詰めあう鬩ぎ合いに、目隠しは今さら何の意味も為さない。
もう何も必要ないのだ。
あの時は頭の中の想像でしかなかった男が、今や裸で薪を腕に抱き、欲望の昂りで二つの肉体を奥深くまで繋いで汗だくで腰を振っているのだから。
「……薪さん………俺もう無理です!!」
しびれを切らした青木が叫ぶと同時に、薪の視界が急に、一気に眩しく開けた―――
目隠しして“欲望だけ発散させる行為”に、薪がときおり興じていたのは、青木とこうなるだいぶ前。
想い人と背格好がよく似たプロの施術で、到達するだけの行為だ。
達するときに呼ぶ男の名前も個人情報として厳秘。
オーダー通りのサービスを、対価を払って受けていた、それだけのことだ。
「……おき、………あおき………っ」
今は “見たい” のに、見えない。
でも、見えないのに、肌ですべてを読み取れる。
一線を越え求めあい何度か重ねてきた肌の、いたるところに刻まれた愛しい温もりや面影は、視界が遮られたままでも、手に取るように薪の脳裏で再現できるのだ。
「薪さん…………まきさん………」
「あ……おき…………っ」
青木の声と肌の熱。
繋がる身体を揺らす律動と、奥まで貫き穿つ音。
愛しさに包まれて、快楽に追い詰めあう鬩ぎ合いに、目隠しは今さら何の意味も為さない。
もう何も必要ないのだ。
あの時は頭の中の想像でしかなかった男が、今や裸で薪を腕に抱き、欲望の昂りで二つの肉体を奥深くまで繋いで汗だくで腰を振っているのだから。
「……薪さん………俺もう無理です!!」
しびれを切らした青木が叫ぶと同時に、薪の視界が急に、一気に眩しく開けた―――