2059 青誕ss 奇跡のどƕぎつね

 気づいたら朝になっていた。

 こたつに突っ伏していた俺は、ハッと顔を挙げる。
 テーブルにはノートPCと、汁まで飲み干した空っぽのどƕ兵衛のカップ。
 メガネをかけたままの視界はクリアだが、部屋を見渡しても、きつねさんの姿はなかった。

 夢……だったのか。

 まさに誕生日プレゼントみたいに素敵な夢だった。きつねさん、少しHで滅茶苦茶可愛かったなあ♡

 緩みきった表情で、開きっぱなしだった論文ファイルに視線をやった俺は、目を疑い真顔になった。
 内容が赤字で添削されていたのだ。
 しかも凄まじくリアルで的確に。

 すげー!!こんな貴重なフィードバック、東大どころか日本中いやもしかしたら世界中駆けずり回ったって得られるもんじゃないぞ!?

 齧り付くように読みながら、騒ぎだす血、沸き立つ心。
 そしてみるみる冴えていく頭――

 ああ、思い出した。

 あれは……そうだ。
 あの自称どƕぎつねさんは……

 オンラインでスクラップしている第九のニュース記事を超高速で検索しながら、俺の胸は感激とときめきで溢れかえっていた。

 間違いない、この御顔だ。

 あのどƕぎつねさんは、俺が憧れてやまない“薪剛警視正”じゃないか!!

 募りすぎた俺の憧れが、妄想になって爆誕したのが、あの御姿ということだろうか。

 わからないけど、待ってて下さい。
 俺、マジで会いに行きます!!
 そしてこのご恩とともに働きます!!馬車馬にでも、忠犬にでも、何にでも・・・・なりますから!!

 あなたと、MRI捜査の未来のために――!!


HAPPY HAPPY Birthday🔥2059.12.9
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