僕の可愛い忠犬一行

「あっ…………待て…………っ」

艶っぽいマテの命令に、青木が薪の下肢の付け根に埋めていた顔をあげる。

「どうしました?」

身体を重ねている時二人の顔が異様に近くなりがちなのは、青木の近視のせいだ。
まだイきたくなくて小休止を求めたのに、鼓動と息を弾ませたまま近づいた唇は、自分の先走りの苦味を絡ませた舌で共有するキスになる。同時に大きな手が、解放されたばかりの屹立を包むから、これはこれで………

「あ、バカっ……擦るな……」

親指の腹で先端を撫でながら、ソコを包んだままの大きな手が止まる。

「すみません、お辛いですか?」

首を横に振る薪の鼻筋を青木の口唇が伝ってまた深いキスになる。擦るなと云われ手持ち無沙汰になった指先が、湿りをまとったまま今度は後ろに伝ってきて、閉じた蕾をくるりとなぞった。

「ふぁ……っ」

電流を送られたように仰け反る薪は、潤んだ目で青木を睨んで吐き捨てる。

「………はぁ……っいつまで待たせるんだ、このバカっっ!」

「えっ、待ってたのは俺の方じゃ…」

そういうことか。
薪の膝裏を押し上げて脚の間に入り込むように、大男の身体がのし掛かる。

賢い忠犬はまた一つ薪の命令のバリエーションをみつけた。
今のマテは“早くいれろ”と読み替えるべきものなのだと。
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