僕の可愛い忠犬一行

まだ興奮冷めやらないまま薪の体内から自身を引き抜く。と、すぐさま薪の手が伸びてきてゴムを外した。

「明らかに量が……2.5割増といったところか。やはり亜鉛を含む赤身肉に一定の効果はあるようだな」

「はぁ…………薪さん」

口の部分を結んだブツを目の前にピラピラとぶら下げながら興味深げに呟く薪を見て、盛大なため息をつく青木。
…………全く、この人は。ここで疑似科学の検証をはじめるとは。
そういえば、装着はだいたい青木が自分でするが、外すのは薪のことが多い。それでまさか精子量の把握だとか恐れ入る。
でもぶっちゃけそんなとこも愛しい。そしてご指摘通り今回の射精はたしかに気持ち良かった(いや普段も最高に気持ち良い)のだが。

「即刻効果につながるとは、さすがにお前は若いな」

「…………」

返事につまった青木は、少し浮かない顔でベッドに仰向けに寝そべる。

「若い……からあなたは俺を選んだんですか?」

「拗ねるな。そういうわけじゃない」

ブツを片付けた薪は、青木の隣に寄り添って横たわった。

「でもいつも“若い”とばかり、俺に仰いますよね」

「お前だって僕のことを“綺麗”と言ってばかりじゃないか」  

「…………」

返事はない。が、構わず薪は続ける。

「もし僕が年相応の、例えば岡部や山本のような風貌でも、お前は変わらず僕を愛でられるのか?」

「うっ、そんな想像を絶する問いには答えられません」

「だろ?僕だって同じだ。お前だから愛した。何一つ違っても嫌だ」

多少違っても愛してしまうかもしれないが。と、心の中で密かに付け足しながら。

気づけば、浮かなかった青木の顔色が一気に色づいていて、薪はギクリとする。

だって、薪さん。今あなた……
あ、愛した、って……

愛した、って仰いました?俺を!?


「ちょっ……おい、待て。なっ……」

視界が青木で覆われた薪が慌てるが、もう遅い。

「あなたがさっき焼いてくださった肉、最高に旨かったんです。もちろん本当のメインも・・・・・・・相当に!」 

大きな身体が突きつけてくる武器はガッツリ臨戦態勢で。忠犬の目は無心に輝き、ブンブン振ってる尻尾も薪には見えている。きゅんとすれば負け。だがそれ以前に絆された身体も熱く受入れ体勢になっている。

「だからおかわりを……でいただいてもいいですよね」

「はあ………?」

クソっ、これだから、若いのは―――
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