Main story II
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『静かなところはダメだね。ファミレスで勉強しない?そこなら喋っても大丈夫だし、お腹も空いたしっ!』
切島「おう!そうだな!」
爆豪「なつはパフェ食いてぇだけだろ。」
『ギクッ…けど、勉強もちゃんとするよ?』
帰ろうとする爆豪を、なつと切島は必死で止め、三人は駅前のファミレスへと足を運んだ。
なつと切島は隣に座り、爆豪は向かいにドカッと座った。
切島「うぁー、こんぐらい騒がしいほうがやっぱ落ち着くなー!な、爆豪!」
爆豪「勝手に落ち着いてろや。」
『わぁっ、このチョコバナナパフェ美味しそう!…あーっ、けどシューパフェもありだなぁ………』
切島と爆豪を他所に、なつはデザートメニューばかり見ている。
何かツッコミを入れると思っていた爆豪が何も話さず、爆豪のことを見ると、今まで自分には見た事ないくらい穏やかで優しい表情でなつの事を見ていた。
切島「っ!!(爆豪…オメェ…)」
「ご注文はお決まりですか?」
切島「ああ、ドリンクバー3つ!」
『あっ、あと、チョコバナナパフェください!』
注文をとりにきたウェイトレスに即答する切島に、なつが焦って答えた。
爆豪「奢りだろうな?」
切島「おう、任せとけ!そのかわり根気よく教えてくれよ!」
爆豪「ドリンクバーくらいで根気よくなってられるか、クソが!」
『あっ、私の分は私が払うからね!勿論。』
爆豪「ったりめぇだろ!」
切島が「良いぜ!女に財布は出させれねぇ!」と言おうとすると、その前に爆豪が言った事で切島は黙った。
「では、ドリンクバーはあちらになっておりますので、ご自由にどうぞ」
切島「俺、持ってきてやるよ。2人とも何がいい?」
爆豪「コーラ」
『私はカルピスがいいな。』
切島「おう、わかった!」
『ありがとう。』
切島が行った後、同じドリンクバーに向かう人影が爆豪のテーブルの前で止まった。
「あれ、カツキじゃん!」
「女子連れ!!!デートかよ!?」
爆豪「あ?」
『!!』
男二人はなつの隣と爆豪の隣に一人ずつ座ってきた。
「まさかこんなとこで会うなんてなー」
「見たぜ!体育祭!」
爆豪「うっせ!!!黙れ!」
『……』
切島「爆豪、なに、知り合いか?」
爆豪「中学んときのダチだよ。」
「焦ったぜ、爆豪がデートな訳ねぇよなぁ。」
「つか、委員長じゃね!?」
『……あっ!!久しぶりだね!』
「二人そんな仲良かったっけ?」
「カツキの方がずっと委員長の事見てたぜ〜?告白現場とかしょっちゅう邪魔しに行って…」
「お前気づいてなかったの?」そう言葉を連ねる黒髪の友人に、センター分けの少年が「マジかよ。」と呟く。
爆豪「さっさと自分のテーブル戻りやがれ。」
「なんだよ、冷てえなぁ。」
爆豪のぶっきらぼうさに、友人たちは名残惜しそうにしやがらも立ち上がると、切島は笑顔で二人を制した。
切島「あ、じゃあ座っててくれよ!」
「え、いいの?」
切島「もちろんだぜ、つもる話とかあるんだろ?」
なつも壁際により、場所を詰めると爆豪は立ち上がり、なつの隣へドカッと座り直した。
「カツキ、心配しなくても委員長には手ぇ出さねえって!」
「そうそう、怖くて俺らは近寄れん!」
切島「ん?月下って、そんなキャラだったのか?」
『違うよ。悪さばっかするから、注意してただけだよ。ねぇ、勝己?』
爆豪「俺に振るなや。つーか、勉強は。」
切島「ちょっとくらいかまわねえさ。ダチは大事にしねえとな!」
漢気たっぷりな切島に黒髪の友人は、眩しそうに目を細めた。
「...なんだ、あんた。カツキの友達と思えねーくらいいい人だな。」
爆豪「どういう意味だ、クソが!」
切島「爆豪は口や態度は悪いけど、自分の信念にまっすぐで熱い男だぜ!」
爆豪「気持ちワリイこと言ってんじゃねえ、クソ髪!」
『勝己は正直だし、昔から優しいとこあるよ?口悪いけど。』
爆豪「なつ、てめェも黙れや!」
「うん、相変わらず口悪いわー。褒めてんのに」
懐かしんでいる友人に、切島はふと口を開いた。
