2066 青誕 大人の階段

“23:23”

眼鏡を外す直前、青木の視界が捉えたその数字はヘッドボードの時計のデジタル表示だ。

このまま情事に行き着けば、薪の中で日付が変わり、今だかつて味わったことのない幸福と快感のなかで誕生日を迎えることになる。

真夜中なのに、明かりが点いたままの室内。
腕の中で素直に乱れる薪の上気した肌が非日常感を際立たせ、ぼやけた視界に映る胸元の綺麗な薄桃色に、青木は引き寄せられるように顔を埋め熱い舌を這わせる。

「あ……っ」

視線と舌先で尖った乳頭を交互になぞると、薪の唇からきいたことのないせつない声が漏れた。

か、かわいい……!

唇と指先で震える突起を丁寧に捏ねながら、青木のもう片方の手が、綺麗な腰のラインを滑り降りて股間で濡れる屹立を包んだ。

「っ…………はや……くっ……」

手を動かすたびビクビク反応しながら急かす薪が可愛すぎる。

胸元から顔を上げた青木は、反り上がって浮いた細腰を掴んで引き寄せ、後ろの蕾に這わせた指をゆっくりと押し込んで、また異変に気づく。

「え…………薪さん、まさかご自分で?」

「い……からっ、挿れろ」

態度と言葉と反応がまるでちぐはぐなのは、こうなるとお互い様だ。
青木は戸惑いながらも、解れた薪のなかへ、猛る自身をそのまま突き入れ、愛しい身体を拓いていく。

熱い奥へときつく絡めとられる感触は、いつもどおり気持ちいいのに、それを味わう暇もなく、目隠しした薪にまた続きをせかされる。

「……うご……け」

「……はい」

「はや……く……っ……」

「……はいっ」

煽られてるとはいえ、こんな畳み掛けるようなやり方は今までしたことがなくて、暴走する肉体とはうらはらに気持ちが乗り遅れている。
目を隠したって綺麗な顔立ちは隠せない。薄く開いた唇がとろりと美味しそうで、思わず吸いついて受け止めると、とろけそうに甘くて。
視覚が使えない分、無意識に絡めてくる手足や、擦り寄ってくる薪の滑らかな肌も、逝きそうに心地いい。
自然と薪からのキスも増え、うなじの生え際に鼻先を埋めてきたり、いつにも増して物欲しげな結合部の蠢きにも煽られて、躊躇いを置きざりにしたまま青木の抽送は止まらない。
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