2066 青誕 大人の階段

「……ん…………はぁ……」

いつもよりかなり抑えた愛撫に、薪は焦れったげな熱い息を吐く。
目隠しした薪への愛撫が、いつもの発情した大型犬じゃなく、借りてきた猫みたいに控えめなのがもどかしいのだ。
不馴れな状況に戸惑っているのか、それとも不審がられた?いや単に萎えただけなのか……いずれにしても好ましくない状況だ。
青木の顔が見えないもどかしさを抑えながら、薪は疼く肌に降りそそぐ控えめなキスに全神経を傾ける。


「あの薪さん、これはどういう……」

「秘密があるのは、お互い様だろ」

「いえ、俺はありませんって。だいたいあなたに出会った時、まだほんのガキだったじゃないですか」

「フン、上手いこと言って、とぼけるな」

青木の顔が見えないという、自ら作り出した状況に苛つきながら薪が問い詰める。

「だいたいお前今までに、何人の女性と交際したんだ?遊園地デートの彼女に、雪子さんだろ……」

「そ、その方たちを入れたって余裕で片手に収まる数ですよ。それにもう、今日に限ってそんな話、勘弁してください!!」


……あ、やっとスイッチが入った。

余計な言葉を封じるキスと、のしかかる青木の重みに自由を奪われる心地好さを満喫しながら、薪は手探りで愛しい相手の頚に両腕を回した。
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