でも、私は知っている。
誰彼構わずする行動ではない事を。
私を、特別大事に扱ってくれている、と。
秀くんと私は、俗に言う『友達以上恋人未満』といった所だろうか。
はっきり言って、私は不満だけれど…
でもまぁ、悪くはない。
特別な存在である事に、変わりはないから。
だけと、いつか叶うなら…

秀くんに世界一大事に思われたい。
何よりも、誰よりも大切だと言われたい…

ーーーーなんてね。

｢おやすみなさい｣

目を閉じて、考えてみる。

秀くんだって、一人の人間だ。
いつか、私なんかよりもずっとずっと素敵な人が現れて、結婚して、子供だって…
秀くんは優しいから、きっといいお父さんになるんだろうな…

でも、そうしたら、私は…

秀くん以外を好きになる、
それはなんだかありえない気がする。

それはとても、寂しいことに思えて…

しかし、なんと勝手な思考だろうか。

秀くんにだって、人を選ぶ権利はあるのよ…

私じゃない、他の、誰か。

意識が遠くなっていく。
熱が上がってきたのかもしれない。
今は何も考えずに眠ってしまおう。

そう決意すると同時に、深い眠りに引きずり込まれた。