切島「なぁ、中学んときの爆豪ってどんな感じだったんだ?」
「どんな……あー、こんな感じだよなー?」
「唯我独尊って感じだな。」
「地球は自分中心に回ってるみてえな。」
『ふふっ。ガキ大将って感じね。』
爆豪「......てめえら、殴られてえんだな?あ゛?」
「わー、将来のヒーローが暴力振るうなよ!」
爆豪「うっせえ!どけ、クソモブどもが。」
そう言って黒髪の友人を立ち上がらせると、爆豪は飲み干していたコップを持って、ドリンクバーに向かった。
「…でも、中学んときよりかは、なんつーか……少し落ち着いたような気もするな…」
「かもな。」
「中学んときだったら、本当に一発くらい殴ってるよなー。それに、人に勉強教えようとすんのもありえねえし。」
『昔から、私は勝己に勉強教えてもらってたよ?』
「けど、月下も俺らと距離置いてたじゃん。」
「いつからか急に爆豪の事、苗字呼びだったし?」
「だよなー。やっぱ雄英ってすげえな。……どう?雄英でのカツキは?」
爆豪の昔の話を聞き、切島は入学当初の頃を思い出していた。
切島「さっきも言ったとおりだぜ。アイツは裏がねえから、一緒にいて気持ちいいんだ。実力もあるし、そこはみんな認めてると思う。」
なつは切島が爆豪に対してそう思っていることに、嬉しく感じていた。
切島「そういえば、緑谷も同じクラスだったんだろ?」
切島が聞くと、二人は微妙な顔をして「まぁ…」と返事をしていた。
なつは、二人の事をじっと見ている。
「カツキはともかく、まさか“あの”緑谷が雄英に行くなんてな!…………」
切島「あの?」
「あー……実はさ、オレら緑谷のこと、けっこうバカにしてたんだよな。個性もねえと思ってたし。委員長に目つけられてたんもそれが原因でよ。」
「なのに、あんな力があるなんてよー」
「……テレビで体育祭見てて、緑谷が予選一位になったとき鳥肌立っちまった。純粋にスゲーッて。」
「なー…」
二人はとても後悔をしているように言う。
ずっと黙っていたなつも、二人が反省していたことに驚いた目をしていた。
切島「緑谷、そう言ったらきっと喜ぶと思うぜ!あ、いや照れるかな?」
『うん、出久君は昔から優しいし、許す許さない以前に、ありがとうっていうと思うな。』
「......そうかもな。」
「アイツ、人がいいからな。」
「委員長も、ずっと俺らのせいで悪かったな…」
『ううん、二人が十分くらい思ってた事も知れたし、何より今は、こうしてまた話せるようになれて嬉しいよ。』
緑谷と爆豪となつは幼馴染。そしてこの二人も、小さい頃よく遊んだ幼馴染だ。
なつが微笑むと、二人の友人はホッとしたように息をつき、タカが外れたように話し出した。
「でもよ、こんなことカツキの前じゃ言えねえけど、トーナメントも燃えたよなー! あの氷のヤツとのバトル!」
「あの緑谷がガチの殴り合いなんてなー!けっこうサマになっててよー!」
「そうそう、一発返したときは思わず、おー!なんて言っちまった!」
「惜しかったよなー、緑谷!もしかしたら決勝行って、カツキといい勝負でもしてたんじゃねえ!?」
爆豪「…デクが、なんだって?」
怒りで震えた声にそちらを見ると、コーラ片手にビキビキと目が吊り上げている爆豪がいた。
爆豪「デクがサマになってただァ!?寝言は寝て言え!!!おめェらの目は節穴か!!! その穴ん中でキレイな大爆破見せてやるよ!!!!!」
切島「爆豪、落ち着けって!」
『そうよ勝己、落ち着いてよ!』
爆豪「うるせえ!!! クソどもが!」
「緑谷のこととなると……あああっ、やっぱ変わってねえ~!」
爆豪「デクの名前を出すんじゃねえ!!」
「カツキ、やめろってえっ」
つかみかかる爆豪から逃れようとする友人と、爆豪を抑えている切島でテーブルが揺れ、置いていたグラスが床に落ちて割れる。
「あの子、どっかで見た……」
「あつ、雄英の…」
「ヘドロの…」
「ほら、体育祭で拘束されてた子よ…」
「ああ、あの…」
爆豪「うるせえ!! モブ客どもは黙ってクソめしでも食ってやがれ!!!!」
爆豪のこの一言をキッカケに、店長と一悶着し、なつ達はファミレスを追い出された。