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君の記憶。
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あれは
まるで砂糖菓子の様な記憶
甘く
淡く
儚く
脆い
触れれば
容易く崩れてしまいそう
そんな夢の様な記憶
どうしたの?
視界に飛び込んできたのは
幼い少女だった。
小さな身体に合わない、大きな赤い傘をさしてかがみ込み、こちらに手を伸ばしている。
少女は泣いていた。
大きな瞳からぽろぽろと溢れる涙は
雨と共に俺の身体に落ちては消えた。
そうか、血が怖いのか
自分の身体が血まみれだという事を思い出し、狐は目を細めた。
質の悪い妖怪に終われ、
人間界に逃げ込んだまではよかったが、
どうやら気を失っていたらしい。
大丈夫…?痛いの…?
震える指で、少女は狐に触れた。
指が赤く汚れる事も、少女は気にならないという風に優しく狐の傷ついた足を撫でる。
狐さん、なんで怪我しちゃったの?
少女が震えているのは、泣いているのは恐ろしさからくる恐怖ではなかった。
傷ついた足と血に濡れた銀色の毛を目の当たりにし、このままでは死んでしまうのではという恐怖だった。
それを、狐は分からない。
分かるつもりも、理解する気も、考える事もなかった。
今までもこれからも、そうやって生きていくのだから。
痛む足を引きずりながらさっていこうとする狐の背中に、少女がまた声をかける。
待ってよ、狐さん!
長い尻尾をぐいと掴まれた。
咄嗟に振り向くと、少女はポケットからなにやら布を取り出した。
ハンカチの様だ。
これで、大丈夫だよ。
その花柄の可愛らしいハンカチで、狐の傷を包んだ。
じわりと血が滲む。
不思議だ。
なんだか痛みが少しづつ引いていく。
狐さん、もう怪我しないでね。
ばいばい、狐さん。
彼女は、小さな手を左右に揺らし
大きな赤い傘を小さく弾ませながら
小道の奥、公園の方へ消えていった。
狐は
妖狐蔵馬は去っていく少女の後ろ姿をじっと眺めることしか出来ず
遠くなる赤を見えなくなるまで見送った。
あのハンカチ、実はまだ持ってるんだ
なんて、目の前の彼女ー##NAME1##ーに言ったらどんな顔をするだろうか。
あの時の少女は今、成長し自分の幼なじみとして隣にいる。
なに?さっきから人の顔じろじろ見て、何も出ないよ?
運命と言う名の偶然。
偶然と言う名の必然。
なんでもないよ。
いつもの様に、笑ってみせた。
忘れない
君の優しさ
君の涙
君の震える指
赤い傘の小さな少女
砂糖菓子の様な
甘い甘い記憶
今度は俺が
君を守るからーーーー
隣で笑う君に、そっと誓いを立てた。
END
☆☆☆
若干年上の幼なじみさん。
まるで砂糖菓子の様な記憶
甘く
淡く
儚く
脆い
触れれば
容易く崩れてしまいそう
そんな夢の様な記憶
どうしたの?
視界に飛び込んできたのは
幼い少女だった。
小さな身体に合わない、大きな赤い傘をさしてかがみ込み、こちらに手を伸ばしている。
少女は泣いていた。
大きな瞳からぽろぽろと溢れる涙は
雨と共に俺の身体に落ちては消えた。
そうか、血が怖いのか
自分の身体が血まみれだという事を思い出し、狐は目を細めた。
質の悪い妖怪に終われ、
人間界に逃げ込んだまではよかったが、
どうやら気を失っていたらしい。
大丈夫…?痛いの…?
震える指で、少女は狐に触れた。
指が赤く汚れる事も、少女は気にならないという風に優しく狐の傷ついた足を撫でる。
狐さん、なんで怪我しちゃったの?
少女が震えているのは、泣いているのは恐ろしさからくる恐怖ではなかった。
傷ついた足と血に濡れた銀色の毛を目の当たりにし、このままでは死んでしまうのではという恐怖だった。
それを、狐は分からない。
分かるつもりも、理解する気も、考える事もなかった。
今までもこれからも、そうやって生きていくのだから。
痛む足を引きずりながらさっていこうとする狐の背中に、少女がまた声をかける。
待ってよ、狐さん!
長い尻尾をぐいと掴まれた。
咄嗟に振り向くと、少女はポケットからなにやら布を取り出した。
ハンカチの様だ。
これで、大丈夫だよ。
その花柄の可愛らしいハンカチで、狐の傷を包んだ。
じわりと血が滲む。
不思議だ。
なんだか痛みが少しづつ引いていく。
狐さん、もう怪我しないでね。
ばいばい、狐さん。
彼女は、小さな手を左右に揺らし
大きな赤い傘を小さく弾ませながら
小道の奥、公園の方へ消えていった。
狐は
妖狐蔵馬は去っていく少女の後ろ姿をじっと眺めることしか出来ず
遠くなる赤を見えなくなるまで見送った。
あのハンカチ、実はまだ持ってるんだ
なんて、目の前の彼女ー##NAME1##ーに言ったらどんな顔をするだろうか。
あの時の少女は今、成長し自分の幼なじみとして隣にいる。
なに?さっきから人の顔じろじろ見て、何も出ないよ?
運命と言う名の偶然。
偶然と言う名の必然。
なんでもないよ。
いつもの様に、笑ってみせた。
忘れない
君の優しさ
君の涙
君の震える指
赤い傘の小さな少女
砂糖菓子の様な
甘い甘い記憶
今度は俺が
君を守るからーーーー
隣で笑う君に、そっと誓いを立てた。
END
☆☆☆
若干年上の幼なじみさん。
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